施 桂栄(し・けいえい)

人間共生学部
コミュニケーション学科
教授

基本情報

専門分野 社会心理学、組織心理学
研究テーマ 組織体におけるリーダーシップの有効性
最終学歴 広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程 修了
学位 博士(学術)
研究キーワード リーダーシップ、人間関係、チームワーク、組織、コミュニケーション

よりよいリーダーシップのあり方を考える。

もともと、人間の行動や人付き合いというものに関心を持っていて、中国で理工系の大学に通っていた学生時代にも独学で心理学を学んでいました。当時の中国ではまだ心理学の分野は発展途上の段階でしたし、独学で学ぶことの限界も感じていて、いつか留学して系統的に学ぶ機会を得たいと考えていました。1996年に、日本の大学院へ進学する機会があり、心理学の研究者へと進む道を得ることができました。

大学院生時代からの現在までつづく長期での研究テーマは、組織におけるリーダーシップについて。リーダーの行動が、周囲にどのような影響を与えるかということに関心を持ってきました。組織におけるリーダーというのは、権限や権力を持っている人だと勘違いされがちですが、必ずしもそうとは言えません。リーダーが、権力を振りかざすことは正解ではありません。部下や仲間に尊敬され、チームワーク円滑な職場はどうあるべきか、検討を重ねています。

研究は、企業などに協力を得ながら進めています。職場での人間関係についてアンケートや、インタビューを通じて、課題やその解決の方法を探っていきます。人間関係が円滑でない職場では、多くの場合にコミュニケーション不足という問題を抱えています。年齢や考え方の違う人々が集まる中で、コミュニケーションを通じてギャップを埋めていくことが大切です。もちろん、リーダーや組織といっても様々ですから、解決方法を提案するにも、様々な点を考慮しなければなりません。

こうした研究を通じて、組織の目標達成に貢献できればと思っています。組織は、日々小さな目標をクリアしながら、その組織として掲げる目標をクリアしようしていくものです。日々の目標をクリアしようとする現場が、どうあるべきかの検討と提案を重ね、よりスムースな組織の目標達成につながればと思っています。そのことは、組織の経営者だけに資することではなく、同時に働く人たちにとってもよりよい職場環境をつくることにつながっていくはずです。

 

主要業積

    (著書)
  • (共著)『マネジメントの心理学』ミネルヴァ書房 2014年
  • (単著・翻訳)『悟空、やっぱりきみがすき!』ポプラ社 2014年
  • (共著)『コミュニケーション入門』関東学院大学出版会 2016年
    (学術論文)
  • (共著)「ヒューマンエラー防止のための安全教育手法の開発と実践」労働科学第89巻第6号 2014年
  • (共著)「部下の暗黙のリーダー像がリーダーの誠実性の効果に及ぼす影響-日中両国の企業組織を調査対象とした研究-」産業・組織心理学研究 第30巻第1号 2016年

講義は聞くだけではなく、考えてもらうために

私の講義では、学生たちが聞くだけではなく、考えることを重視して進めていきます。講義ですから、私の持っている知識を説明していくのですが、それに加えて、その知識の活用方法について、学生に考えてもらえるよう意図的に問いを投げかけます。具体的には、私がリーダーシップについて説明したとします。その時には、学生たちには自分たちのことに置き換えてもらって、考えてもらうようにします。例えば、所属しているクラブやサークルのリーダーが誰なのかを考え、そのリーダーがどのように行動することで、周囲によい影響をあたえるかなどを、考えてもらうようにします。そうすることで、学生が自分自身のこととして、考えることができるようになるのです。

また、初回の講義では「聞くだけではなく、自分の五感を使って主体的に学ぼうとする態度や姿勢が重要です」と学生たちに伝えています。これは、学生たちが社会人となったあとのことも想定しています。就職のために、大学での学びがあるわけではありませんが、社会人になった時に、主体的であろうとする態度や姿勢は重要です。主体的であろうとする人は、思考力や質問力、課題解決力を自然と身に着けていくことができる人です。そうした人は、社会に出て状況や環境が変わっても適応できる人だと思うからです。

私の授業やゼミでの学びを通じて、学生たちには仲間と行動できる人であったり、人と人の関係に関心を持てる人になってほしいと思っています。そうした人が増えていけば、組織だけでなく日々の暮らしや社会における人間関係がよくなり、多くの人が幸福を感じられる社会が実現していくと思うからです。

 

担当科目

  • 教養ゼミナール
  • 共生とコミュニケーション
  • コミュニケーション入門
  • 社会心理学
  • 基礎ゼミナール
  • ゼミナール
  • 人間関係の心理学
  • 人間関係づくり演習
  • 組織行動の心理学

研究成果の提供を通じて、よりよい経営、よりより職場環境を

私の研究は、組織での人間関係を調査することが不可欠です。製鉄会社や化学メーカー、病院など、多くの企業や団体の皆さんにご協力いただいて研究を進めています。ですから、ご協力いただいている皆さんに、少しでも恩返しができればとも思っています。研究で得た考察を通じて、企業に様々な提案をするようにしています。

例えば、企業の人事担当の方に「新規採用にあたっては、こんな人材が必要ではないか」とか、「OJT(on the job training:日常業務を通じての社員教育)では、こういう方法がいいのではないか」といった提案をしています。

このように、研究成果を社会に提供していければと思っています。こうした取り組みを通じて、企業経営の目標達成につなげていったり、そこで働く人たちにとってよりよい職場環境をつくったりすることにつながっていけばと考えています。



取材・原稿作成 関東学院大学広報課