岡本 教佳

理工学部
理工学科情報学系
教授

基本情報

専門分野 画像符号化、画像情報処理
研究テーマ 高品質な映像配信を目指した画像符号化技術
バイオメトリック認証のための画像応用技術
最終学歴 工学院大学大学院工学研究科博士後期課程 修了
学位 工学博士
研究キーワード 情報、画像処理、顔認証、指紋認証、
バイオメトリック、3D画像

画像処理技術を、いかに応用していけるか?

 私が学生だった1970年代後半から80年代前半にかけて、コンピュータと言えば現在のような小型のパソコンではなく、大型計算機が主流でした。小型のパソコンが登場し始めていましたが、まだまだ高価なもの。コンピュータを利用して、画像を処理することは、現在では誰でもできることですが、大型のコンピュータを利用するため、当時はかなりのコストもかかっていました。それに意義を見出せる人も少なく「なんでそんなこと研究するの?」と言われたこともありました。ただ、人間が情報を処理するとき、視覚から得る情報が大半なのです。ですから、私自身は画像を対象に研究することに当時意義を感じていましたが、正直に言えば、ここまでコンピュータが普及し、画像処理技術が活用される時代がやってくるとは思っていませんでした。

 大学の卒業論文のテーマにしてからというもの、指紋認識について長年テーマにしてきました。その他に、顔認証についても研究してきました。通常、顔認証といえば正面からの表情を用いますが、輪郭を含め横顔は人それぞれ大きく違うことから、横顔に焦点を当てた顔認証にも取り組んできました。

 私が研究してきた技術の応用事例が、現代社会のあらゆる場面で利用されています。防犯対策などで顔認証システムは多数導入されはじめています。スマートフォンにパスワードを入力する代わりに指紋で認証する方法も、画像処理の応用です。あるいは、銀行のATMでの生体認証システムも然りです。こうした技術の応用は、今ややり尽くされた感があるのも事実です。

 そこで、画像処理を用いた新たな研究テーマを、あらためて設定し直すべき時を迎えていると感じています。例えば、3D空間の画像処理などを検討しているところです。

 コンピュータのコストの低下やハードウェアの進化は、私たち情報分野の専門家すら想像がつかないようなスピードで発展しつづけてきました。10年前に、誰が現在の情報化社会を想像できたでしょうか?研究をつづける中で、どうしても過去の経験や常識に囚われてしまいがちなのですが、よりよい情報環境を築くために、若い人たちや技術系以外の人々の感覚を取り入れながら、新たな研究のスタートを切れればと検討しています。

主要業績

    【学術論文】
  • (共著)「空中筆記行動からの個人識別を目的とした3次元特徴量抽出法の検討」電気学会 電子・情報・システム部門大会講演論文集 2016年
  • (共著)「モーションキャプチャによる空中筆記における個人認識に用いる3次元特徴の検討」電気学会 電子・情報・システム部門大会講演論文集 2014年
  • (共著)「顔テクスチャ情報を用いた照明と姿勢の変動に頑健な人物姿抽出手法」関東学院大学工学部研究報告,第56-2巻 2013年
  • (共著)「カメラを用いた虹彩による個人識別-特徴抽出の検討-」映像情報メディア学会技術報告メディア工学研究会 2012年

経験ではなく「若手」の発想に、新しいものを見つけてほしい。

 学生たちには、ここでの学びがどんな形で自分の将来につながっていくかを常に考えながら学んでほしいと思っています。そうすれば、今学んでいることへの意識が変わってくるはずです。私自身も、学生たちにそれを思い起こさせるような言葉を投げかけるよう、常に意識しています。

 学生の個性はそれぞれですから、学生たちをよく観察し、何を考えていて、何を欲しているのかに、できるだけ気づけるように努力しています。ただ、学生が望むことのみを提供することが、学生の将来につながるわけではないので、メリハリを効かせながら接することも大事だと思っているんです。ただ、長い間大学の教壇に立ってきましたが、何をどう教えるかは、常に模索しつづけています。教育とは、本当に難しい。何が、最良なのか。教壇に立ちつづける限り、このチャレンジは続けていくのだろうと思っています。

 学生たちには新しいものへの好奇心を持ち続けてほしいんです。情報の分野で仕事をすることを希望するのであれば、予測がつかないような発展を続ける分野ですから、新しいものへの関心を失ってしまうと、新しいシステムやサービスを生み出すことはできませんから。そして、将来は部下や後輩など若い人の気持ちを汲める人に成長していてほしいです。それは、職場での人間関係やマネジメントを上手く調整できる人でいてほしいという思いと同時に、若い人の発想を大事にできない人は、きっと新しいものを生み出す力が身につかないと思うからです。人は、長年の経験に基づいて仕事をしがちです。もちろん、経験は大事ですが、情報産業は、誰も経験したことのない技術やサービスを提案することで成長を続けています。若い人の発想の中にこそ、エンジニアに必要な気付きが隠されているはずです。年齢を重ねても「若手から学ぶんだ」という姿勢や気持ちを持ち続けられる人でいてほしいですね。私自身もそのように心がけているんです。

担当科目

  • 【協力講座】総合コース
  • プログラミング応用
  • 情報数学演習
  • CG制作演習
  • 画像符号化演習
  • 情報メディア工学研究
  • 文献研究
  • 研究実験
  • 画像情報工学特論
  • バイオメトリクス技術特論
  • 情報メディア工学特殊研究
  • 画像情報工学特殊講義
  • 情報ネット・メディア総合演習
  • フレッシャーズセミナ
  • フレッシャーズプロジェクト
  • インターンシップ
  • インターンシップ
  • KGUインターンシップ実習
  • アセンブラ基礎演習
  • Cプログラミング
  • プロジェクトプログラミング
  • 卒業研究基礎
  • 卒業研究
  • 情報ネット・メディア工学研究基礎
  • プログラミング基礎

企業とのコミュニケーションを通じて、実社会に必要とされる人を育成する。

 今後ますます、コンピュータに代表される情報機器をまったく利用しないような職場や生活というのは考えにくくなっていくのだろうと思っています。ですから、大学の教員として、まずはそうした場で、きちんと働くことができる社会人を育成していくことが、私の社会的使命だと思っています。

 しかし、それは大学しか経験していない研究者だけによる教育では、事足りないのではないでしょうか。ですから、情報産業に関わる企業が、教育機関としての大学に何を求めているのか、常にアンテナを張る必要性を感じています。その点、企業の方とコミュニケーションを密に取ることが大切です。コミュニケーションを通じて得た結果を、コースのカリキュラムに反映させるなど、学生にきちんとフィードバックできるよう心がけています。また、最近では神奈川県内のIT関係の企業の方に協力してもらい、各企業活動の実情を話してもらうオムニバス形式のSE講座(2017年度開講科目「かながわ学 -IT産業-」)を用意するなどしています。こうした取り組みを通じて、次世代の情報産業を支えるエンジニアを育成し続けていきます。

取材・原稿作成 関東学院大学広報課