リサ G.ボンド

建築・環境学部
共通科目
教授

基本情報

専門分野 英語教育、日本思想史
研究テーマ 日本宗教思想史。特に浄土真宗の思想
英語の教材の研究と作成
最終学歴 筑波大学大学院哲学・思想研究科倫理学専攻 修了
学位 修士(文学)
研究キーワード 仏教思想、浄土真宗、英語教育、
英語教材、サービスラーニング

サービスラーニングと呼ばれる教育手法を、大学教育に還元するために。

 大学入学前に、インドを1ヶ月ほど旅行する機会がありました。この旅行を通じて、自分の母国であるアメリカを外から見ることの大切さに気づかされました。それで、大学在学中に福岡の西南学院大学へ9ヶ月間留学する機会を得たんです。この福岡での留学経験を通じて、仏教を中心とした日本の宗教への関心が広がりました。そして、大学卒業後に、カンザス州立大学大学院に入学し、それから国費留学生として、筑波大学の大学院で日本思想を学ぶために、ふたたび日本にやってきました。それ以来、日本で過ごしています。

 現在は、「サービスラーニング」についての研究を進めています。私がこれまでに研究してきた浄土真宗は、社会福祉的な活動に長年密接に関わってきました。また、法然や親鸞、日蓮など、日本の新しい仏教の流れが始まる鎌倉時代には、多くの仏教指導者が社会福祉的な取り組みに参加しています。アメリカでも、キリスト教の教会による社会的弱者に対するさまざまな取り組みが、現在でも活発に行われています。宗教に関心を持っていた私が、サービスラーニングという教育手法に関心を持つようになったことは自然なことでした。

 数年前に、長期在外研究の制度を利用してハワイでサービスラーニングの活動を実体験してきました。ハワイ大学では、サービスラーニングがカリキュラムの中に組み込まれています。一つの例ですが、福祉を学ぶ学生たちが、学外でお年寄りの買い物や身の回りの生活のお手伝いなどの奉仕活動に参加するのです。こうした取り組みに参加する目的の一つは、地域のニーズに学生自身が学習する内容をどのように役立てられるか考えてもらいたからです。何かの役に立つことを理解しているのとしていないのとでは、学生の学びへの姿勢や学びそのものの持つ意味が変わってきます。漫然と学ぶことでは得ることのない目的意識を持つことの大切さです。また、こうした取り組みは複数の学生がチームをつくって参加します。ですから、チームワークを保つためのコミュニケーションの方法を学ぶ機会にもなります。

 私は、こうしたサービスラーニングのようは、学生が能動的に学修するきっかけをつくるための教育手法を、関東学院大学の教育に導入していければと思っています。もちろん、すでに多くの関東学院大学の教員が、学生とともに地域でさまざまな活動に参加しています。さらにこれらの取り組みを強化しつつ、学ぶことの意義や目的を明確にしながら教育をすることができれば、より社会的な関心や問題意識を持った学生を社会に送り出せるのではないかと思っています。

主要業績

    【著書】
  • (共著)『Departure English Expression I(高校教科書)』大修館書店 2013年
  • (共著)『Contemporary Approaches in Education. "Issues of Introducing Service Learning in the General Curriculum: A Case Study of Foreign Language Classes and Issues of incorporating Service Learning in the Curriculum at a Japanese University."』 Peter Lang, Academic Publishers: Frankfurt 2015年
  • (共著)『Contemporary Approaches in Education. "Integrating Service Learning and Teacher Education: Preparing Teachers for Diversity."』Peter Lang, Academic Publishers: Frankfurt 2015年
    【学術論文】
  • (単著)「Self-Assessment: Possibilities for Young Learners of English in Japanese Elementary Schools」関東学院大学工学部教養学会「科学/人間」43 2014年
  • (単著)「Raising the Bar: Changes in the Oral Assessment for Students in the Colleges of Science and Engineering and Architecture and Environmental Design」関東学院大学工学部教養学会「科学/人間」45 2016年

外国語を学ぶことの意義を見出せば、学びへの姿勢が変わってきます。

 主に建築・環境学部と理工学部の語学のクラスの授業を担当しています。両学部とも、1年時は英語のクラスが必修になっていますが、残念なことに英語を学ぶことの意義を見出せずに入学してくる学生が大半な状況です。そうした学生たちに、目的意識を持ってもらうために、社会の中のどんな場面で英語が使われているか調査をしてもらいました。さらに、自分が英語話者になったつもりで生活すると、どんな不便があるかも考えてもらいました。観光地には英語の案内があるけれど、それが途中でなくなってしまうとか、地名の標記にバラつきがあって混乱が生じてしまうことなどに、学生たちが気づいてくれるようになります。そうすると、中には「英語版のわかりやすい観光案内アプリを作ってみたい」などと自分の専門分野の学びと関連した目的意識を持つ学生が現れてくるようになりました。

 若い学生たちは、長年「英語は必要だよ」と言われて育ってきています。しかし、実感として学ぶ必要性を感じられずに過ごしてきた学生が多いのも事実です。学ぶ必要性に気づけば、学びへの姿勢や意欲が自然と変わってきます。1年生でその意識が持てれば、それぞれの専門の学びに進む上でも意識が変わってくるはずです。

 外国語を学ぶことは、理系の学生にとっても意味があることです。グローバル化が進み、日本人技術者が海外へ出ることは、もはや普通のことになっています。こちらから海外へ出ていかなかったとしても、外国人技術者が日本企業で働く場面も増えてきました。そうした場面で、流暢に英語を話せる必要はありません。しかし、外国人と出会ったときのコミュニケーションの方法を少しでも知っていることは、その学生の将来の一助になるのだろうと思っています。

担当科目(2016年度)

  • 総合英語(オーラルコミュニケーション)
  • アカデミックライティング(I・II)
  • アカデミックプレゼンテーション(I・II)
  • 教養セミナ
  • 総合英語(ライティング)
  • 比較社会論

興味や関心を引き出せる英語学習を。

 15年ほど前からでしょうか。NHKの中高生向けの語学番組の英文校正を担当するようになりました。NHKでは番組と連動してテキストを発行していますが、そちらの校正も担当しています。また最近では、中学校や高校の英語の教科書の作成も担当しています。実は、大学で仕事をするようになる以前は、茨城県の私立高校に数年間勤務していました。当時は、主に帰国子女の生徒が在籍するクラスを担当していましたが、もちろん受験の指導などもしていたんですよ。NHKの番組や教科書の作成に携わる中で、高校の教壇に立った経験が役立っていると感じています。いかに、興味や関心を持ちながら楽しく英語を学んでもらうかを考えることは、まさに腕の見せどころ。気をつけていることの一つは、英語も時代とともに表現が変わりつつありますから、古い表現を現代的な言い回しに置き換えるように工夫しています。

 こうした取り組みを長年続けていたところ、文部科学省から学習指導要領の改訂に協力してほしいと声をかけてもらいました。2008年から利用されている中学校の学習指導要領の改定作業に携わった英語のネイティブスピーカーは、私一人。少し驚きましたが、他の先生方と話し合いながら、中学生が少しでも自発的に英語を学んでもらえるように提言をしてきました。

 また、2016年に関東学院大学が横須賀市の久里浜商店会と共同して立ち上げた地域活性化拠点「久里浜オリーブ・ブランチ」では、中高生と一般の方々向けの英語教室を開催しています。サービスラーニングの拠点として活用することはもちろん、多くの人々が英語教室に参加することによって、グローバル化が進む社会で、少しでも外国の言語や文化に触れるきっかけになればいいなと思っています。

取材・原稿作成 関東学院大学広報課