私立大学研究ブランディング事業

 

TOPICS

2018.04.19 若松加寿江研究員が、文部科学大臣表彰「科学技術賞(理解増進部門)」を受賞しました。
2018.03.19 【PRESS RELEASE】 特別公開講座「横浜学」が、30回目を迎えます。~4月15日(日)、「横浜と防災」を開講~
2018.01.23 【PRESS RELEASE】台湾から防災を専攻する学生が来校―最新の防災研究の紹介や、学生間の意見交換会を実施します。
2017.12.22 「防災・減災・復興学研究所」が、韓国・カトリック関東大学校災害安全研究センターと学術交流協定を締結しました。
2017.11.21 【PRESS RELEASE】「防災・減災・復興学研究所」を発足します。
2017.11.08 文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」に採択されました。
 

事業概要

命を守り希望を繋ぐ -新しい「防災・減災・復興学」の構築と研究拠点形成-

限られたストックや多様な価値観の下では、防災政策にも多様性・柔軟性が求められる。工学的解決のみならず、そこに人文社会学的アプローチが融合してこそ、真に人や社会の幸福に繋がる防災・減災・復興が実現する。本事業では、防災・減災・復興学研究センターを設立し、総合大学の強みと校訓を生かした学際的研究を通じて新たな学術研究領域を提唱、かつ防災行政や復興支援に資する成果の発信により社会の持続的発展に貢献する。 
 

 

事業内容詳細

事業目的

 本事業では、命を守り希望を繋ぐことを目指した、新しい「防災・減災・復興学」の構築・提唱と、その研究拠点形成を通して、関東学院大学が真に「人と社会に貢献する大学」であることを社会に訴求し、信頼を得る研究成果によって大学ブランド、研究ブランドを高めることを目的としている。


 東日本大震災の例を挙げるまでもなく、我が国では大規模な自然災害が頻発しており、今後も発生が懸念される巨大地震、津波、噴火、豪雨などに起因した大規模災害に対し、国民の生命や財産を守ることは喫緊の社会的課題である。工学的アプローチによって被害を防ぐ、或いは最小化させる方法は、長年多くの機関で研究が進められ、技術的には実用化の域に達している。これまでは防災事業に対して、例えば経済的視点から対策の要否を判断するといったことは一般的にタブーとされてきたが、この10年で想定地震動や継続時間、津波予想高、時間降雨量といった指標が極めて大きくなり、結果的にハードによる完璧な対策を断念し、事前準備や避難行動計画、防災意識の啓発といったソフト事業に期待を寄せる向きにあることは決して好ましい状況ではない。本来であればハードとソフトの両面を組み合わせた有機的な対策が望まれるが、それらの相互補完的な効果を定量的に評価する仕組みは、現時点では十分には確立されていない。


 一方、被害想定の深刻化に呼応するように、「減災」という言葉が用いられるようになって久しいが、被害を減じる目的で実施した施策を正確に評価するためには、事象を的確に定量化し、それが減じられていることを証明しなければならない。そのためには、これまで以上に工学的に精緻な災害予測研究が求められている。

被害の大きさも、被災の対象も、被害形態も多様化しているだけでなく、被災者の社会的、経済的背景も様々な中で、「防災」という概念は、単に身体的被害や物理的被害を防ぐというレベルを超え、社会損失、経済損失、精神的損失、人と地域の未来までをも含めた損失を防ぐという目的で議論する必要がある。そのためには、これまでのような工学的アプローチや、行政による一方向の防災行政では不十分である。不幸にも被災した人々は「復興」に向けて立ち上がらなければならないが、ここでも工学的課題以上に、人として、社会として希望を持って立ち上がり、希望を未来に繋ぐ必要がある。都市機能としての復興によって、人の絆や地域の伝統が失われたり、抱えなければならない経済的負担によって、結果的に未来が減ずるものであっては復興の目的を果たしたことにならない。これまで防災という旗印の下に、現実を直視した、個々人の未来や人生観、社会観、都市や地域としての文化や伝統の継承にまで踏み込んだ施策が議論されることはなかった。こうした人と社会の真の防災、真の減災、真の復興を実現するためには、技術・行政・財政といった分野だけでなく、行動社会学や計量心理学、幸福論や共生論といった分野における学術的基盤が必要である。そして、それらは全て別々に目的化されるものではなく、複合的、多面的見地による新しい防災・減災・復興の思想の下に展開されることがどうしても必要である。それはまさに新しい学問としての「防災・減災・復興学」を提唱することである。


