3月24日(水)に、横浜市西区のパシフィコ横浜国立大ホールにおいて、2020年度卒業式・学位授与式が執り行われ、学部卒業生と大学院修了生合計2304名を送り出しました。
卒業式は、石渡浩司宗教主任(教育学部准教授)の司式で、混声合唱団による讃美歌の流れる厳かな雰囲気の中、卒業生・修了生や教職員などが列席して、キリスト教の礼拝形式で執り行われました。
規矩大義学長は式辞で「関東学院大学で蓄えた力を存分に活かし、未来に向かって羽ばたいて下さい。自分の為だけではない、他者のために生きる人生がどれほど満たされ、素晴らしいかを知ってください。そして、生涯続く友と、心に残る恩師と、その思い出とともに、喜びと温もりを感じられる、心豊かな人生を送って欲しいと、願っています」などと母校を巣立つ学生たちにエールを送りました。
卒業生を代表して人間共生学部の大畑玲奈さんは「これからも感謝の気持ちを忘れず、努力することを惜しまず、さらに大きく成長していきたい。校訓『人になれ 奉仕せよ』を胸に、関東学院大学で培った知識や経験を活かし、一つひとつ乗り越えていきたい」などと答辞を述べました。
卒業生の社会での活躍を期待しています。
規矩大義学長 式辞(全文)
皆さんを送り出す晴れの日に相応しい、澄み切った青空になりました。卒業式、学位授与式を挙行できることを、これほど待ち遠しく、嬉しく思った日はありません。
2020年度、関東学院大学卒業生2247名、大学院博士前期課程、修士課程、博士後期課程の修了生57名、合計2304名の皆さんに今、学位記を授与しました。皆さんは、本学が定めた所定の単位を修めて、卒業、或いは修了に必要な全ての試験、審査に合格したことで、それぞれの分野における学士、修士、博士の学位を名乗る資格があると認められました。本学での学びを通して、大きな成長を遂げられ、この日を迎えられた皆さんに、心よりお祝いの言葉を贈りたいと思います。
また、今、映像を通してこの式典をご覧いただいております、ご父母、ご家族、そしてご関係の皆様、この度はご子息、ご息女の卒業、修了、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。これまで関東学院大学の教育理念に御賛同くださり、多大なるご協力、ご支援を賜りましたことを、心より感謝いたします。 関東学院大学を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。
さて、卒業生の皆さん。
4年前、私はこの同じ国立大ホールで、「これからの4年間は社会に出る直前の期間だけど、決して準備期間ではない。学ぶことの意義、学ぶことの楽しさを知り、知性と教養を身に付ける期間である。それは簡単なことではないけれど、『学びたい』という真摯な気持ちを持ち続ければ、その成果は必ず、皆さんの顔つきに表れる。大学生として大いに知的になれ。」 そのように、お話しました。今日の皆さんの表情はいかがでしょうか。
「関東学院大学で皆さんは誰に出会い、何を見つけたのか」
「何を得て、どのように変わったのか」
その答えを見つける作業は、皆さんの人生を通して、これからも続いてゆきます。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大のために、皆さんにとって学生生活の締め括りとなる4年生、或いは修士2年生の大切な1年間が全く違ったものになってしまいました。日常生活や学びの環境だけでなく、研究活動、就職活動、課外活動にも計り知れない大きな影響がありました。なかには、生活が激変してしまった人も居られると思います。コロナ禍による影響の大きさは、皆、事情もさまざまで、一人ひとりに寄り添った言葉を掛けることが出来ないことが歯痒くもありますが、だからこそ、その影響の大小如何に関わらず、コロナに翻弄された1年間を含めた皆さんの学生生活を、ここで振り返ることが必要だと思います。
4年間を振り返って「真剣に学ぶことが出来た」、「目標に向かって走り続けることができた」と思える皆さんは、それが学問であれ、別のものであれ、とても充実した生活を送れたに違いありません。本当に素晴らしいことです。更なる飛躍を期待しています。
「学生の間に、もう少し学んでおけば良かった」今、そのように思える皆さんは、その評価はさておき、おそらく自分自身の「4年間の学び」を客観的に、冷静に見つめることが出来ているはずです。どうか安心して下さい。真剣に学ぼうとする気持ちがあったからこそ、或いは、学びの大切さに気づいたからこそ、「足らない」という言葉が、謙虚な気持ちと共に湧いてきたのだと思います。
一方で、ここに居られる皆さんのなかに、コロナ禍にもよらず、「自分は社会に出てから本領発揮するタイプだから」とか、「社会に出てからが勝負、これから挽回すればよい」、そのように考える人がいるとすれば、ちょっと甘いのではないでしょうか。「これまでのことは一旦リセットし、心機一転がんばろう」そう思いたい気持ちは痛いほど分かりますが、それを自嘲気味にではなく、楽観的に捉えている間は、そこの進歩は見られません。そもそも、皆さん自身の大学生活を否定することに繫がってしまうことを認識して下さい。
「再チャレンジ」は決して悪いことではありません。何度でもチャンスが巡ってくるのが人生です。しかし、その機会に甘えて、今を疎かにしていては、次の挽回のチャンスは巡って来ないかもしれません。「学ぶことを、少し疎かにしたかもしれない。」もし、あなたが今、少しでもそう感じているならば、それは絶好のチャンスです。そのことを悔やんでみても未来は拓けません。だから、それを忘れず、常に意識して、社会に出てからも、いいえ、社会に出たからこそ、ずっと続くであろう「学び」を大切にして欲しい。そう思います。
また、コロナ禍によって、多くの苦難を乗り越えなければならなくなった人もいるでしょう。そうであっても、誰のせいだと憤っても、何が原因かと嘆いてみても、状況は決して変わりません。皆さんの人生は、皆さん自身の手で切り拓いてゆくしかないのです。
