フェアで信頼される経済を 中泉 拓也

日本は世界有数の経済大国。にもかかわらず「経済はつまらない」と考える若者が増えています。その理由は、日本の経済システムに対する不信感に加え、自分たちの力ではどうにもできないという無力感ではないでしょうか。でも実は経済とは、ほんの小さな変化にも敏感に反応する“生き物”。本気でつきあってみると、なかなかおもしろい相手です。

一例として、私が国土交通省の内航海運制度検討会のメンバーとして関わった内航海運(国内海運業)の規制緩和の話をしましょう。内航海運は国内物流の約40%を担う重要なチャネルですが、長い間、さまざまな規制が行われてきました。それを緩和したことで、適正な競争が生まれ、トラック輸送を温暖化ガス排出の少ない内航海運に切り替えるモーダルシフトの動きにもつながっています。マスメディアではほとんど報道もされない小さな規制緩和が、物流を活性化させ、それが他の業界へと波及し、私たちの生活も変えていく。経済は、まさに生き物です。だからこそ、経済がコントロールできると考えるのは尊大です。ご都合主義で、市場をゆがめることは許されません。そのツケは、必ず自分たちに返ってくるのですから。

経済学者の使命は、社会全体にとって、フェアで信頼されるものさしであること。今、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会のメンバーとして取り組んでいる規制の事前評価の仕事でも、経済成長を促しながら、人々が安心して暮らせるために規制はどうあるべきかを考え、改革の推進力になることを心がけています。

※ 所属、学年などは、全て取材当時のものです。

中泉 拓也

関東学院大学
経済学部経済学科 教授

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