本日、ここに関東学院大学の10の学部、そして大学院博士前期課程、博士後期課程の4つの研究科に入学された、合計2,954名の皆さん。新しく関東学院大学の一員となられた皆さんを、心から歓迎します。ご入学、おめでとうございます。また、ご臨席くださいましたご父兄の皆様、ご関係の皆様、このたびはご子息様、ご息女様のご入学、誠におめでとうございます。関東学院大学を代表いたしまして、心より歓迎し、心よりお祝い申し上げます。

まず始めに、大学院博士前期課程の新入生の皆さん。皆さんの多くは関東学院大学を卒業し、直接、大学院に進学されたことと思います。本学の学部4年間の学びに満足されたからこそ、より一層、学びの質を高めたい。より実践的な知識や技術を身につけたい。 そう希望して進学されたと思います。これからも大いに研鑽を積んでください。大学院の活性化が、研究のポテンシャルやアクティビティを高めることは言うまでもありません。私達も、皆さんが今、抱いている希望や期待に、十分に応えられるよう、指導教授としてだけでなく、研究者としても協力してゆきたいと思っています。大学院での経験を経て、皆さんが大きく成長し、皆さんの人生が大きく展開してゆくことを期待しています。

次に、大学院博士後期課程に進学された皆さん。皆さんは、ご自身の研究成果の集大成として、或いは若き研究者として自立するために、それぞれの研究テーマをより深く突き詰めるために、人生の貴重な期間、或いは青春時代の最も大切な時間の大半を託しても悔やむことのない、生涯の師と仰げる指導者を見つけ、そして後期課程に入学されました。どうか何の迷いもなく、思う存分、研究に没頭する生活を送ってください。研究者の仲間として大いに皆さんを歓迎します。


さて、改めて関東学院大学に入学された新入生の皆さん、今日は、皆さんが大学生として、新しい一歩を踏み出す記念すべき日です。「大学」という場に、「大学生」という言葉の響きに、そして、これから関東学院大学で過ごす「4年間」に、皆さんは、どのような希望と期待を持たれているでしょう。それを明確にするために、もう一度、何のために大学に入学するのかを自分に問いかけてください。


夢を持っていますか。ならば、その夢を実現する学びを考えましょう。夢はまだはっきりとしていないですか。ならば、この4年間で夢を見つけるために、学びが必要です。私がお尋ねした「夢」は、決して「将来の職業」だけを指しているわけではありません。 大学に入って、こんなことがしてみたい。そう思えることなら構いません。大学でこんな勉強をしてみたい。これも素晴らしい夢です。とにかく、夢に向かって一歩進んでみる。少し夢が変わってくるかも知れないし、夢が大きく膨らむかも知れません。


今、皆さんは無限の夢を膨らませることが許されています。そして、これから、想像しているよりも遥かに沢山の経験をすることでしょう。将来、それらを「素晴らしい経験」と思えるかどうかは、皆さんの気持ちや心がけ次第なのです。どうぞ、思う存分、「大学生としての生活」を謳歌し、大いに学び、教養と見識を深め、そして、知識や技術を身につけていただきたいと心から願っています。


先日、3月24日、この同じ国立大ホールにて、2015年度の卒業式が行われました。昨日の朝、その卒業生の一人からメールを受け取りました。新しい生活に対する希望の言葉とともに、新入生の皆さんへのメッセージが書かれていました。「関東学院大学で、自分にしかできない学生生活を送ってほしいです。そして、4年後の卒業式のときに自分の学生生活が自慢できる学生が沢山いてくれたら嬉しいです。少なくとも私はそうでした、と胸を張って言えます。」嬉しかったです。


私は、その卒業式の式辞のなかで、充実した学生生活を送った卒業生に敬意を表しましたが、同時に、「もし、在学中の学びを「少し疎かにしたかな」と感じている人がいて、『社会に出るのを境に、心機一転、挽回しよう』と決意するのであれば、それは都合が良すぎる。今を疎かにするものにとって、挽回のチャンスはそうそう来るものではない。チャンスの到来が平等なら、それまでに努力した意味がない」卒業のお祝いとしては少しばかり厳しい言葉でしたが、そのように申し上げました。


高等教育機関である大学の場合、その先に見えるのは「社会」です。そこでは否応なしに、皆さんが、これから身に付けるべき力、本当の意味での実力で、自分の将来を切り開いていかなければなりません。これは現実なのです。これからの4年間は、その実力をつける大切な期間であるということを決して忘れないでください。ただし、これを「準備期間」と表現してしまうと、すぐに、次のステップを「就職」と捉えてしまい、例えば、就職に有利な資格や検定を探してみたり、どんな科目の勉強が社会で役立つのか、そうしたことばかりを考えてしまう風潮があります。それは「準備」であって、「学び」ではありません。


