法学部法学科 松谷秀祐 講師

法学というのは、実は答えのない世界であると、松谷講師は言う。

「保育園で子どもを預かっているさなかに津波の被害にあった。責任の所在はどこにあるのか。これは今も係争中の案件です」

法律はいろいろな事案に広く当てはまるように作られているため、このように議論を呼ぶ面がどうしてもあるのだそうだ。

松谷講師の専門は、商法のなかの保険法。損害保険契約についての研究だ。保険会社、被保険者、保険料を支払う保険契約者、三者の関係を理論立てる研究に携わっている。

「実態を解明したいのです。私の研究は『第三者のためにする損害保険契約』というのですが、日本では誰も深く研究してこなかった。大学院のころに、ならばやってやろうと思い立ち、今もその研究ひとすじです」

国内でひとりとして手をつけてこなかった分野に挑むのに不安は、もちろんあった。

「モノにならないから誰もやってないのかもしれません。でも5年ほど前に、ある権威的な研究者から『君の研究には価値があるから続けなさい』と言われ、励みになりました」

朴訥とした優しい印象をたたえる松谷講師だが、実は授業は「厳しいですよ」と笑う。

「学生時代は将来に向けたトレーニングの場なのですから。それは当然です」

松谷講師の授業のひとコマを紹介しよう。ホテルの宿泊予約をキャンセルしたら、キャンセル料を請求された。そのことは宿泊約款には書いてあるけれど、自分はその存在を知らないし約款を読んだこともない。そんな場合でも100%のキャンセル料は支払わなくてはならないのか――。

「まず、法律以前に、どう考えるかを問います。『おかしい』でも『支払わないとホテルが困る』でもいいです。そして、『では約款に、キャンセル料は宿泊代金の300%と書いてあったらどうか』とさらに考えます」

松谷講師の授業は、厳しくもあり、自分の考えを構築して議論を交わす好機を与えてくれる場でもあるのだ。

 

※ 所属、学年などは、全て取材当時のものです。

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