安西寛治さん・太田賢悟さん 工学部建築学科4年
秋山和也さん 工学研究科建築学専攻博士前期課程1年
大阪・阿倍野の超高層ビル「あべのハルカス」。関西の大手私鉄・近畿日本鉄道によって開発が進むこのビルは、高さ”地上300mに達し、日本一の高さを誇ります。オープンを間近に控えた2013年5月、ここが関東学院大学で建築を学ぶ学生たちの、学びの場になりました。
給排水設備の研究に取り組む大塚雅之教授の研究室は、大手総合建設会社・竹中工務店と共同で生ゴミ処理のための新しいディスポーザ配管システムの開発に携わりました。その成果が、この建物の中で使用されています。高層階で運営されるレストランなどから出る生ゴミを処理します。
今回、竹中工務店の協力のもと、7名の学生たちが1週間に渡って調査に参加しました。建築学科4年の安西寛治さんは「建設中の現場に入ったのははじめて。そこには初めて見るものがたくさんありました。ですから、もっと勉強しなければいけないという気持ちが強くなりました」と話します。「実際の建設現場では、多くの人たちが会話をしながら仕事をしていました。僕も実験用の生ゴミを運んでいると、『それはなんだ?』とたくさん声をかけられました。現場では、コミュニケーションをとることが大事なんだと強く思いました」と話すのは、同じく建築学科4年の太田賢悟さん。
現地では、ディスポーザーで破砕された生ゴミを排水管に通し、圧力や流れの変化などを測定します。工学研究科建築学専攻博士前期課程1年の秋山和也さんは「排水管内で、落下物の速度を落とすための継手の形状や設置する数を変えてみたり、排水によって生ずる圧力調整のための通気管の設置方法を変えたりしながらデータを取りました。調査結果を分析して、これからの超高層建築でも、安全性を考慮しながらコスト面でもよりよい設備の開発につながれば」と展望を語ります。
あべのハルカスでは、集めた生ゴミから抽出されたバイオガスによる自家発電が行われるなど、高さだけではなく環境や衛生の面に配慮した最新の技術が利用されます。太田さんが「日本一の建築物で実験ができたことが、誇らしい」と語るこの超高層ビルは、百貨店として利用される低層部分が2013年6月にオープン。ホテル、オフィスなどに利用される高層部分は2014年春にオープンを予定しており、環境にも配慮した新しい給排水設備が多くの人々に利用されます。学生たちは、これからの都市型超高層建築の環境共生デザインを実践的な体験を通して学んでいます。
※ 所属、学年などは、全て取材当時のものです。