工学研究科建築学専攻に所属する山本耕平さん(博士前期課程2年)と久保田雄亮さん(博士前期課程2年)が、空気調和・衛生工学会主催「令和2年度空気調和・衛生工学会大会」で優秀講演奨励賞を受賞しました。この賞は、20代~30代の若手研究者・技術者研を対象とする賞です。今年度の大会は、Webを活用したオンライン方式で開催され、投稿論文と講演動画の総合評価により審査。講演論文666編の中から、大会参加者の推薦表をもとに16編が最終候補者として選考され12月18日(金)付で受賞者として正式に承認されました。
山本さんの受賞題目は「深層学習による建物壁面の風圧係数分布予測に関する基礎的検討 未学習の建物形状における予測精度の検討」。地球温暖化の進行に伴い、世界各国で脱炭素化社会の実現に向けて様々な施策が検討されています。CO2排出量は、建築関連由来のものが多く、空気環境分野では、建物の運用段階におけるエネルギー消費量の低減手法として「自然換気」が注目されています。自然換気が求められる建物では、建物壁面の風圧力を予測し、効率よく風を建物内に取り込むことによって、エネルギー消費の低減を実現しています。山本さんは、脳内の神経細胞のネットワーク構造を模した数学モデルのニューラルネットワークを用いた建物壁面の風圧係数分布の予測を実施し、既往の実験手法で得られた解析結果と比較し、自然換気設計における人工知能分析の有用性を実証しました。
山本さんは「学部4年次から今回の研究を行ってきたのですが、最後の年に奨励賞という形で評価していただくことができ非常に嬉しく思っています。また学部1年次から互いに切磋琢磨してきた久保田くんと、2人揃って受賞できたことも感慨深いですね。卒業後は総合建設会社で建物の設備設計を行う予定です。これまで研究してきたことを十分に活かしていければと考えています」と受賞の喜びと今後の抱負を語りました。
久保田さんは「介護施設等に設置する紙オムツ破砕処理システムの開発 (第1報)バリエーション配管を含めた排水横管での排水特性と破砕紙オムツの搬送性能の検討」と題し講演。現在日本では高齢者の急速な増加により、介護に関わる作業負担が社会問題となっています。特に使用済み紙オムツの処理は、介助者や施設管理者にとって大きな負担であり、また衛生面でも課題が山積しています。久保田さんは、国土交通省より採択された「紙オムツ処理機の開発プロジェクト」の一環として研究を実施。紙オムツを破砕装置で破砕し、水と混合して専用排水管へ排出、建物外の分離・回収装置で固形物を分離しゴミとして回収する処理方式における排水横管での検証実験を行いました。基礎実験により破砕物が排出される際の課題や排水管内での堆積状況を把握し、排水方法の改良などについて応用実験を重ねることにより排出率の向上を検討しました。この処理方法は、紙オムツの保管やゴミ出しが不要となるため、介助者の負担軽減および衛生面の改善が期待されます。
久保田さんは「今回の受賞は決して私一人だけの成果ではなく、多くの方にご協力いただいたことによって成し得たことだと思っています。そして、国から採択されたプロジェクトに対して、きちんとした成果を提示できたことは非常に嬉しいことだと思っています。時代のニーズに合った設備システムに関する正確なデータを収集し提示できたことが評価されたのではないか」と受賞の感想を語りました。
表彰状を手にする山本さんと久保田さん
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