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理工学部土木・都市防災コースの
福谷研究室は
横浜市金沢区の
防災や減災を目的とした
「金沢区防災・減災に関わる
自助・共助推進プロジェクト」を、
1年間を通して実施。
地域住民や専門家と協力し、
子どもから高齢者まで
幅広い世代の区民へ
防災・減災に関わる知識や
ノウハウを伝えることで、
自助や地域の共助の力を
高めることを目指しました。
- 1−1
- Project Story①
「金沢区の現状を知り、
防災や減災の知識を身に付ける。」 - 1−2
- Project Story②
「地域の子どもや保護者に向けて
防災教室を開催。」 - 1−3
- Project Story③
「金沢区いきいきフェスタで
津波発生装置を実演し、
防災・減災を伝える。」 - 2−1
- Project Interview 学生①
- 2−2
- Project Interview 学生②
- 2−3
- Project Interview 企業担当者①
- 2−4
- Project Interview 企業担当者②
- 2−5
- Project Interview 担当教員
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金沢区の現状を知り、
防災や減災の知識を身に付ける。
横浜市金沢区では高齢化が進み、災害がもしも起こった場合に備え、高齢者本人はもちろんすべての区民が、自助・共助の力を高めることが求められている。本プロジェクトでは、理工学部福谷研究室とまちの減災ナース横浜などの専門家が協力し、1年間を通して地域の方々に防災や減災を伝えるイベントを企画。その事前学習として、金沢区にはどんな人々が住んでいるのか、海沿いの街である金沢区では地震や津波などの災害時にどのようなことが想定されるかなど、基本的な知識を身に付けた。
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地域の子どもや保護者に向けて
防災教室を開催。
2024年8月には金沢区谷津町の町内会と協力して、地域の子どもたちと保護者を対象に楽しく防災を学べる防災教室を開催。クイズ形式で災害が起こった時の行動や例えば、避難所で手を洗う時の正しいやり方などを伝えた。また災害時に使える新聞紙スリッパのワークショップなどを学生主体で行った。保護者の関心も高く、防災意識が高まったと実感できるイベントになった。また、イベント後には、開催に携わった町内会の方々とランチミーティング。保護者から寄せられたアンケートの感想から、次回に向けてプログラムの改良点を語り合うことで、地域の防災・減災に貢献する喜びを感じた。
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金沢区いきいきフェスタで、
津波発生装置を実演し、
防災・減災を伝える。
2024年10月には金沢区の海の公園で開かれた金沢区いきいきフェスタに、まちの減災ナース横浜の看護師の方々と一緒にブースを出展した。ブースでは学生たちが制作した津波発生装置で、地震発生時にどのようなメカニズムで津波が街に到達するかを来場者に伝えた。子どもたちから高齢者の方々まで幅広い世代の人が訪れ、ブースには長蛇の列ができていた。なかなか普段は意識しない津波や地震を、津波発生装置を使うことで、視覚的にも分かりやすく、波が街に近づく時には子どもたちからも感嘆の声があがった。研究室で学んだ知識を、地域の人々に伝えることで、改めて自分たち自身も防災や減災について学びを深め、地域防災を担う一員としての意識がさらに強くなった。これからも、防災・減災を地域に伝えるプロジェクトは続いていく。
理工学部
土木・都市防災コース4年生
西山 胡太郎さん※学年は取材撮影時のものです。
-
研究した防災の学びを、
もっと世の中へ。理工学部
土木・都市防災コース4年生
西山 胡太郎さん※学年は取材撮影時のものです。
