見えない流れを視ると、解決策が見える 阿久津敏之介

子どもの頃からパイロットを夢見てきました。しかし、受験に失敗したり、視力が落ちたりして夢は叶わず。それでも航空機に関わりたいと願って見いだしたのが流体力学の道。けっして計画的に選んだ道ではありませんが、やってみると奥が深くおもしろい。すっかりはまってしまい、気がつくとこの道の専門家になっていました。

流体力学とは、水、空気、油などの流れる力が物体に及ぼす影響を研究する学問のこと。私が注力しているのは人工心臓弁を含む人工臓器の流れの研究です。血液の流れの最適化が必要な人工心臓弁の開発には、流体力学による解析が欠かせません。近年、国産メーカーの埋め込み型補助人工心臓が世界をリードする成果を出し始めている背景にも、流体力学の貢献があるのです。

私が飽くことなくこの研究と向き合い続ける力になっているのは、誰かの命を救うことに寄与しているという喜び。思い起こせば、高校時代から学んできた関東学院の「人になれ 奉仕せよ」という校訓が、私をこの道に導いたのかもしれません。

最近は企業から依頼を受けることも増えました。そのひとつがゴルフクラブの改良。ヘッドが受ける見えない流れを可視化することで、クラブヘッドの形状の小さな違いが抗力に大きく影響することがわかりました。あなたが新しく手に入れたクラブが、以前のモデルと比べてグンとスイングしやすくなったとしたら、これが流体力学の醍醐味のひとつです。

※ 所属、学年などは、全て取材当時のものです。

阿久津 敏之介

関東学院大学
理工学部 教授

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