細田 聡

社会学部
現代社会学科
教授

基本情報

細田 聡

専門分野 認知心理学、産業心理学
研究テーマ ヒューマンエラー発生メカニズムの解明
最終学歴 北海道大学大学院文学研究科博士後期課程 修了
学位 博士(行動科学)
研究キーワード 産業心理学 事故防止 ヒューマンエラー
ヒューマンファクター 安全文化

現場で働く人へのインタビューを通じて、事故防止に取り組む。

学生時代に主にやっていたのは実験心理学の分野でした。PCモニターに数列を映し出したものを、協力者に見てもらうことで、記憶のメカニズムを探ろうとしていました。今は、ヒューマンエラーについて研究していますが、このテーマを扱いだしたのは、大学院を修了して、労働科学研究所で研究員として働き出してからなんです。

ヒューマンエラーが話題になるのは「人為的なミス」として事故が報道される場合です。しかし、人間はエラーを犯す存在であると言われています。その際、当人が意図的であろうとなかろうと結果として良くないことが起こることもあります。私は、人がエラーをしてしまうメカニズムを研究するとともに、その対策を検討しています。研究は、実際に事故が起こった現場で働く人にインタビュー調査を行います。事故が起こる現場では、働く人の世代にバラつきが見られることがあります。例えば、50代の熟練した技術を持つ人の後に、20代まで世代が隔絶してしまう職場があります。こういう所では、技術の継承が上手くいかないケースが多いのです。そうした現場で、インタビュー調査にもとづいて改善プログラムを提供しています。ただ、このプログラムは一方的に提供するのではなく、そこで働く人に組み立ててもらいながらプログラムを作っていきます。

事故を減らすことが私の使命ですが、事故が完全になくなることが、必ずしもいいことだとは思いません。なぜなら、小さな事故は問題に気づいて反省するきっかけになるのです。それらを学ぶことで、人命や会社の将来を左右するような大きな事故を未然に防ぐことができると思うからです。

主要業績

    (著書)
  • (共著)『基礎心理学入門』培風館 2012年
  • (共著)『心理学から考えるヒューマンファクターズ―安全で快適な新時代へ―』有斐閣 2012年
  • (共著)『産業安全保健ハンドブック』労働科学研究所出版部 2013年
  • (共著)『最新心理学事典』平凡社 2013年
  • (論文)
  • (単著)「組織に潜在するリスクを自ら検出することは可能か」『日本信頼性学会誌「信頼性」』34巻5号 2012年

問題を解決できる社会人になってほしい。

一方的な講義ではなく、学生に考えてもらうような方法を考えています。実際に心理学に関わる簡単な実験を体験してもらいながら授業を進めます。例えば、サッチャー錯視と呼ばれる現象がありますが、顔のパーツの上下を入れ替えたり、写真を上下反転させたりすると、脳が誤認してしまうことがあります。こうした写真や絵を見る実験をしていく時に、ただ絵や写真を見て面白いと思うだけではなく、学生には「なぜ、こんな現象が起こるのだろう?」と一歩深いところまで理解してもらえればうれしいですね。

失敗を恐れない学生と、一緒に学んでいきたいです。チャレンジして失敗してもいいんです。誰でも失敗は経験するものです。意気消沈してしまうこともあるでしょう。しかし、失敗して再び立ち上がってほしいです。その時に、私たち教員が人生の先輩としてアドバイスできることもあると思います。ですから、時には教員を頼ってほしいと思っています。

また、一緒に学んだ学生には、問題を解決できる社会人になってほしいです。例えば、2005年に起きたJR福知山線の脱線事故。多くの運転士が、事故の起きたカーブは危険だと認識していました。それを会社に進言できなかったことを後悔している運転士もいるんです。そういう後悔をしてほしくはないんです。何か、解決しなければならない問題があるときに、きちんと理論や理由を持って相手を説得できる人になってほしいと願っています。

担当科目

  • 教育実習
  • 教育心理学
  • 教職ゼミナール
  • 教職実践演習(中高)
  • 卒業論文
  • 心理学
  • 基礎ゼミナール
  • 社会心理学
  • 専門ゼミナール
  • 卒論ゼミナール

行政の委員会活動を通じ、消費者事故防止に取り組む。

政府にはこれまで、消費者の事故を調査する機関を持っていませんでした。そこで、2012年に消費者庁で消費者安全調査委員会という機関が発足しました。私は、この委員会で事故の発生や防止のための施策、提言を行ったり、実際に起こった事故を調査したりする委員として活動しています(2015年5月末まで)。これまで多くの事故調査ではモノに問題があったのか、人に問題があったのかといった視点で調査が進められてきたように思われます。つまり、何か事故の発生した製品に欠陥があるかないか、人が間違ったことをしたのかどうかを調査していたんです。しかし、事故というものは「人」と「モノ」との関わりあいが上手くいかない時に発生します。この委員会では、なんらかの事故が発生した場合に自ら調査を行ったり、消費者庁以外の省庁が行った調査に対して、必要に応じて意見をすることができる機関です。例えば、この委員会ではスイスに本社があるメーカーのエレベーターの事故が、調査の対象になっています。こうした公的な機関の委員として、事故などの減少に取り組んでいくことは、大学で働く研究者としての役割であると考えています。

取材・原稿作成 関東学院大学広報室