新井 信一

人間共生学部
コミュニケーション学科
教授

基本情報

新井

専門分野 財務管理論
研究テーマ 福祉サービスに関わる法人・企業の業績分析
最終学歴 筑波大学大学院経営・政策科学研究科修士課程修了
学位 経営学修士
研究キーワード 企業財務、福祉サービス、業績分析

福祉に関わる人々に資する提案ができれば。

私は、中学校から関東学院に入学しました。高校卒業後には関東学院大学の経済学部に進学しました。中学高校そして大学と、多くの先生のお世話になりましたが、高校時代に政治経済を担当された先生のことは忘れられません。授業は教科書に取り上げられている内容に関連した新書を読み、レポートをまとめる形で進められました。この特色のある授業を通じて、学ぶことの楽しさや社会的課題に関心を持つことの大切さに気付くことができました。当時、関東学院大学にあった経済学部、文学部、工学部の3つの学部から、社会科学系の経済学部を選んで進学したのは、この先生との出会いがあったからだと思います。

現在の研究テーマは「福祉サービスに関わる法人・企業の業績分析」です。もともとは一般企業の業績や財務の分析をテーマにしていたのですが、十数年前に福祉関係の専門学校で非常勤講師として教壇に立ったことがきっかけです。2年間のゼミナールという授業で、事例研究や実習のまとめに関わり、福祉の分野に関心を持つようになりました。多くの学生が福祉の職場で働いており、ここで働く人の待遇に関わる報道も数多くなされています。私がこれまで関わってきた財務という視点から福祉を見て行き、卒業生が働く業界の課題等を把握したいというのが、私の問題意識の原点です。

私の研究方法は、主に定量的な方法を用いて進めていきます。社会福祉法人や、福祉サービス行う企業の財務状況についてデータベース化を進め、分析していく方法です。ようやく、福祉分野の社会的役割がますます重要視される中で、2014年には社会福祉法人も財務の公表義務が課されるようになっています。しかしながら、長年一般企業の財務について研究する中で、定量的な方法では見えてくるものには限界も感じています。ですから、実際に働く人や経営者のお話を聞くことも重要だと思うようになってきました。

企業財務とは異なる社会福祉法人等の財務状況を比較し、よりよい財務状況の法人について、その理由を探れば、他の多くの法人や福祉業界に資する政策提案ができるのではないかと思います。ただ、答えは1つとは限りません。例えば、横浜と他の政令指定都市、神奈川のような首都圏と地方では、経営状況は異なるはずです。それは、利用者のニーズや各自治体の政策に差異があるからです。社会福祉は、少子高齢化が進む中で、ますます重要になる業界です。しかし、3年ごとに改定される介護報酬に事業者は少なからず影響を受け、一法人や一企業の努力では解決できないことがたくさんあります。私がこの研究テーマを掲げてから、まだまだ手付かずの部分が多いですが、研究を進める中で、いつかはこの業界やそこで働く人々、そして利用者にとって、プラスとなるよう助言ができるようになればと考えています。

 

主要業積

    (著書)
  • (共著)『経営財務と企業評価』同文舘出版 1996年
    (学術論文)
  • (単著)「企業の環境投資に関する資金調達の現状」関東学院大学人間環境学部紀要 2004年
  • (単著)「介護ビジネスに対する財務アプローチ」教育研究 2005年

