母の視点、看護の視点。 永田真弓

患者さんの「症状」に対処することは看護師の使命です。だから、看護師をめざす人なら誰しも、患者さんの苦しみを少しでも和らげたい、入院中、心地よく過ごすお手伝いがしたいと願うでしょう。大学病院の小児病棟で臨床看護師として過ごした5年間、私もそう考えて、重い病気に苦しむ子どもたちと接してきました。

しかし、「症状」に対処するだけでいいのでしょうか。私はやがて、看護師の真の使命は、患者さんを一日でも早く、本来いるべき家庭に、社会に戻すことにあると思い至りました。相手が、暮らしの中で愛情を知り、社会を学んでいく大切な時期にある子どもなら、なおさらです。そう考えるようになったのは、私自身も二人の子どもの母親になったことも大きいのかもしれません。

大学で教鞭を執るようになった今、私は子どもたちの退院を早め、できるだけスムーズに社会生活に戻るためのケアの研究に力を注いでいます。そのひとつが「食」のケア。適切な栄養は子どもの免疫力を向上させ、化学療法への抵抗力を高めます。なによりおいしい食事は元気の源ですから。

化学療法で苦しむ子どもたちに対するNST(栄養サポートチーム)によるきめ細やかな個別ケア、子どもと家族がともに食事をとれるルームサービスの拡充など、病院が強化すべき課題はまだまだあります。退院後のご家族の不安を少しでも軽くすることを、そして子どもたちの健やかな未来を願って、食生活のセルフマネジメント支援プログラムの開発にも取り組んでいます。

※ 所属、学年などは、全て取材当時のものです。

永田 真弓

関東学院大学 看護学部
看護学科 教授

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