小岩 一郎

理工学部
理工学科化学学系
教授

基本情報

専門分野 エレクトロニクス実装工学、薄膜工学、表面処理技術 
研究テーマ 非水溶媒からのアルミニウム薄膜
アルミニウム合金薄膜の形成
非懸濁液からの複合めっきの開発
二次電池の電池材料の開発や解析
最終学歴 早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了
学位 工学博士
研究キーワード めっき 表面処理技術 電池材料開発
プリント基板 エレクトロニクス実装工学 

新しいめっきの技術を開発する。

大学で表面処理に関する講義を受けている時に、これは面白いなと思って、その講義を担当していた恩師の研究室を選びました。また、その恩師が化学の実験を小中学生対象に指導していたんですね。植物の葉っぱにめっきを施してキラキラさせたりして。そういうことを通じて、めっきというものが面白いなと思えたんです。

今、取り組んでいることの1つに、アルミニウムをめっきする技術の開発に取り組んでいます。アルミニウムは、析出電位の関係から、従来の水を溶媒に用いためっき浴からは形成することができません。しかし、イオン溶媒や有機溶媒が開発され、アルミニウムをめっきする技術を開発できるようになったんです。これからは、実験を繰り返してその精度を上げていこうとしています。今後は、アルミニウム単体だけでなく、鉄、ニッケル、マンガンなどとの合金を積極的に研究すつ予定にしています。こうした新技術を開発しようと取り組むのは、日本の産業界のためです。亜鉛が将来的に枯渇してしまうことが危惧されています。そこで、金属として豊富な埋蔵量のあるアルミニウムをめっきする技術の開発に成功すれば、日本の技術力を保つことができるわけです。

主要業績

    (著書)
  • 『キャパシタ便覧 6章キャパシタの高密度実装およびその他のキャパシタ6.1.実装技術』共著 2009年1月 丸善株式会社
  • 『第7版 化学便覧 応用化学編 19.8 実装技術』共著 2014年1月 日本化学会編
  • (学術論文)
  • 「Preparation of Co2FeSn Heusler alloys by electrodeposition method」共著 2015年 APL MATERIALS, Vol.3, pp. 041804-1-041804-5
  • 「Ti-Ni-O Reactive Nanocomposite Electrodeposition Using Ti Nanoparticles and Annealing」共著 2015年 Bull. Chem. Soc. Jpn., Vol.88, no.8, pp.1128-1134
  • 「Copper-Molybdenum Source Ratio and Complexing Agent for High Molybdenum Content in Electrodeposited Cu-Mo」共著 2014年 J.Electrochem. Soc.,  Vol.161,No.12, pp.D628-D631

めっき業界を担える人を育てたい。

学生が入学して、化学の基礎を学ぶときには、小テストなどで繰り返しわかるまで学んでもらいます。化学の分野は、基礎ができないと社会に出た後に苦しいです。専門の教育に入ると、最新の技術を紹介していきます。この時点で、その技術について具体的にわからなくても、「イメージを持つこと」で、社会に出た後にその人の知識となって応用できると思うからです。このようなことのために、教科書も私が手作りでつくって、学生に配布しています。

学生には、化学の基礎力と社会人としての力を身につけて、大学を卒業して欲しいと思います。企業が採用したい学生は、言われたことだけをやる人ではありません。指示されたことに対して、10の提案を出せるくらいの人になって欲しいんですね。そのために、理由や理論を持って上司を説得できるような人になって欲しいです。

そして、ここで学んだ人の中から、めっきの将来を担う研究者も送り出したいと思っています。関東学院大学は1960年代に世界で初めてプラスチックにめっきを施す技術を開発するなど、この分野のパイオニアです。その後、めっきの技術は、将来必要なくなるだろうと予測された時期もありました。しかし、電化製品の小型化や、高度な電子機器が開発される中で、それらの基板をつくるためにめっきは用いられ、需要は伸び続けています。関東地区でめっきに関する教育や研究を本格的に継続してきたのは、関東学院大学を含め数校しかありません。ですから、大学院に進む学生の中から次世代のめっきの研究者を送り出すことも私の使命だと思っています。

担当科目

  • フレッシャーズセミナ
  • 理工学概論
  • フレッシャーズプロジェクト
  • 企業実習
  • 卒業研究
  • 応用化学演習
  • 分析化学実験
  • 表面工学
  • ナノテクノロジー
  • 応用化学セミナー
  • エレクトロニクス実装工学
  • 分析化学
  • インターンシップ
  • 電気化学・表面工学研究
  • エレクトロニクス実装工学特論

日本の産業界のために働いていく。

研究で社会貢献をしていく方法としては、企業からの委託研究や、開発した技術や成果を学会などで発表し、より高い技術をつくりあげていくことで社会に貢献できるのだと思います。

また、将来のめっき技術の分野のために学会などで将来の技術開発に向けた検討をしていくのも、社会貢献の方法の1つです。例えば、表面技術協会という学会にある将来めっき技術検討部会の代表幹事を務めています。ここでは、将来必要とされるめっきの技術についての議論や勉強会を行っています。また、エレクトロニクス実装学会ではEPADsというプロジェクトを立ち上げて活動しています。このプロジェクトでは、電子機器などに用いられるリント配線板(集積回路やコンデンサなどをを表面に実装した基盤の中にも、集積回路やコンデンサなどの部品を内蔵した基板)に関する検討をしています。ここでは、日本が他の地域に先駆けて、プリント基板における世界基準をつくりあげようとしています。多くの産業では、世界基準をヨーロッパ諸国が中心に決めています。スポーツのルールでも一緒ですが、ヨーロッパがつくった基準に日本の産業界が振り回されるという構造があります。そうではなくて、先んじて日本が中心になって基準をつくっていく必要があります。その時に、我われのような大学などで働く研究者が、積極的に関わっていくべきだと考えています。先端技術の開発と、こうした将来に向けた活動を通じて、この国の産業界に貢献していきたいと考えています。