水素センサから水素エネルギー社会 濱上 寿一

燃焼しても水しか出さない水素ガスは、環境にやさしいエネルギーの代表。水素燃料電池車の開発はすでに市販段階に達し、社会実験として、日本でも水素タウンプロジェクトや水素ハイウェイプロジェクトがスタートするなど、実用化への期待は大きく高まっています。一方で、水素は爆発の危険をはらむガス。安全な水素エネルギー社会の実現には、万一の事故を未然に防ぐ高性能かつローコストな水素センサの開発が必須です。

実はこういう課題を解決することが、私の専門である材料科学の真骨頂。理想のセンサを創り出すために仮説を立て、素材の種類を変えながら、何度も何度も実験を繰り返すのですが、失敗は成功の元とはよく言ったもので、たくさんの失敗を積み重ね、その原因を明らかにすることが、成功への第一歩なのです。

10年越しの試行錯誤の結果、私がたどり着いた答えは、省エネプロセスを用いてチタンと酸素の化合物に触媒としてパラジウムをつけたセラミック系センサ。この光学式のセンサは電力や熱がなくても作動するため、現在実用化されている触媒燃料式や半導体式のセンサに比べると、圧倒的に安全でシンプル。しかもローコストと、多くの利点を兼ね備えています。今は、その実用化に向けて、さらに精度を高め、コストダウンを図る研究を進めています。

私が踏み出した一歩は、エネルギー問題全体から見れば、ミクロのような一歩に過ぎません。しかし私にできることは、その一歩を着実に積み重ねること。これからも、倦むことも飽きることもなく、実験を続けていきます。

※ 所属、学年などは、全て取材当時のものです。

濱上 寿一

関東学院大学
理工学部 理工学科
応用化学コース 准教授

LINEで送る

 


 







Copyright © Kanto Gakuin All rights reserved.