君塚 直隆

国際文化学部 比較文化学科 教授

基本情報

君塚 直隆
専門分野 近現代イギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史
研究テーマ 立憲君主制下のイギリスにおける政治と外交のあり方
18~20世紀のイギリスを中心とした国際政治史
最終学歴 上智大学大学院文学研究科博士後期課程 修了
学位 博士(史学)
研究キーワード イギリス史 ヨーロッパ史 王室 外交史
 

イギリスの歴史の中に、現代の日本に示唆するものがあります。

子ども向けの伝記が好きで、よく読んでいるような小学生でした。それから、中学生だった1980年にユーゴスラビアのチトー大統領が亡くなったんです。新聞などでそのニュースを目にして、「なんで、小さな国の大統領の死去がこんなに注目されるのだろう?」と不思議に思い、ヨーロッパの歴史に興味を研究するようになったんですね。こうしてヨーロッパの歴史を見ていく中で、2人の人物に注目するようになりました。イギリスのチャーチルとフランスのド・ゴールです。チャーチルとド・ゴールは、ともに回想録を書いて、自分を歴史の中においている歴史家でもあるんです。この2人の人間味溢れる生き方に興味を持って、特に西ヨーロッパに興味を持つようになったんです。

チャーチルが生まれた頃のイギリスに興味を持って調べていくと、19世紀のイギリスは二大政党制が形成されてきた時期。イギリスの政治は「国王は君臨すれども統治せず」と言われますが、どんどん調べるうちに国王が統治に関わっていることがわかってきました。君主制と議会の関係というのはおもしろいなと、イギリスの近現代史にのめり込んでいったんです。

18世紀から現代にかけての議会と王権の関係を国内、国外の関係で見ていくという研究を進めています。18~19世紀にかけて、イギリスが植民地を広げいきます。20世紀になると、少しずつ国力が衰退していくイギリスですが、女王と英語という言語によって結ばれた共同体コモンウェルス(イギリス連邦)を形成し、いまだに世界的に発言力を持っています。ウィンザー城内の王室文書館へ出かけると、さまざまな資料を目にすることができます。女王が実際に書いた手紙などの、一次史料を積み重ね書籍をつくっていくわけです。こうした研究に取り組むのは、自分の興味関心はもちろんですが、イギリスの歴史が現代の日本へ示唆を与えてくれる部分はたくさんあると思うのです。例えば、皇室のあり方。英王室も、20世紀後半からゴタゴタした時期はありますが、いまはとても国民に愛される王室になっています。その理由の一つは、すごく王室の情報を国民に公表していること。もちろん、日本の皇室も国民から愛されていますが、まだまだ国民は皇室の活動を知らないと思うんです。風土や文化はもちろん違いますが、見習うべきところはたくさんあると思いますね。他の国々でも、イギリスのやり方を真似て王室の支持率を大幅にあげたところもたくさんありますからね。

 

主要業績

    (著書)
  • 『ジョージ五世-大衆民主政治時代の君主-』単著 2011年6月 日本経済新聞出版社
  • 『ベル・エポックの国際政治-エドワード七世と古典外交の時代-』単著 2012年9月 中央公論新社
  • 『チャールズ皇太子の地球環境戦略』単著 2013年7月 勁草書房
  • 『女王陛下のブルーリボン-英国勲章外交史-』単著 2014年1月 中央公論新社
  • 『物語 イギリスの歴史』(上下二巻) 単著 2015年5月 中央公論新社
 

授業はまるで芝居のように。

授業をする時に大切にしていることは、講義の内容をきちんと覚えることです。出てくる人物の名前も、生没年もすべて。それを、黒板に書き続けるんです。そうすることの理由の一つは、学生の顔を見ながらやるためです。学生がおもしろそうにしているか、つまらなそうにしているか、それを知りたいんです。そのあたりの表情を見たいんです。わからなそうにしている学生がいれば、どの点が悪かったのかを考えて、次の講義での教訓になりますね。ですから、レジュメやスライドは用意しません。もちろん、人物の顔や地図が分かる資料は配布しますが、基本的には私が話し、板書するやり方にこだわっています。そのことで、学生たちにも緊張感も生まれると思うんです。学生に集中してもらえるように、お芝居をしているようなもの。90分が終わると、すっかり体力が奪われますよ。

また授業では、人物に焦点を当てるようにしています。例えば、神聖ローマ帝国のカール5世。この人の人生を振り返ると、宗教改革のことやオスマン帝国の脅威などがわかるわけです。他にも、ヴィクトリア女王やルイ14世など。こうした人物の生涯を見ていけば、物語としてもわかるし、その時代が見えてくると思うんです。

高校までは、つめ込まれる教育。それはそれで必要なんです。基礎がわかっていないと困ってしまう。その中で、おもしろいと思えることが出てくると思うんです。そこから、専門的なものを見つけて大学に入ってきてほしいですね。それで、大学に入って何かを極められるようにがんばってほしい。きっと企業が求めているのは、大学で何かやったかを明確に言える人だと思うんです。誰にも、これについては負けないというものを持っている人は強いですよ。卒業後、どんな職業についてもいいですが、組織の中に身をおくことになると思います。苦労もすると思うんです。その中で、何か自分に自信を持ちながらも、他の人のために動けるようになるといいですね。そのことは関東学院の校訓「人になれ 奉仕せよ」につながることだと思います。

担当科目

  • ワールドスタディ
  • KGUキャリアデザイン入門
  • 合同ゼミナール
  • 異文化理解入門
  • 卒業論文
  • 基礎ゼミナール
  • イギリス史
  • ゼミナール
  • 外国史
  • 比較日本文化研究
  • 比較日本文化特殊研究
 

「歴史に学ぶ」ことの大切さ。

多くの人が口にする言葉ですが、「歴史に学ぶ」という一言が大切なんだと思います。先人たちの長い歴史は、形を変えながら繰り返します。先人たちが見据えていた部分を、現代人が失っていることもあるわけです。だから、ギリシャ哲学からでも、いまの私たちが学ぶべきことはいくらでもあるわけですよね。歴史を広く深くわかっていれば、いろいろなことに対応できるはずです。政治的な混乱も、経済的な混乱も、人類は何度も経験してきたことなんです。変わっていること、発展していること、退化していること、いろいろだと思うんですね。

いままで学んできたことを、テレビに出演して解説したり、一般書で出版したりということもあります。その他、日英協会で講演したりすることもあります。こういうところでお話したりするのは「人のふり見て、我がふり直せ」という考え方があるからです。日本は皇室があるということもあって、イギリスの王室への注目度は高いですから、さまざまなメディアから声をかけてもらっています。学生でも研究者でもない、一般の方に歴史を知ってもらうということで、より「歴史に学ぶ」ということが広がっていけばと考えています。