 本学では平成23年の震災直後から、総合研究推進機構の下に、「東日本大震災で我々はどのように行動したのか ~神奈川における「システム」と私たちの「できること」を考える~」という学際プロジェクト研究を立ち上げ、直接的に防災に関わる工学領域だけでなく、心理学、経済学(公共政策)、法学(地方自治)、社会学といった様々な領域の研究者が集うボランタリイリサーチ事業を進め、地域住民や自治体とも長いスパンでの共同研究を継続できるプラットフォーム形成を目指してきた。また、当時、工学系のプロジェクトリーダーを務めたのは地盤防災工学「液状化災害とその対策」を専門とする現学長の規矩大義であり、本事業においても、学長リーダーシップの下に研究を進めると共に、研究内容に踏み込んだ評価活動が可能である。


 教育・研究面では、理工学部改組を機に、教育研究スタッフの全員を防災系で揃えた、全国的にも極めて稀な「土木・都市防災コース」を設置したほか、法学部・地域創生学科を開設し、地方自治の立場から防災復興行政に関わる人材の育成をスタートさせた。また総合大学として社会学部、人間共生学部、看護学部、教育学部等においても、防災や復興支援に関する研究が進められており、更には、大学のボランティアプロジェクトや課外活動でも南三陸町や宮城、岩手、熊本といった被災地への継続的な支援活動を続けている。これらはまさに、本学の校訓「人になれ 奉仕せよ」の教えに基づく活動であり、平成27年に大学として公表した将来構想「未来ビジョン」で宣言している「建学の精神に基づき、これからの共生社会の創造と持続的発展に貢献する大学」、「人と社会に貢献する大学としてのアイデンティティの確立」という目標に合致している。


 本事業では、文理融合、産官学連携による、人の「いのち」と生きる「希望」を守ることを目指した学際的な学問領域「防災・減災・復興学」を提唱し、その教育・研究拠点を確立させることで、本学の未来ビジョンを有言実行化し、まさにブランディング化を図ることができると考える。

 

【大学の将来ビジョン】

 本学では、平成26年に将来構想「未来ビジョン」を策定した。「未来ビジョン」は、同年から10年後の大学像を「建学の精神に基づき、これからの共生社会の創造と持続的発展に貢献する大学」として示し、「教育」「研究」「社会連携」「かたち」の4つに分類されたビジョンと、合わせて50のアクションプランから構成されている。


 全教職員が参加する「学院政策レビュー」と、その後の学内におけるパブリックコメント募集を経て、法人役員及び大学執行部で構成された総合調整会議において機関決定し、翌春に公表した。急激な変化を続ける現代社会と不確実性の高い未来を見据え、10年後の固定的な目標設定ではなく、数値目標、ロードマップ、計画を毎年見直し、アップデートし続けるローリング方式で運用している。


 

期待される成果

 本事業は、平成23年に学内における戦略的プロジェクト研究としてスタートさせた学際研究プロジェクトを発展させ、人文科学、社会科学、自然科学(工学)の研究者がそれぞれの特徴を生かし、お互いに貢献し合う形で防災、減災、復興というキーワードの下に新しい学際研究を立ち上げ、かつ、企業や自治体とも協働して具体的に防災行政や復興支援に資する成果を発信し、社会貢献を行うことを目的とした拠点化事業である。


 個々の研究者としては世界レベル、全国レベルの研究成果を挙げている研究者も多いが、決して全員が防災や復興という切り口で研究を行っているわけではない。一方で、防災・減災・復興を扱っている研究者のなかには、異分野の知識、他分野の成果と自身の研究を組み合わせることで、より有益な防災施策に繋げることを期待している面も大きい。そこで、今年度設置する防災減災技術研究所を中心にして、URA(リサーチアドミニストレーター)を置き、防災・減災・復興に貢献できる研究者の共同研究プラットフォームを形成する。それぞれの研究者の独自の研究のなかにも、異分野の研究者やURAの視点から見たときに防災・減災・復興に資する研究を行っている事例は多く、そうした研究同士をマッチングさせて、個別の研究を防災・減災・復興というキーワードの下に横串を通してゆく活動を行う。

