福田 敦

経営学部
経営学科
教授

基本情報

福田 敦

専門分野 流通論、中小企業経営論
研究テーマ 流通システム研究、地域商業政策研究、中小企業のビジネスモデル研究
最終学歴 青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了
学位 修士(国際経営学)
研究キーワード 地域商業、商業政策、商店街、中小企業

地域商業の持続可能性と中小企業のビジネスモデルを探る。

私は地域商業の持続可能性と中小企業のビジネスモデルの2つを研究テーマにしています。

わが国は少子高齢・人口減少社会に入り、商店街の衰退や大型店の撤退などにより、日常の買い物にさえ苦労する人たちが増えています。流通の末端機能とコミュニティを提供する場として、商店街の存在意義が問われています。商店街が地域社会と共有できる価値をどのように創出し、これを事業ベースでどのように継続していくか、商店街組織と個店経営の双方の視点から戦略的に議論する研究成果は少ない状況です。中小商業者の中には消費者が共鳴する魅力的な商品を揃え、内部組織のマネジメント力に長け、顧客と良好な関係を築くことで黒字経営を維持する優良企業が多数あります。これらの中小商業者の優位性を規定する要因は何か、それらは時間の経過とともに換えていくことは可能なのか、また最適な支援策はどのようにあるべきかについて研究を進めています。地域のコミュニティ機能と経済的機能を同時に強化する地域商業のあり方についても研究しています。

もう一つのテーマである中小企業のビジネスモデル研究については、公的機関でのコンサルティングの経験から、中小企業の経営者が大企業のサラリーマン出身の経営者とは違う魅力を持つことに惹かれて研究するようになりました。ここでビジネスモデルとは、企業がいかにして売上目標を達成し、どのようにして利益を捻出するかという事業活動の仕組みのことです。例えば、製造業においては完成品ではなく製品の部品・部材生産や特定工程の一部の加工に事業を特化した中小企業が数多くあります。かつては図面どおり部品の加工・製造をしていた下請系列型中小企業は、80年代以降のIT革新とグローバル化により強みを持つ会社でなければ生き残ることが難しい時代になったのです。一部に大企業のIT(情報技術)やAI(人工知能)で労働代替を進めることが、中小企業の生産性向上に結び付くと主張する専門家もいますが、それだけでは十分ではありません。サービス財の要求に対し妥当な金額を課金するビジネスモデルをつくることが大事になります。また、優良中小企業に関する研究では、日常のオペレーションを上手に遂行する能力が高いほど優良性を発揮することが分かっています。つまり、ITやAIを導入した後にこれらをうまく使いこなし、適正な利益を獲得するシステムを構築しなければ、生産性の向上は期待できないということです。さらに、親事業者による下請事業者(中小企業)に対する不公正な取引が近年でも毎年5千件以上あって、中小企業の生産性向上を阻害する一因になっています。

経済のサービス化に伴い、GDPに占めるサービス産業の割合は既に7割を超えています。ただし、過去50年間の労働生産性の上昇率は、製造業に比べてサービス産業は半分以下の水準にあります。生産性の伸びが低いサービス産業のウェイトが拡大することで、経済全体の生産性が低下する現象(ボーモル病)を克服することが課題になっています。こうしたマクロ経済からの要請に呼応する観点からも、生産性が高い優良中小企業のビジネスモデルを研究することの意義が見いだせます。

 

主要業積

    (著書)
  • (共著)『基礎から学ぶ流通の理論と政策 新版』八千代出版2016年
    (学術論文)
  • (単著)「中小サービス業の優良性に関する考察」商工総合研究所『商工金融』2015年
  • (単著)「商店街の経済的機能と社会的機能」全国商店街振興組合連合会『Plaza』2015年
  • (単著)「中小小売業と類型化と優良企業のプロフィールに関する考察」『経済系』 2015年
  • (単著)「戦略観に基づく中小製造業の類型化と優良企業に関する考察」『日本地域政策学研究   (第12号)』2014年

社会人としてプロ意識を持った学生を育成する。

私は社会人から教員になったので、今の学生気質を前提としながらも彼らの長所を生かし、彼らの足りないところをフォローすることで、社会から期待される有為な人材を輩出することを教育上のミッションと考えています。学生が主体となって取り組めるように、ゼミでは現場で学生がチームで課題解決する提案を考え、それを企業や市民に向けてプレゼンテーションするPBL(課題解決型)教育を着任後3年目の2004年から導入しました。具体的には、都内をフィールドとする学生によるまちづくりプレゼンテーション大会への参加、横須賀市や大田区の商店街の活性化に向けた提案、神奈川産学チャレンジへの参加、学生が中小企業の会社案内を作成する志プロジェクトへの参加などです。私は参加機会を提供すること以上にこちらから関与はしません。ゼミでは合宿などの行事も企画から会計報告まで学生主体の運営を基本としています。学生が自分で必要なことに気づき、やってみたいように企画し、合意を取って行動し、教員には経過報告と相談ができることが大事だと思っています。失敗することは決してかっこ悪いことではありません。失敗の経験が無い学生は胆力が弱い傾向があります。学生一人ひとりが持っている可能性を引き出すこと、原石を見つけて磨くことが教員の仕事ではないでしょうか。ゼミの学生には「勉強は楽しく、遊びは真剣に」そして「先輩を超えろ」と言っています。いろんな人とコミュニケーションをとって、人に仕事を任せてもらえるプロ意識をもった人材を育成する、こうした教育を今後も模索していきたいと思います。

 

担当科目

  • 流通システム論Ⅰ、Ⅱ、演習
  • 基礎ゼミナール
  • 専門ゼミナール
  • 大学院流通システム論特殊講義
  • 大学院流通システム論特殊研究
  • 大学院地域商業論

社会活動に携わることで研究の幅を拡げる。

現在、複数の学会で理事に就いています。学会の理事職にある方は、研究面での評価はもとより学部長経験者など幅広い見識を備える方も多く、理事会での真摯な議論は豊富な知見による課題解決に向けた議論が大変勉強になります。また、行政の首長から任命される審議会委員や各種の審査会委員は教育・研究の幅を拡げる機会にもなっています。今後も社会と向き合った教育・研究活動に取り組んでいく所存です。

取材・原稿作成 関東学院大学広報課