中村 桃子

経営学部
経営学科
教授

基本情報

中村 桃子

専門分野 言語学
研究テーマ ことばとジェンダー
最終学歴 上智大学大学院外国語学研究科言語学専攻博士前期課程 修了
学位 博士(人文科学)
研究キーワード 言語学 女ことば 英語
ジェンダー フェミニズム

言葉の中に、時代や環境の変化が見つかる。

高校生の頃から英語が大好きで、大学4年のときには米国のカリフォルニアに留学をしました。そこで出会ったのが「フェミニズム」という考え方。その考え方に触れて、女性も社会のために役立つことができると知ったんです。日本では、そうした考え方がまだ一般的でない頃ですから、新鮮でしたね。それで、日本に帰って、社会の役に立つためにもっと勉強をしていこうと、大学院に進学したんです。

もともと英語が好きだったことから、言語学の学びを続けていました。今、研究を進めている内容は「おんな言葉」について。海外の映画などを日本語に翻訳すると、若い白人女性のセリフは「~だわ」「~わよ」と言い換えられることがよくあります。英語の原文のセリフを見れば、女性特有の表現は使われていないのに。こうした言葉使いを、女らしさと結びつけるということは、長年つづいてきています。

また、言葉は長年使われることで変化を見せます。スラムダンクという漫画の中で、主人公は「~っす」という表現を多用します。この表現は、人間関係を調整するために90年代から若い世代が使ってきているもの。この言葉に最初に触れたときに、なんて便利な言葉だと驚きました。言葉は、人間関係を調整する役割があります。だから、目上の人には敬語を使いますね。ただ、相手との距離感をとろうとわざと使う場合もあるのです。敬語で話さないといけない。けれど、相手との距離は近しい関係でありたいという若者たちが工夫してつくりだしたもの。バブルがはじけ、若い世代と親や目上の人たちとの関係が変わろうとしていた時代です。これは、社会の変化と言葉の変化がわかりやすく表れた一例でしょう。

主要業績

    (著書)
  • 単著『女ことばと日本語』岩波書店 2012年
  • 単著『翻訳がつくる日本語―――ヒロインは「女ことば」を話し続ける』白澤社 2013年
  • 単著『Gender, Language and Ideology: A Genealogy of Japanese Women’s Language』John Benjamins. 2014年
  • 共著『The Political Economy of Affect and Emotion in East Asia. 』Routledge 2014年
  • 共著『The Handbook of Language, Gender, and Sexuality, Second Edition.』Wiley Blackwell. 2014年

私は、学生たちの応援団。

私は、英語の授業とゼミナールを担当していますが、英語の授業では学生たちにグループをつくって教え合うという手法をとっています。特別な理由があってはじめた方法ではないのですが、ただ講義を受けているのと教え合うことでは理解度がまるで違うんだと同僚の教員が教えてくれました。後から気づいたことですが、私の授業のメソッドは間違えていなかったようです。今の学生たちは、私たちの世代に比べれば発音も格段と良くなっています。ただ、大切なことは社会に出て英語を使うこと。だから、度胸をつけてほしい。私の授業はカラオケ大会が毎年恒例。学内のホールを使って、ステージで英語の歌を歌ってもらいます。もちろん、賞品や賞状も用意しているんですよ。

ゼミでは「言葉と社会」をテーマに学んでいきます。言葉に関する基本概念や、性と日本語についての理解を深めっていってもらいます。あと、ちょっと変わっているかもしれませんが、ゼミで発声の練習をすることがあります。企業で働いた経験がない私にとって、就職活動について何を指導したらいいのかと正直に言えば戸惑いもあるんです。でも、就職活動では必ず面接がありますから、少しくらい緊張したってしっかり声を出せるようになっていてほしいなと、この発声練習を取り入れるようになったんです。

学生の中には、私が経験したことのないような辛い思いをした人もたくさんいますそんな学生たちを目の前にして「こう生きていきなさい」なんて、大それたことは言えません。ただ純粋に思うことは「幸せになってほしい」ということ。社会に出た後の学生を、私は応援することしかできません。だから、学生たちが母校に帰ったときに「自分を応援してくれている人がいる」と思ってもらえれば本望なのです。

担当科目

  • 英会話(初級)
  • 上級英語
  • テーマ英語[英語で書いてみよう]
  • ゼミナール
  • 基礎ゼミナール
  • プレゼミナール

もらった仕事は断らない。

自分が「言葉」というものを学んでこられた理由の一つは、やはり若いころにフェミニズムという考え方に触れたことだと思います。書籍の執筆依頼をいただくようになってから、教職員組合や女性団体などで講演をする機会をいただくようになりました。例えば、神奈川県で男女共同参画に関わる職員研修でお話をしたこともあります。

こうして、さまざまな仕事をいただくことは、本当に感謝しないといけないなと思っているんです。もともと、英語が好きで言語学という学問に没頭するようになりました。自分がただ好きではじめたことに、多くの方が興味を持ってくれる。こんなにうれしいことはありませんよね。ですから、できるだけいただいた仕事は断らないようにしたいと思っています。社会の中には、セクハラやDV、性的マイノリティーの存在など、男女平等な社会を築くための課題がまだ残されています。私が、言葉について研究を進めることの中から、よりよい社会をつくるためのヒントを生み出すことができればなと感じているところです。