リサイクルのその先へ 佐野慶一郎

河口湖に不法投棄され、景観を台無しにしている大量のプラスチック製ボート。これをなんとかしたいという想いこそ、私が自動車メーカーのサラリーマン研究者からリサイクル工学専門家へと転身したきっかけであり、原点です。

廃プラスチックのリサイクル技術を磨く一方、私はいま、プラスチックの材料である石油の使用量削減につながるバイオ・マテリアルの研究にも取り組んでいます。そのひとつが、亜麻やケナフなどの再生可能な天然繊維で強化されたプラスチック(NFRP)の普及に向けた研究です。

NFRPは、環境負荷が少ないうえに、軽くて丈夫。いいことずくめの素材なのですが、独特の化学臭があるのです。この「臭い」の問題が解決されれば、自動車のボディや内装材などへ一気に普及していく可能性があると私は考えています。

消臭効果のある物質を探して、試行錯誤の中から私が辿り着いたのがポリフェノール。本学の学生とともにNFRPの臭いを低減する数々の実験を行い、ブドウのポリフェノールをNFRPに添加することで、臭いを低減することに成功しました。自動車への搭載をはじめ、産業への活用へ向けて、複数の企業、研究機関と手を携えて動き出したところです。

健康にやさしいポリフェノールが、地球にやさしいプラスチックの普及に役立つ日は、すぐそこに迫っています。

※ 所属、学年などは、全て取材当時のものです。

佐野 慶一郎

関東学院大学
人間環境学部
人間環境デザイン学科教授

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