真保 智行

経営学部
経営学科
准教授

基本情報

専門分野 経営戦略論
研究テーマ 技術経営
技術移転
最終学歴 一橋大学大学院商学研究科博士後期課程 修了
学位 博士(商学)
研究キーワード イノベーション、技術経営、特許データ

日本の企業は、どうやってイノベーションを起こしているのか。

 私の学生時代はバブルが崩壊し、日本経済が元気を失っていた頃。そんな時に手に取ったのが、景気が悪化する中でも元気な日本企業に関する数冊の書籍でした。それらを通じて、技術力や高い生産性など、日本企業がまだまだ戦っていける多くの魅力を持っていることに気づきました。そうした企業にどんな特徴があるのかを分析していくのが楽しくて、そのまま大学院に進学。研究者になる道を選びました。

 現在は、企業がどうやってイノベーション(技術革新)を起こしているかについて着目して、研究を進めています。イノベーションが起きるときは、何かしらの知識と知識を組み合わせる作業が起こっています。しかし、身近な知識をより集めても、新しい技術や製品の開発はなかなかうまくいきません。知識をつなぎ合わせ、イノベーションを起こすために、企業は内部の知識を活用するために組織を改革したり、あるいはM&A(企業の合併や買収)を通じて外部の知識を取り込もうとします。

 こうしたイノベーションが起こる仕組みを、特許データを使って分析しています。企業が保有する特許も、発明者の氏名が明記されています。この発明者の氏名に着目することで、新しい技術を開発するにあたって、誰がその企業の中でキーになっているかが見えてきます。研究を進める中で、キーになっている人物にインタビュー調査を実施することもあります。

 この組織内部で開発の中心になる人物には、組織の内外から情報が集まり、時に業務過多になっていることもあります。最近は、この人物の業務過多の状況を改善しつつ、イノベーションを起こし続けるために、組織がどうあるべきかに着目しています。実際の企業に協力を得ながら、データ分析やアンケート、インタビュー調査などを通じて長期的な視点で、組織の変更が企業の生産性にどう影響しているかを探っています。そうした取り組みを通じて、日本企業によいインパクトを与えられるような提言をしていければと思っているところです。

主要業績

    【学術論文】
  • (単著)「ライセンス契約の形態の選択:技術移転の論理と機会主義の論理」『組織科学』Vol.44, No.1, 2010年
  • (単著)「企業間関係と発明者のマネジメント」『経済経営研究所年報』第36集 2014年
  • (共著)「Dynamic Effects of Patent Pools: Evidence from inter-generational competition in optical disk industry」RIETI Discussion Paper, 15-E-132 2015年

特許技術を利用したビジネスプランを企画する過程で、多くを学んでほしい。

 私のゼミナールでは、学生たちにビジネスプランを提案する取り組みに参加してもらいます。学生がビジネスプランを提案する大会は、複数ありますが、特許データをもとに研究をしている私には、技術的な視点が抜けているように感じられました。どのような学習がゼミで効果的かを模索していたところ、富士通などが保有する特許技術を活用して、学生たちがビジネスプランを提案する大会への参加を打診され、学生たちにもよい学びの機会になるだろうと考え、2015年から参加しています。

 もちろん、経営学科の学生たちですから、技術的な情報に精通しているわけではありません。だからこそ、学生たちはいろいろな人とコンタクトをとって、技術に対する知見を深めたり、あるいは自分たちが立てている企画が実現可能なのかを相談したり、企画に社会的な需要があるのかを精査したりしなければなりません。この過程で、それぞれの課題に知見を持つ人々とのコミュニケーションが必要です。こうした取り組みを通じて、学生たちは多くを学んでいるように感じています。

 どうしてもグループ学習では、中心的な学生に作業が偏ってしまいがちですが、リーダー役の学生は、他の学生に相談したり、役割を割り振りしたりしながら自然とマネジメントについても学んでいます。私自身もこうした学生が行動する様子を見ながら、自分自身がゼミのマネジメント方法を模索しているところです。

 学生たちには、この大会に参加して終わりではなく、ビジネスプランを立案する過程で学んだことを生かしてほしいですね。まずは、就職活動。自分が何を、どう学んだかを伝える場面でもあると思うんです。そして、社会に出ても使える知識やスキルになっているはずです。

担当科目

  • 経営学入門
  • 経営戦略論
  • 実践ビジネスキャリア[神奈川の中小企業]
  • ゼミナール
  • 基礎ゼミナール
  • プレゼミナール
  • 演習(経営戦略論)
  • 経営戦略論特殊講義

さらに経験を積み、社会的役割を明確にしていきたい。

 研究を進めるにあたって、実際に活動している企業に協力してもらう場合もあります。協力してもらっている企業には、いただいた情報を分析する過程で見つかった知見を、きちんとフィードバックできればと思っています。いま、協力していただいている企業とは長い付き合いをつづけ、長期的なスパンで組織における技術革新について、調査分析を進めフィードバックしていければと思っています。

 ただ、自分の教育研究を社会に還元する方法は、まだまだ模索しているところです。企業への情報提供や提案は、もちろんやっていければと思っています。30代の今は、きちんと自分自身の研究を丁寧に行い、十分に業績をつくっていく時期でもあると考えています。研究を進め、経験を積んでいく中で、自分がどのように実社会と関わっていけるかが明確に見えてくるはずですから。

取材・原稿作成 関東学院大学広報課