特定の資格と直結している学部であっても、就職という出口だけを意識した準備の4年間にしてよいはずがありません。学びとは決して、少しばかり計算能力に長けていたり、プレゼンテーション技術が優れていたり、コミュニケーションスキルがあったり、そうしたテクニックを磨くことではありません。勿論、それらは、社会に出てから、皆さんの助けになることも確かですが、それよりも、大学生としての教養、見識、知性を一歩ずつ、着実に身に付けること、これに勝るものはないのです。それは、この本を読んだからとか、この講義を受けたからとか、一朝一夕に身につくというものではなく、むしろ物事に対して真剣に向き合い、知識や技術を修得しようとする継続的な行動を通して得られるものです。具体的に、どの知識と指し示せるものではありません。ただ言えることは、「学ぶ」ことの目的や意義、学ぶことの楽しさを感じられるようになったときに、初めて、大学生としての、その年齢に見合った見識や知性が皆さんの顔に現れてくるものだと思っています。皆さんは大学生として、大いに「知的」でなければならないのです。


勿論、大学生活の重要な要素として、新しい友人との出会い、社会との繋がりを意識した活動、学問との出会いや恩師との出会い、クラブやサークルといった課外活動も大切にして欲しいと思います。大学生になって、やりたいこと、挑戦したいことは、皆、様々で構わないし、例に出したサークルやクラブ、アルバイトやボランティア、そうした誰もが思いつくものだけとも限りません。学生としての見識の範囲内であれば、何でもチャレンジできる。それが皆さんの特権ですし、それによって大学生活は大いに充実すると思います。


ただ、そうであっても、仮に、学業以外の明確な目的があったとしても、それでも「学ぶ」ということを抜きにした大学生活などあり得ないし、満足感も得られません。真剣に「学びたい。知識を得たい」と望む学生にとって、その目的が叶うところ、真剣に「学びたい」と思う学生の目的を第一に優先するところ、それが大学なのです。「学び」に対する欲求の前では、高校までの学習歴の違いや経験値の差すら、大きな問題ではありません。最高のスタッフを揃えて、私たちは皆さんに、この「学ぶ」環境を最大限に大切にすることをお約束したいと思います。過激な意見かも知れませんが、「大学で何かを得たい」、「大学で真剣に学びたい」という学生や、それを応援しようとする大学の雰囲気に対し、「ばかばかしい」と思う学生がいるとしたら、その者は、今すぐこの大学から去るべきだと考えています。


おしまいに、本学は言うまでもなくキリスト教に基づく教育を行う私立大学です。決して全ての学生に信仰を強いるものではありませんが、私立大学として建学の理念と明確なスクールモットー、「校訓」を大切にしています。皆さんはこれから、関東学院の初代院長、坂田祐先生がおっしゃった「人になれ 奉仕せよ」という言葉に、さまざまな場面で触れることになります。


「人になれ 奉仕せよ」


非常に短いフレーズですが、だからこそ、私たち一人ひとりにとって、さまざまな解釈ができる言葉でもあります。キリスト者としての坂田先生の言葉の意味とは別に、高等教育機関として、この校訓にどのような意味を込めるのか、「人になれ」の「人」の定義とは、人に「なる」とは何を意味するのか、そもそも何をもって「人」になれたと言えるのか、「奉仕せよ」の「奉仕」が意図することは何か。皆さんも、この意味を、時間をかけて考えて欲しいと思います。


これからの4年間を真剣に学び、身に付けた教養や知識、技術を社会に生かすべき機会が必ずやってきます。 その日までに、社会に貢献できる人になる日までに、或いは、学びは永遠に続くのだと認識するときまで、学び続ける人であってほしい。 私自身は、「人になれ 奉仕せよ」をそのように理解したいと思っています。ことさらに誰かのために、などと理由をつける必要はありません。自分のために、自分の大切な人のために、身近な人のために、そのもう少しだけ先に、社会はあります。ですから、懸命に努力し、自分自身を磨くことが、必ずや誰かの役に立つ日が来ると思うのです。


大学で過ごす4年間は、案外と短いものです。しかし、その期間に、あなた自身がどんなに密度の濃い学生生活を送るかで、関東学院大学で学んだ意味と、皆さんの未来が決まると思っています。私たちは、皆さんにとって素晴らしい未来を掴むことのお手伝いをするつもりです。


さあ、いよいよ始まりです。今日のこの日を祝して、あらためて、みなさんにお祝いを申し上げたいと思います。


ご入学おめでとう。

 
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