神戸、長崎とともに日本三大中華街と呼ばれる横浜中華街。600以上の店舗が軒を連ね、年間2000万人以上が訪れる東アジアで最大の中華街です。この横浜中華街の4店舗を運営する江戸清と、経営学部とのコラボレーションプロジェクトが実施されました。
江戸清は、1894年に精肉店として創業した老舗です。3代目の高橋柢祐氏が開発した「ブタまん」を1989年に販売すると、またたく間に人気となり、中華街の食べ歩きブームの火付け役となりました。今回は、この江戸清が運営する「関帝廟通り店の活性化」が、学生たちに提示された課題です。課題に対して、荒川一彦教授、岩崎達也教授、辻聖二教授、唐沢龍也専任講師のゼミナールに所属する学生たちが企画を提案しました。
7月には、横浜・金沢八景キャンパスに星野幸雄取締役常務執行役員ら江戸清の関係者が来校し、キックオフミーティングが実施されました。江戸清の歴史や、中華街の移り変わりや、現在の江戸清の課題などについてレクチャーが行われ、学生たちも熱心に聴講。活発な質疑応答も交わされました。
学生たちは、夏休み期間などを利用し、中華街の実地視察を実施。関帝廟通り店を訪れたお客へのアンケートや、店舗関係者へのヒアリングなどを実施し、得られたデータを生かして、各チームで話し合いを行い、企画案を策定していきます。各チームは策定した企画案を、11月に行われた発表会で、江戸清の高橋信昌代表取締役会長、山下洋取締役社長ら関係者に対して、プレゼンテーションで提案しました。
発表会では、9チームの学生がプレゼンテーションを実施。学生たちの企画は、店舗のレイアウトの変更や、地元プロ野球チームと連携したプロモーションの実施、関帝廟とのコラボレーションなど多岐にわたります。学生たちは「少しのイートインスペースを作ることで、家族連れを呼び込むことができるようになる」「関帝廟通り店にしかない限定品をつくることで、新規のお客さんを集客できる」「中華街大通りと、関帝廟通りで人通りが大きく異なる。店舗だけではなく、関帝廟通りを活性化させる企画が必要だと感じた」などと具体的な発表を行いました。
学生のプレゼンテーションを、「独創性・発想」「情報収集」などの5項目で江戸清の関係者らが評価します。審査の結果、最優秀賞には、五感を刺激するプロモーションによって関帝廟通りの活性化としてイルミネーションを設置することと、味覚と嗅覚の関係を調査し「激辛ブタまん」の開発やAR(拡張現実)の活用した紙袋の利用などを提案した唐沢ゼミのチームが選出されました。この他に江戸清賞1チーム、敢闘賞2チームが選出されました。
発表後、中華街発展会協同組合の理事長も務める高橋会長は「今日の皆さんの発表は、私たちにとって大変ためになりました。店舗として考えるべきか、街として考えるべきか、皆さんの発表からあらためて気付かせてもらいました。店舗を磨くことは大事なことですが、1店舗のみの魅力でどれだけの人が来るでしょうか。1000人の人は来てくれるかもしれませんが、100万人が来てくれることはありません。点と点が線となり、そうした線がたくさん重なると面になります。中華街でも素晴らしい店が多ければ、点が線となり、そして面に広がることで、街としてたくさんの人を迎えることができる爆発的な力になります。さらに言えば、中華街と元町、伊勢佐木町、みなとみらいがきちんと繋がれば、『横浜』という面になります。この面は、もっと爆発的なものになるはずです。中華街に集まる人は、2千数百万人だけですが、横浜市全体になれば『億』になるはず。その中で、初めて個店の戦略が出てくるのです」などと、学生たちの取り組みを高く評価しました。
経営学部では、学生が教室での学びにとどまらず、具体的な企業課題に挑戦する教育環境を設けるため社会連携教育プラットフォーム「K-biz」を構築しています。サポート企業の協力も得ながら、理論と実践を組み合わせた効果的な取り組みを進めています。
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