多機関協働の時代 ─高齢者の医療・介護ニーズ、分野横断的ニーズへの支援─

副田あけみ 著(関東学院大学社会学部教授)

A5判・282頁・本体価格:3,000円

副田あけみ 著  2018年11月20日発行

医療・介護ニーズをもつ高齢者、分野横断的ニーズをもち孤立する高齢者が増えていく超高齢社会。そこでは多機関協働が標準的な支援スタイルとなる。その効果的な方法・スキルはなにか、利用者参加はどうあればよいか。政策の流れと支援の実際を踏まえて、論じる。

  • 序 章 多機関協働の時代
  • 第Ⅰ部 サービス・デリバリーと多機関協働
  • 第1章 介護政策と多機関協働
  • 第2章 地域包括ケアシステムと多機関協働
  • 第Ⅱ部 多職種チーム・多機関チーム
  • 第3章 多職種・多機関チームのチームワーキング
  • 第4章 多職種チームと多機関チームの実際
  • 第Ⅲ部 利用者参画
  • 第5章 多職種チームへの利用者参画
  • 第6章 多機関チームと利用者参画
  • 第7章 多機関ケースカンファレンスへの利用者参画

発行所:関東学院大学出版会 / 発売:丸善株式会社 / 2018年11月20日発行

【書評】
評者:首都大学東京人文社会学部 教授 和気純子

 超高齢社会の進展とともに、家族や地域社会のあり様が変化するなかで、医療や介護のみならず、貧困、住宅、孤立など様々な複合的ニーズや問題を抱える高齢者が増えている。こうした状況に対応する支援のアプローチとして本書は多機関協働に着目し、(1)政策によって規定される多機関協働のありよう、(2)多職種チーム・多機関チームのチームワーキングの促進要因、(3)多機関協働における利用者参画、の3つのテーマから論じている。

 現在、国が推進している「地域包括ケアシステムの構築」や「新福祉ビジョン」に基づく「地域共生社会の実現」は、いずれも医療・介護の専門サービス機関や地域住民・団体等との協働によってもたらされるものである。しかしながら、本書でも述べられているとおり、理念としての多機関協働は叫ばれても、その概念やメカニズムは未整理な部分が多く、研究の蓄積は驚くほど少ない。いまだかつてない社会の変容と縦割りに発展してきた分野間の隔たりが、その研究自体をも難しくさせてきたのかもしれない。

 このような現状にあって、本書が上梓された意義は大きい。本書の射程は、多機関協働が求められる社会的、政策的背景の総括から、多機関協働やチームワーキングの概念やモデルの検討、著者が長年取り組んできた高齢者虐待対応における協働スキルの分析、さらに多職種チームへの利用者参画のための方法論の提起など幅広い。またその分析は緻密であり考察は説得的である。ただし、本書がけっして読解困難でないのは、著者の高い論理構成力と現実を見抜く深い洞察力、そして何よりも利用者を含めた多様な人々の立場や行動を了解する包含力があってのもと思われる。

 地域の多様なニーズに対応するジェネラリスト・ソーシャルワークやケアマネジメント研究の第一人者である著者が、長年の関心であり続けた多機関協働について体系的に著した本書は、まさに高齢者とその家族の支援に関わる多様な分野の専門職と研究者に必読の書であるといえるだろう。