もともと土木関係に興味があって理工学部に入学しました。福谷研究室で都市防災について学んできたので、プロジェクトを通してそれらをアウトプットするいい機会になりました。金沢区いきいきフェスタでは、研究室の責任者として何度も打ち合わせに参加。ブースの旗のデザインから、当日の来場者への対応など、学生たちが主体となって行いました。震災を経験していない子どもたちに災害の怖さや仕組みを伝えることは難しかったですが、津波発生装置を使い、「もしも地震が来た時には防波堤を越えてこんな風に街に津波がくるのだよ」と1人1人に時間をかけて伝えることができたと思います。現在は卒論で、機械学習の技術を用いて、高波をリアルタイムに精度良く予報して情報提供するシステムを研究しています。卒業までに少しでも実用化に近づけ、社会へ貢献できればと思っています。
子どもたちに
楽しく分かりやすく防災教育。高校時代は物理や数学が好きで、将来は理工系で社会貢献がしたいと思い、学生のうちから実践的に学べる理工学部土木・都市防災コースに入学を決めました。私自身、入学前までは防災や減災について難しいイメージがあったので、小学生に防災についてわかりやすく伝えるにはどうしたらよいか、興味をもってもらうために何ができるかを考えました。防災教室では、クイズやビンゴゲーム、ワークショップを自分たちで考えて実施。新聞紙で作るスリッパは子どもたちも楽しんで作ってくれて、ホッとしたのを覚えています。卒業後は海洋土木に関する仕事をする予定なので、福谷研究室で学んだ知識や経験を活かし、最前線で防災に取り組んでていきたいです。
理工学部
土木・都市防災コース4年生
大久保 香奈さん※学年は取材撮影時のものです。
-
命に関わるテーマ
だからこそ、
「自分事」として
主体的に挑んで欲しい。金沢区の
安全・安心まちづくりと
青少年育成に取り組む
岡 和彦さん私は4年前より、横浜市の「はまっ子防災プロジェクト」に賛同し、公立中学校の生徒を対象に、「自分の命は自分で守る」ことをテーマとした防災教育に取り組んでいます。「防災・減災」は上滑りなパフォーマンスや形骸化することが一番禁物です。「自分達の命は自分で守る」意識を常にもって対応できる様、学生の皆さんにも「自分事」として挑んでいただいています。先日の金沢区いきいきフェスタはある意味、そんな実践の場。最初は主体的な学生とそうでない学生が二極化していましたが、イベント終了時には全員が前向きに行動できている姿を見られたのはよかったと思います。本プロジェクトはまだ始まったばかり。防災という命に係わるシビアなテーマなので、大学生の「知と若さ」を発揮し、地域防災のロールモデルになってほしいと思います。
金沢区の
安全・安心まちづくりと
青少年育成に取り組む
岡 和彦さん
まちの減災ナース横浜
代表 平岩 博子さん-
命を守る情報を
届けるチームとして。まちの減災ナース横浜
代表 平岩 博子さん防災や減災を伝えることは、住民の皆様にとっては、「自分の命をまもる有益な情報提供」です。今回、わたしたち「まちの減災ナース横浜」は福谷研究室の皆さんと出会い、区民の自助力を高めるための活動として本プロジェクトを協働。学生の皆さんとディスカッションをする中で、学生ならではの考えや想いに発見も多く、研究内容はとても勉強になりました。また自主的な動きをみていると、「さすがだな」と感心することも多かったです。これからも共に、有益な情報発信を行う仲間として一緒に活動できたらなと思います。また学生の皆さんも様々な世代の方とのコミュニケーションを深めるいい機会にしていただければ幸いです。
-
大学卒業後も防災の知識を
活かせるように。理工学部
土木・都市防災コース
教授 福谷 陽関東圏では、大きな被災と言えば100年前の関東大震災であり、近年の被災地域と比較すると、防災・減災の意識はどうしても低くなってきています。その中で、大学生たちが地域の人々に発信することは、防災に関わる自助・共助を推進するだけでなく、学生自身の防災意識を高めるきっかけにすることができると思っています。プロジェクトでは学生たちが主体的に動き、共同開催した地域や看護師の方々からお褒めの言葉をいただく機会もありました。古くから金沢区で地域の防災に貢献されている方々と共に活動することで、少しでも地域に貢献できればと思いますし、学生自身も地域の方々と交流する経験を通じて、地域に対する学びや関心を深められたのではないかと思います。
理工学部
土木・都市防災コース
教授 福谷 陽