留畑 寿美江

看護学部
看護学科
准教授

基本情報

留畑 寿美江

専門分野 老年看護学
研究テーマ 高齢者への看護技術に関する研究、加齢と温熱応答に関する研究   
最終学歴

広島大学大学院保健学研究科博士後期課程単位取得退学

学位 修士(看護学)

看護の分野から高齢者を支えるケアの知見を見出したい。

私は高齢者への安全、安心を提供する看護技術の基礎研究を行っています。看護技術は血圧測定を行うにも、姿勢や腕の締め付けなど条件を整えることで正確な値を測定することができます。その条件を見出すために、これまでに多くの研究者が研究をし、根拠を示してきました。ここに、高齢者、加齢に伴った身体状態の変化に対応する看護技術の必要性を感じ、私は研究を進めています。

主に、温罨法(おんあんぽう)といわれる、身体を温める看護技術があり、この体を温める作用が高齢者の身体や心理にどのような効果や変化をもたらすのかを調査してきました。高齢者から観察される生体反応を成人期と比較することで、高齢者の身体のことを知ることができると考えています。これまでに、排尿、便秘、腰痛、肩凝りなど局所を温めることで、症状が軽減されることを確認してきました。看護の視点だからこそ取り組める、症状と生活の質の関係性も注目しています。調査は、地域社会で元気に生活されている高齢者の方に研究室にお越しいただき、心電図、血流計、体温計を装着してもらい身体の反応を詳細に調べています。痛みは全くなく、研究に協力してくださる方々からは、健康チェックをする気分で参加しているとよく声をかけてもらっています。健康な人で対処療法が解明できれば、のちに病気の人にも応用することができると信じています。また、若い人に起こる反応と高齢者に起こる反応を比較することによって、年齢による身体の変化に応用ができます。

このように、人を対象とした研究なので、極めて信頼関係の構築が重要になります。調査には、特に排泄の調査の場合、初見で普段の状態になることは難しいですよね。まずは、看護において重要な信頼関係構築からこの調査ははじまります。一緒に映画を見たり機材説明をしたりと徐々に私という人間を知ってもらい、本調査を行うまでに何度か会って安心していただける関係をつくっていきます。調査はそれからです。じっくり、高齢者の方と向き合い、有効なケアを提供できるための研究を続けていきたいと思っています。 

主要業積

    (学術論文)
  • (共著)「4週間の排便記録による排便パターンの実態調査」 日本看護技術学会雑誌2012年
  • (単著)「尿排泄機能に及ぼす加齢の影響:高齢女性と若年女性の比較」 日本老年医学会雑誌2012年
  • (共著)「個別のアクティビティとして夕方に行うおしゃべりが認知症事例の夜間睡眠に及ぼす効果」 日本認知症ケア学会2013年
  • (共著)「排便パターン分類に必要な観察期間の検討―4週間から2週間への短縮化の可能性―」 日本看護技術学会誌2016年
  • 教材)(DVD)「日常生活における高齢者のヘルスアセスメント」全5巻 2016年

看護のあるべき姿を感じてほしい。

看護の仕事はキツイという印象を持たれ易く、特に高齢者の領域になると、残念ながらその印象はさらに強く思う方が多いと思います。人と支える、関わることに容易いことはないと思いますが、未体験のことに対して、最初から「NO!」とならないように、講義では高齢者の豊かな経験、知恵を私が高齢者から学んだことを必ず1回は学生たちに伝えられるよう、取り組んでいます。なるべく、楽しい講義を学生と共有できるように努力中です。老年期は、年を重ねない限り、学生自身は実体験をすることはできません。それゆえ、高齢者看護を学ぶためには、高齢者のことを想像することが必要です。高齢者と称される人、一人ひとりに歴史があり、そして今があります。そのような高齢者の方に対して、学生には、人のいたみや思いのわかる人になってほしいと願っています。当たり前を当たり前と思わずに生活をしてほしいと思います。看護とは、「病気」を看ているのではなく、「人」を看ているのです。ですので、自分にとっては当たり前のことも、病気の人にとっては当たり前ではありません。人と関わる仕事ですから、その人の状態、気持ちに寄り添ってほしいですね。

例えば、「高齢者は視力が悪く生活が大変」と言っても、実際にその年齢やその状態にならないと何が不自由なのかわかりません。そこで、講義資料をぼかして高齢者の視界に少しでも近づけて、学生が想像できやすいようになれば良いと考え、教材を工夫しています。他にも、1度使用したティッシュペーパーをきれいに取っておいて、もう一度使う行動をした高齢者がいました。その行動を見て、すぐに認知症だと断定してよいでしょうか。戦争や戦後の食料だけでなく衣服のほかの日用品のなにからなにまで不足していた時代を逞しく生きた方には、物に対して特別な感情があります。もったいないという気持ちでとった行動かどうか、その人の時代背景や価値観も考えて判断するようにと指導しています。対象は「人」ですから、その人を知る必要があります。信頼関係を築くための文化や時代を勉強することも看護の一つです。そういった意味合いが学生に伝わるような講義をいつも心掛けています。勉強に対して意欲的で、知らないことに貪欲に取り組む学生に期待しています。

 

担当科目

  • 老年看護学援助論
  • 老年看護学演習
  • 老年看護学実習
  • 論文購読
  • 看護学研究方法論
  • 統合看護実習
  • 卒業研究

観察力を学ぶための教材を作っています。

看護師にとって、最も基本的であり、かつ重要で実際に役立つものは確かな観察力です。ナイチンゲールは「観察の習慣を身につけられないのであれば、看護師になることを諦めた方がよい」とまで述べています。

「看護師はそこに看護を必要とする対象者がいる限り、わたしたちは観察力、洞察力、知識、実行力、共感力を専門職として保持していたい能力である」これは、わたしが学生であった時に教員から幾度となく教授を受け続けたことです。臨床経験をした人は、この観察力をはじめとするそれぞれを習得することの必要性を身をもって感じたことがあると思います。学生のときに、もっと学習すれば良かったと私も思いました。

そこで、日常生活、たとえば食事、談笑、「おはようございます」の挨拶などどこにでもある場面から、どのようなことが観察できるかを学習できるDVD教材を作成しました。このDVDは、高齢者とはじめって会ったときから観察をすることが大切ですよということを示したものです。患者さん、特に高齢者になると、言葉と行動が違っていたり、医師の前では話が上手にできなかったりという方もいます。言葉だけでなく、歩いている姿や表情などあらゆる面を詳細に観て、どこが痛いのかを察していきましょうというものを具体的に表しています。

このDVDを活用していただいて、高齢者の看護に必要な観察力を少しでも獲得してもらえたら嬉しいですね。

取材・原稿作成 関東学院大学広報課