社会システムとしての安全を考える 水井 潔

ひと昔前に比べると、自動車の安全性は飛躍的に高まりました。「衝突安全性」を競い合っていた時代はもう過去のもの。開発競争の焦点は「危険回避」に移り、障害物を察知してブレーキをかけてくれたり、縦列駐車を支援してくれる自動車が次々と商品化されています。

私が研究している「安全運転支援システム」じゃ個々の自動車が達成しつつあるこれらの安全性をネットワークし、双方向の社会システムとして自動車の安全性を高めていこうというもの。ITS(高度道路交通システム)の一分野として、官民挙げた研究が続いています。

実現に向けて、さまざまな方式が提唱されていますが、私が普及のポイントとして注目しているのは、ヘッドライトやテールランプに装備されているLEDを通信ネットワークとして活用し、自動車同士を結ぶ「可視光車車間通信」方式。大規模な社会資本整備も、専用のアンテナも必要としないローコストなシステム故に、スピーディな普及が可能ではないかと考えています。日本のスタンダードになるのはどの方式か、まだわかりませんが、明日の日本を待ち受ける本格的な高齢化社会には、自動車のさらなる安全が必須です。社会資本としての「安全運転支援システム」は、必ず実現するでしょう。

そのとき、他の方式が選ばれたら、私の研究は徒労に終わるのでしょうか。いいえ、私には、この大学でITSの思想を学び、安全な自動車社会を夢見て社会で活躍するたくさんの教え子たちがいます。彼らの存在こそが、私の最大の研究成果なのです。

※ 所属、学年などは、全て取材当時のものです。

水井 潔

関東学院大学
理工学部情報ネット・メディアコース 教授

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