 

 改めて次のとおり課題を提示する。

(1)工学的な地震防災技術の研究や、その費用対効果の知見はあるが、具体的に行政が採用するには法的、財政的問題をクリアしなければならず、社会科学系の研究成果とのマッチングによって実現可能となる。

(2)ハードな防災技術が確立されたとしても、個人の資力に加えて、人生の価値観によって、どこまでの予防措置を望むかは心理学や社会学の知見を活用しなければ実現しない。

(3)人口減少社会において限られたストックのなか、地域として防災ではなく減災を選択するなら、それによって引き起こされる結果は工学系の研究者が責任を持って伝えなくてはならない。

(4)被災した住民の価値観、地域のコミュニティを護る復興政策はハードの復興技術からは生まれない。

(5)看護学や栄養学、教育学といった現実的に側面支援をする分野も、社会学や心理学、経営学といった知見を活用することでより効果的な支援が可能となる。

(6)災害規模が大きくなったときに「自助」に期待する面は強いが、それを行政に変わって防災・減災・復興学という立場から客観的に、正確な情報を発信することができる。

 

 そして、本事業を通して主に次のとおり研究を進めることにより、以上のような課題を解決することを目指す。

 

(1)今年度内に設置する「防災減災技術研究所」(本学プロジェクト研究所規程に基づく研究所)の下に、次の6つの研究グループを置き、工学、心理学、経済学(公共政策)、法学(地方自治)及び社会学等の多方面から、防災・減災の技術的課題の克服に向けた分野を跨いだ連携研究を行なう。

①防災技術(工学系)Gr.  ②防災技術(社会科学系)Gr.   ③支援技術(工学系)Gr.

④災害対応・復興支援Gr.  ⑤公共政策・財政政策Gr.     ⑥行動社会学・計量心理学Gr.

 

(2)産官学のコンソーシアムを形成して、企業や地域、自治体と連携した研究活動を進めるとともに、本学の多くの研究者が参画し、発信し続けることのできるボランタリイ・リサーチを通して、より学際的な「防災・減災・復興学」を構築する。

 

(3)同研究所を、平成31年度内に「防災・減災・復興学研究センター」に発展させ、教育にも展開させる。すなわち、インターンを受け入れて新しい防災・減災・復興学の理解者・継承者を育成する、同学を構築し、副専攻の設置や職業育成力実践プログラム(BP)を組成する、サービスラーニングへ展開する、県内の自治体と円卓会議を設けるなどしてBCP策定に貢献する、ベトナムや韓国へ同センターでの知見を提供する、といった取組みである。また、こうした取組みを通して新しい防災・減災・復興思想を広く世界に展開してゆく。

 

 個々の研究成果は既に十分なレベルに達しており、それらを融合させ、さらに行政や地域とともに発信、政策実現に繋げることは期間内に十分達成可能と思われる。

 

 本学は総合大学として、様々な研究活動を行っているが、その活動の根底は「人になれ 奉仕せよ」という、何びとにも影響を受けることのない、ひとえに社会の幸福を目指す本学の理念で繋がっており、その具現化の象徴である「防災・減災・復興」に資する研究は全学的優先課題として最も親和性が高く、人と社会に貢献する大学として、本学が最も優先して取り組むべき課題の一つである。また、科学的・技術的にも、社会的にも意義があり、その成果は科学技術の進展に止まらず、広く全国的に社会の発展と幸福に貢献する。


 なお、現段階で想定している融合分野は以下の通りである。

工学系(土木、都市防災、建築、情報通信、ロボット)、理学系(地震学、地理学、地形学)、社会学、社会福祉学、法律、行政、地方自治、社会保障、経済学、財政学、企業論、マスコミ論、国際協力、心理学、コミュニケーション、文化財保護、環境学、教育学、栄養学、看護学、サービスラーニングといった分野が中心となる。


 また、近隣の自治体や市議会、海外の大学とも包括協定、連携協定を締結済みであり、様々なステークホルダーがこの事業に参画し、協力を得ることに障壁はない。
LINEで送る

 


 







Copyright © Kanto Gakuin All rights reserved.