奥 聡一郎

建築・環境学部
共通科目教室
教授

基本情報

専門分野 文体論
研究テーマ コーパスを用いたテクスト分析・文体論
コンピュータを活用した英語教育
最終学歴 東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士後期課程 単位取得退学
学位 博士(学術)
研究キーワード 言語学、文体論、文法、英語教育、テクスト分析

読みやすい文章とは何か?分析を通じて、見えてきたことを英語教育に活用する。

 通っていた高校は、帰国子女が多くいる環境でした。生まれてから日本で生活している私には、英語の発音では彼らに勝ることは難しい。けれど、文法では、彼らより勝てることもあったんです。そこから、文法に関心を持つようになりました。大学では、日本語と英語の文法を比較しようとする研究室に所属しました。大学を卒業すると、母校の英語科の教員として勤務しました。ありがたいことに、高校に勤務しながら大学院に進学する機会を得て、博士号も取得し、さらに研究に没頭したいという思いが強くなるなかで、関東学院大学に勤務する縁を得ることができたんです。

 私の専門は、英語の文体論。言語の形式と意味や効果を結びつけながら、文章を分析し、読みやすさや読みにくさを考察していきます。例えば、子ども向けにルイス・キャロルが書いた『不思議の国のアリス』という物語がありますね。子ども向けですが、実はこの物語の原文は非常に難しいんです。ナンセンス的表現を多用し、頻繁に韻を踏むので、文意を理解しづらい部分が多いのです。

 他にも、代名詞を多く利用することは英語の特徴ですが、これも多用しすぎると読みづらい文章になってしまいます。“he, she, it, they”などが多用される文章を目にして、「この代名詞は何を指しているのだろう」と混乱してしまう経験を多くの人が持っているのではないでしょうか。代名詞が多用されすぎると、文意を確認するのに頻繁に前の文章を確認する必要が出てくるため、非常に読みづらくなってしまうのです。これらを統計的手法を利用して、分析していく方法を博士論文の課題にしました。

 こうした文体の特徴を理解し、わかりやすい文体を検討し、それを英語教育に活用していくことが私の研究の目的なのです。英語は、もはや英国人や米国人のためだけの言語ではありません。多くの国の人々が英語を介してコミュニケーションをとっています。ですから、英語を母語としない人々にも、理解しやすい英語の文章を書く必要もでてきています。そうしたわかりやすい文章とは、どんなものなのかを考察し、英語学習者に対して、実用的なライティングの方法を提供していければと思っています。

主要業績

    【著書】
  • (共著)『英語のスタイル』研究社 2017年
  • (共著)『言語と文学』朝倉書店 2009年
  • (共著)『開放系言語学への招待-文化・認知・コミュニケーション』慶應義塾大学出版会 2008年
    【学術論文】
  • (単著)「教室におけるコーパスと文体ーアクティブ・ラーニングで学ぶー」『科学/人間44号』2015年
  • (単著)「入門期英語教育における評価」『科学/人間43号』2014年

好奇心さえあれば、語学も専門分野も伸ばしていける。

 主に、建築・環境学部と理工学部の語学の授業を担当しています。かつて、建築・環境学部と理工学部の語学のクラスは、担当者が自分の専門にあわせて学生たちを指導していました。しかし、理系を選択した学生にとって、そうした形式の授業は必ずしも効果的ではありませんでした。ですから、学部の語学教育を担当する教員でディスカッションを重ね、指導方法や教える内容を整理し、学生たちの成長が期待できる語学教育へと長年かけてシフトさせてきました。

 現在は、理工系の学生のための英文テキストを活用し、学生自身の専門領域を考慮した授業を実施しています。ESP(English for Specific Purposes)と呼ばれる、目的別の学習方法です。理工学部や建築・環境学部を選んで進学してくる学生たちは、高校時代までに英語に苦手意識を持ってしまった学生も多いのです。ですが現実には、英語の論文やマニュアルを読む機会も、国際学会などの場で発表する機会も、人文系や社会科学系の学部に所属する学生より、格段に多いのが実情です。ですから、専門性を重視した語学教育を施すことで、学生たちが少しでも英語の能力を向上させてくれればと願っています。

 好奇心を持っていれば、語学も専門分野の学びも伸ばしていくことができるはずです。大切なことは、何事も面白がって挑戦できるかです。グローバル化が進行し、将来海外で活躍する人材も、ここからたくさん巣立っていくはずです。どんな些細なことでも構いませんが、そんな場所に立った時に「大学時代の語学授業で習ったことが、少しは役に立っているな」と思い出してくれることがあれば、教育に携わる仕事をする身として本望なのです。

担当科目

  • 総合英語(リーディング)
  • 総合英語(リスニング)
  • 資格英語(工業英検)
  • 資格英語(TOEIC基礎)

チャレンジしようとする学生をサポートしていきたい。

 私自身が、もともと高校の教員であったことにも関係しますが、「教育」が自分の社会的使命だという思いを持っています。「留学してみたい」とか、「海外で働いてみたい」とかという思いを学生たちが抱いた時に、どこまで支援できるかが語学教育を担当する教員の役割のひとつです。

 研究テーマである文体論もそうですが、最終的には教育に還元し、学生たちの成長につなげていければと思っています。学生の姿を見ながら、その成長していく様子を見守りたいですし、これらを通じて、将来の学生の生き方に少しでもコミットしていくことに教育者としての喜びを見出すことができます。そして、ここでの学修を少しでも実りあるものにして、卒業生たちがそれぞれの専門を生かして、社会のために働いてくれることを願っているのです。

取材・原稿作成 関東学院大学広報課