中原 功一朗

経営学部
経営学科
教授

基本情報

専門分野 英語学
研究テーマ 言語と社会
効果的なコミュニケーション
最終学歴 ウエストバージニア州立大学大学院外国語学研究科修士課程 修了
学位 M.A.(文学修士)
研究キーワード 言語学、英語学習、英語教育、外国語教授法、
コミュニケーション、ビジネス英語

英語は完璧に発音しなくても構いません。

 高校時代、英語だけは得意だったんです。それで、外国語学部のある大学に進学しました。大学では、英語と商業経済について学んでいました。もともとは、商社マンになれればと思っていたんです。ただ、大学3年生の時にアルバイトで英会話学校の講師を務める機会がありました。そこで、先生になるのも悪くないなと方針転換。大学卒業後には、米国のウエストバージニア州立大学に留学する機会を得て、外国語の教授法を学んだんです。

 現在、複数のテーマで研究を進めていますが、その一つが東南アジアにおける英語教育の調査です。フィリピンやシンガポールなどは、現地の言語に加えて英語が公用語とされています。彼らが、英語を学ぶ方法を調査することで、日本における英語教育への示唆を見つけられればと思いスタートさせました。実際に、フィリピンではビジネスマンや大学、専門学校の学生、初等・中等教育学校の在籍生を対象にしたアンケートや聞き取り調査も行いました。

 東南アジアの英語教育の環境は、日本に比べればどうしても見劣りします。日本では音声教材も充実していますし、CALL教室などと呼ばれるコンピュータを利用した学習環境を整えた教育機関も多くあります。では、その見劣りする環境で、どうやって発音などを教えているのか?現地の英語教員に尋ねてみると、彼らは自信たっぷりに「生徒の発音のモデルは私だ」と答えるのです。日本の英語教員は、ここまで言えない人が多いでしょう。

 もちろん、社会環境の違いも見逃せません。行政機関から英語で書かれた公文書が発行されていますし、就職においても英語ができるかできないかは日本と比べられないほど大きなポイントです。給料にも大きな差がでます。自ずと、学ばなければならない環境があるんです。 調査を進めている中で気づくのは、日本の英語学習者とマインドが違うということです。日本人は、完璧な発音や文法を目指し、それができないとなかなか会話までつなげることができない人が多くいます。恥ずかしがってしまうんですね。彼らは違います。どんどん、英語を使うんです。

 今や英語は、英国や米国などの英語圏のための言語ではありません。国際英語と呼ばれる概念が生まれています。多くの国の人々が、それぞれの”なまり”を許容しながら、コミュニケーションをとっています。ネイティブと同じ発音でなくても構いません。早く話せる必要もありません。けれど、話さなければ、言葉は意味を成さないのです。グローバル化がさらに進む中で、多くの英語話者に”日本なまり”にも慣れてもらわないとですしね。では、どうやって日本の英語学習者のマインドを変えていくか。これは、現在の日本の語学教育における大きな課題。これの解決方法を、更に探っていきたいと思っています。

主要業績

    【著書】
  • (単著)『コスモポリタンの知性と感性』ブイツーソリューション 2013年
    【学術論文】
  • (単著)「「場所」から読み解く『野わけ』」関東学院大学経済学部総合学術論叢『自然・人間・社会』第58号 2015年
  • (単著)「シンガポール人の英語使用とアイデンティティ」関東学院大学経済学部総合学術論叢『自然・人間・社会』第59号 2015年、『英語学論説資料』 第49号(2015年分)に再録予定
  • (単著)「異文化コミュニケーションと共通言語媒体」関東学院大学経済学会研究論集『経済系』第255集 2013年、『英語学論説資料』 第47号(2013年分)に再録
  • (単著)「フィリピンの小学生の英語への取組」関東学院大学経済学会研究論集『経済系』第250集 2012年

教育はオーダーメイド。一人ひとりに合わせた学びを提供する。

 米国の大学で学んで帰国した後は、子ども向けの英語教材を開発販売する会社で働いたり、いくつかの専門学校や大学で教壇に経った後に、1999年から関東学院大学の経済学部で英語を教えはじめました。

 30人程度のクラスでは、テキストの例文を利用しながら、学生に質問をして答えてもらうような形をとっています。できるだけ、インタラクティブ(双方向、対話)な形で授業を進めるように心がけています。旅行や日常生活、あるいはビジネスの場面で英語を使う基礎的な力を身につけてもらうことを意識して授業を進めています。

 近年、高校までの英語教育が転換され、文法重視から会話重視にシフトしてきています。学生たちの様子を見ていると、音声教材の発達やALT(外国語指導助手)が授業に参加する機会が増え、発音は格段とよくなってきています。ただ、文法に関する知識は、少し落ちてきている印象もあります。どちらを重視するかは一長一短ですが、論理的な思考を身につけるためにも文法を学ぶことは効果的でもあるんです。

 大学は毎年多くの学生を受け入れています。学生の能力やマインドは、当然一定ではありません。画一的な教育では、成果は出ないのです。私の授業を受けた学生には、入学したときよりも少しでも英語力を身につけて卒業してほしいと思っています。そのためには、一人ひとりの英語力や思考を見極め、指導方法や教材も使い分けるよう心がけています。時には、生活環境にも目を向けます。一人暮らしで金銭的に苦労していて、なかなか学びに目を向けきれない学生に、自宅から持ってきたお米を分けてあげたこともありました。

 もう一つ心がけていることは、自分が接している学生たちが学んでいることにあわせ、私自身も学ぶ必要があるということです。経済学部で教えるのに、より経済に対する理解が必要だと思い、通信教育の経済学部に通いました。2017年からは、学部改組で経営学部を担当することになり、ビジネスに関する知見を深めようと努力しているところです。また、近年ラグビー部の部長を務めていて、運動部に所属する学生との接点が増えました。彼らが関心を持っているスポーツビジネスやマネジメントの分野についても、理解を深めようと学生たちにあわせて学びを進めています。

担当科目

  • 海外語学演習
  • 英会話(中級)
  • フレッシャーズ・イングリッシュ(初級)
  • テーマ英語[経済・経営の英語]
  • ゼミナール
  • 基礎ゼミナール
  • プレゼミナール
  • 言語と社会

英語を学ぶ人に、自分の知見を提供したい。

 自分の知見を、学生を対象の授業以外にも、さまざまな形で提供していくことは大切なことだと思っています。例えば、関東学院大学が主催している生涯学習講座では、長年TOEIC対策講座を担当してきました。学生の参加もありますが、中心はビジネスの世界で活躍している社会人が多いですね。 また、通訳養成の仕事に関わっていた時期もあります。この他に、企業研修の依頼もいただきますね。ビジネスの世界で使われる実用的な英語を指導する講座などを担当しました。

 グローバル化が進む中で、少しずつですが日本も英語を必要とする社会に変わってきています。英語学習の重要性は増すばかりです。社会的養成もあり、英語学習者が増加を続ける中で、自分の知見を提供することで皆さんのお役に立てられればと思っています。

取材・原稿作成 関東学院大学広報課