鈴木公基
教育学部
こども発達学科
准教授
基本情報
専門分野 | 教育心理学、発達心理学、教育臨床心理学 |
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研究テーマ | 良好な対人関係における適切なバランスとはいかなるものか? |
最終学歴 | 筑波大学大学院心理学研究科博士課程 修了 |
学位 | 博士(心理学) |
研究キーワード | 児童心理学 発達心理学 スクールカウンセリング 対人関係 |
子どもの成長を支えられる仕組みを築きたい。
私が学生の頃は、いじめや不登校が社会問題となっていた頃でした。最初は、学校の先生になろうと思っていましたが、問題の根幹を解決できるにはどうしたらいいかと考え、現場の教員としてではなく教育心理の研究者の道へと進みました。
研究のテーマは、児童期から青年期にかけて発達していく中で、より良く生きていくには、他者とどのように関わっていけばいいのかというものです。具体的に言えば、自分がのことを十分だと思えるように発達・成長ができるということ。例えば、非行的な行動やいじめに関わらないか等も大切なことです。成長していく過程で、その人自身がどのように自分をつくっていくを明らかにしようとしています。
研究の対象は、中学生や高校生が主です。それに最近は大学生も加わってきています。研究をしていく中で見えてきたことは、親から気持ちを受け止めてもらえない子は、友人を強く求めるということです。さらにそれは、非行的な行動にも結びつきやすくなります。当たり前のことではありますが、それらのことがデータからわかってきています。将来的には、親からのサポートが不足している子どもに対して、学校のレベルで親とは違ったサポートの仕組みを作っていく、ということを考えています。ただ、学校での先生の子どもたちへの関わり方は、地域によってもかなり差があります。この点、まだまだ考えを練り上げていかなければと感じています。
主要業績
- (著書)
- (共著)『新教職教育講座第7巻「発達と学習」』共同出版 2013年3月
- (共著)『ライブラリスタンダード心理学7-スタンダード発達心理学』サイエンス社 2013年12月
- (共著)『たのしく学べる最新発達心理学-乳幼児から中学生までの心と体の育ち』図書文化 2010年3月
- (共著)『考える福祉』東洋館出版社 2010年7月 (論文)
- (単著)「中学生の問題行動における親からのサポートおよび仲間志向性の役割」『関東学院大学人間環境研究所報』第9巻 2011年3月
自分で考え、他者のことも考えられる人に。
講義では、学生たちに意見を話してもらうようにしています。授業内容は心理学ですから、教科書を読むだけでは身近な経験として置き換わっていきません。最初は、心理学とは直接関係のない身近な話をします。例えば、記憶に関わることであれば、「駅から歩いて来る時に、信号を見たはずですよね?歩行者用信号の赤色は上と下どちらでしたか?」というようにです。そうしたことから、見ているけれど記憶していないとか、記憶するためには、「覚える」という処理が必要だという話につながります。
学生たちには、自分で考えられる人に成長してほしいです。自分で考えられる人とは、人の流れにのるだけではなくて、自分自身をコントロールしながら自分を作れるようになるということです。考える力を発展させれば、自分のことだけでなく他の人のことも考えられる人になれると思うんです。私の授業は、1年次にほぼ全員が履修します。私は、できるだけ学生の顔と名前を覚えるようにしています。そして、会った時に声をかけるようにしています。研究室に呼んで話を聞いたりも。というのも、自分の考えていることを、言葉に出してもらう機会を多く設けたいんです。それらのことが、自分で考えられるということにつながればと思っています。
それから、学生には大学時代に3つのことを経験してほしいと伝えています。1つは勉強。2つ目は恋愛。そして、3つ目は飲み会の幹事。飲み会の幹事というのは、変な言い方ですが、人がやりたがらないことをやること、全体を見渡さなければならない立場に立つことによって、集団の中でどのように振る舞えばいいか見えてくると思うんです。これら3つのことは人の視野を大きくしてくれるものだと思っています。
担当科目
- 教養ゼミナール
- ゼミナール
- 卒業研究
- 教育心理学演習
- 保育実習指導Ⅱ
- 教育心理学
- 心理学基礎実験
- 心理統計学
- 保育実習Ⅱ
スクールカウンセラーの活動を通じて、地域の特性に気づけた。
20代の頃から続けていることに、スクールカウンセラーの活動があります。私の出身が茨城県ですから、最初は茨城県で活動していましたが、こちらに移ってきて、今は横浜市内の中学校でこの活動をしています。自分の専門の学びを、現場に役立てることができればと継続してきました。
この活動に携わって、スクールカウンセリングも地域によって方法が違っていることがわかりました。茨城では、スクールカウンセラーが直接的に子どもと関わり、問題を解決していくというものが中心でしたが、横浜では先生方や他の専門家と協働して外部機関にうまくつないでいく役割に重きを置いていることを知りました。子どもの成長に対する考え方が、地域によって違うことなのだろうと思いました。
スクールカウンセラーの活動は、私が指導する学生たちの学びにも関わってくることです。ですから、現場に学生を連れ出していければと思っているのですが、なかなかできていないのが現状です。学院内の小学校などと連携して、現場を学生に経験してもらうこと。これは、今後の課題ですね。