式辞の冒頭、少し厳しい言葉で激励をしました。
皆さんが、私のこの言葉を、受け入れて下さるかどうかは、皆さんと私達との、4年間の、或いは6年間の繋がり次第、関係次第だと思っています。
この会場には、私の研究室を巣立つ学部生や大学院生もいます。私の授業を受講してきた学生もいます。壇上に座る教員も、会場で見守っている教員も、そしてネットを通して皆さんの卒業を祝っている教員も、全ての教員が今、多くの時間をともに過ごした皆さんを送り出すにあたって、これまでの出来事を思い起こしていると思います。
ここにいる皆さんの多くは、ゼミや研究室での活動、卒業研究や卒業論文などを通して、多くの経験や出会いを得たことと思います。私たちも、教場での講義を通して皆さんと関わるだけでなく、ゼミや研究室での指導や共同作業を通した、皆さん一人一人との繋がりをとても大切にしてきました。
同じ学問を志し、共に探究し、本当に多くの時間を共有してきた皆さんから、私たちは、大学人として、教育者として、研究者として、人生の先輩となる一人の社会人として、その行動や言動を通して、信頼を勝ち得ることができたのだろうか。そして、何より、学問に対する情熱を伝えることができたのだろうか。いま、自らに問いたいと思います。
傲慢で自己満足だと分かってはいるのですが、私は、若い皆さんの心の中に、学びの共同作業を通して何かを残したい、そう願ってきました。専門知識を伝える以上に、「未来に繋がる言葉」を探し、「未来に繫がる行動」を見せることに努めてきたつもりです。私の願いが叶ったかどうかは、私には判断できませんが、少なくとも「君たちと出会えて良かった」という気持ちだけは、伝わっていて欲しい。そう望んでいます。
ところで、今ここに居られる皆さんの多くは、4月から新社会人としてのスタートを切ることになります。例年の卒業式であれば、社会人としての心構えをお話しするところですが、今年は少し違っています。皆さんが飛び出す社会は、「withコロナ」か、「afterコロナ」か、いずれにせよ不確実な社会であることは間違いありません。
皆さんは、コロナ禍の1年間、様々なことを考え、また、考えさせられてきたことと思います。キャンパスに通いたい、もっと自由に学びたい、まだまだ多くの経験をしたい、と心から願う一方で、大切な人や仲間を守るために自分はどのような行動を取ればよいのかを常に意識する1年だったはずです。自分にとって、自分たちにとって、社会にとって、いま何が大切で、何が重要で、何を優先すべきか、考え続けた1年です。
「学びへの欲求と他者を慮る気持ち」
皆さんがこの1年で、より一層、自覚し、身に付けたことです。
社会に出れば、さまざまな困難に直面します。思い通りにならないことも多く経験するはずです。自分は何をすれば良いのか、何が出来るのか、それすら分からなくなることもあるでしょう。それでも、どうか恐れず、自信をもって社会に飛び立って下さい。
皆さんが、関東学院大学で得たものは、単に知識や技術だけではありません。「学ぶこと」の意義を知り、「学び成長することの喜び」を経験し、「学び続けることの大切さ」を知ったはずなのです。だから、不安になる必要などありません。
本学の校訓、「人になれ 奉仕せよ」という言葉には、いつの日か、今はまだ見えていないけれど、誰かのために、社会のために、何かが実践できるように、少しでも、それに足り得る人に近づけるように、謙虚に、学び続けなさい。真の教養を身に付けなさい。そういう意味が込められていると、私は思っています。
私たちはまだまだ学び足らないし、「真の教養」とは、どこかにゴールがあるものではありません。私たちは、これからも学び続けることでしか、「真の教養」を身に付けることが出来ないのです。
私たちは、自分ひとりで生きているのではありません。私たちのこれまでも、私たちの今も、私たちのこれからも、きっと誰かに生かされ、誰かに支えられているのだ、ということに思いを巡らせて下さい。誰かのために、社会のために実践できる人になるという努力は、実は、同時に自分が多くに人に支えられている、その恩返しをしているに過ぎないのだと気付いてください。そして、誰かのため、社会のためを願った人生に自信を持って歩んで下さい。
それでも、自分の道に迷いが生じたときには、どうぞ遠慮することなく、いつでも大学の門をくぐり、私の、私達の、部屋のドアをノックしてください。私たちはいつでも待っています。いつでも、何度でも、幾つになっても、それができるからこそ、皆さんは私の教え子であり、関東学院大学の卒業生なのです。このことだけは必ず覚えておいて下さい。
まだまだお話したいことは沢山あります。
皆さん一人一人に、お伝えしたいことは幾つも残っているのですが、そろそろ時間になったようです。
どうか、皆さん、関東学院大学で蓄えた力を存分に活かし、未来に向かって羽ばたいて下さい。
自分の為だけではない、他者のために生きる人生がどれほど満たされ、素晴らしいかを知ってください。
そして、生涯続く友と、心に残る恩師と、その思い出とともに、喜びと温もりを感じられる、心豊かな人生を送って欲しいと、願っています。 そして、十年後、二十年後、三十年後、四十年後、「関東学院大学で大切な時間を過ごせてよかった」、そう思っていただけるよう、私たちもまた、皆さんの傍に、寄り添い続ける存在でありたい。そう願っています。
卒業、修了、本当におめでとう。
この4年間、6年間、一緒に過ごしてきた、君たち一人ひとりに送る最後の言葉は「お別れ」ではありません。
皆さん必ずまた、お会いしましょう。
関東学院大学 学長
規矩大義(きく・ひろよし)
卒業生の小泉進次郎氏(環境大臣 兼 内閣府特命担当大臣)からビデオレターも頂戴しました。
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