研究室の壁は、ゼミの歴代の卒業生やそのお子さんたちの写真で埋められています。

私は、コミュニケーション学科でビジネス関連の科目を担当しています。特に、ゼミナールでは、学生たちが現場の人と会ったり、話したりする中で、社会人の考え方やコミュニケーションの方法を体験的に学修する場を提供するということを心がけています。その原点は、2007年~2011年の5年間にわたり、株式会社スタジオアリスと産学連携講座として開設した「こどもビジネス概論」と「こどもビジネス実習」です。近年では地元の通所介護事業者やレジャー施設、商店組合などと連携した取り組みを進めています。基本的に、こうした企業や団体の方とのやり取りは学生が担います。学生が学外の方とやり取りをする中で、課題を見つけ、場合によっては協働した取り組みを進めていきます。2016年7月には、横浜南部市場の商店会への利用者誘致に向けて、ゼミの学生たちが市場を紹介するパンフレットを作成しました。また、地元金沢区の小規模通所介護事業者連絡会とも活動をしており、その一端が新聞でも紹介されました。こうした時に、私はできるだけコーディネーター役に徹するようにしています。学生が自ら気づき、能動的に行動することを大切にしたいと思うからです。

特にゼミの学生たちに対して、私は2番目の父親でありたいと考えております。実の息子や娘ではありませんが、その成長を見守る立場でいたいのです。授業時間だけではなく、多くの場面で行動をともにし、相談に乗ったり、時にはゼミの運営について学生に相談したりしながら進めています。以前在職していた関東学院女子短期大学から、その後人間環境学部、人間共生学部へとリニューアルする中で、私には多くの息子と娘ができました。息子や娘との関係は、当然彼らの在学期間の面倒を見れば終わるものではありません。一度は親子になったのですから、卒業したらおしまいでは親としても寂しいです。おかげさまで、卒業生の多くが、転職や結婚、あるいは出産といったそれぞれ人生の岐路ごとに連絡をくれます。いつの頃からか、私の研究室の壁は、この息子や娘たち、それにその子どもたちの写真で埋め尽くされてきました。そして、大学の教員を長く続ける中で、多くの孫の顔も見ることができるようになりました。

私は学生が、卒業して幸せな人生を送ってほしいと願ってやみません。そして、この壁を更に埋めていきたいと願っています。

 

担当科目

  • 教養ゼミナール
  • コミュニケーション入門
  • 人間共生論入門
  • データベース・ソフトの活用
  • 基礎ゼミナール
  • ゼミナール
  • 企業分析
  • コンピュータ・リテラシー
  • 財務管理論
  • ビジネス・コミュニケーション
  • ビジネス・マネジメント
  • ビジネス・キャリア演習

社会で幸せを感じられる人は、誰かを幸せにできる人。

私の第一の役割は学生を教育することだと考えています。社会に出た後にも、幸せを感じられる人生をこの子たちに送ってほしいと願うからです。そのためにも、まずは大学を卒業する時に安定した職に就くことは、これまでの大学教員としての経験上、重要なことだと思っています。

就職活動の成果がなかなか出ない学生がいれば、企業経営に携わる知人に「ぜひ、学生に会ってくれないか」と依頼したこともあります。また、授業で実社会の話をして欲しく大学のOB・OGにゲスト依頼をしたこともあります。こんな時に手を貸してくれるのは、中学校高校あるいは大学時代に机を並べた友人たちです。ここ横浜には、関東学院の卒業生で企業経営を担う人たちが数多くいます。そんな友人たちが「関東学院の学生だから」「新井が紹介してくれる学生なら」と声をかけてくれたことは、一度や二度ではありません。

「就職活動まで一から十まで面倒を見ることは、研究者の仕事ではない」と、お叱りを受けるかもしれません。ただ、私は大学で教壇に立つ者として、まずは学生との時間を優先するというスタンスでいますし、それを崩すつもりはありません。多くの時間をともにする学生たちは、私にとって愛おしい息子や娘。自分の子どもの幸せを願わない親はいないはずです。この子たちが社会の中で幸せを感じるために必要な力を、ここで身につけてほしいのです。そのために必要な時間と苦労は、少しも煩わしいものではありません。なぜなら、この社会の中で、幸せを感じられる人を少しでも増やしていきたいから。そして、誰かを幸せにできる人は、きっと自分自身も幸せを感じている人だからです。私の息子や娘たちには、そんな人であってほしいと考えています。

取材・原稿作成 関東学院大学広報課