課題は少子社会 吉田 千鶴

 私は経済学の教授ですが、大学で学んだのは薬学。卒業後は厚生省(当時)で、薬事行政に携わる一方、白書作成のお手伝い等を通じて気づかされたのが日本の少子化です。当時は無力を感じるばかりでしたが、改めて大学院で学んだ「経済」というツールなら、悪化を抑えることができるかもしれない。私は今、そんな想いで薬では治せない少子化問題と向き合っています。

少子社会の課題を考えるとき、重要なのは個人の視点。人々は、日本経済の発展のために子供を持つわけではなく、自身の幸福のために結婚し、子どもを持とうと考えるからです。しかし、ある「現実」のために人々がベストの選択肢を選べないことも少なくありません。その「現実」が何かを知り、有効な政策を立案するための基礎的知識を得ることが、私の研究の目標です。

育児休業制度など、女性が就業と家庭を両立する支援策が整備されていますが、女性の就業継続割合は横ばいのまま。その一因は、離婚しやすい非正社員の増大とより若い世代でのキャリア志向の低下にあると私は分析しています。非正社員は育児休業などの恩恵を受けにくいだけではありません。私の調査からは、収入の低さから世帯内で弱い立場にたち、夫の家事育児協力も得にくいという結果も得ています。

非正社員の増大は国際的な傾向。避けることができない道ならば、今、取り組むべきは若者の就業意欲を高め、高スキル職に就職できる技能の学びを促すことに他なりません。そのために、大学に何ができるかを考え、行動することも、私のもうひとつの課題です。

※ 所属、学年などは、全て取材当時のものです。

吉田 千鶴

関東学院大学
経済学部経済学科 教授

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