講演会「ハンセン病差別の歴史と教訓 人間回復の法学を目指して」を開催しました。

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12/22(水)、横浜・金沢八景キャンパスで、国立ハンセン病資料館館長の内田 博文氏による講演会「ハンセン病差別の歴史と教訓 人間回復の法学を目指して」を開催しました。本講演会は、法学研究所、法学部、法学研究科、法学会の共催により実現したもので、当日はオンラインによる聴講者を含め約50名が参加しました。

講演者である内田 博文氏は、九州大学名誉教授で刑事法学(人権)を専門とし、開館以来、旧厚生省幹部や国の施策にかかわってきた医師が務めてきた国立ハンセン病資料館の館長に、2021年7月、法学者として初めて就任しました。ハンセン病患者に対するいわれなき差別は、私たちの社会の痛憤・痛恨の記憶です。講演では、この歴史から学ぶべき教訓を「人間回復のための法学」という視点から探りました。

旧らい予防法は、ハンセン病を伝染性の強い不治の病とし、患者を終生にわたって療養施設に隔離しましたが、それは科学的知見によっても、また法的な観点においても誤った政策でした。2001年の熊本地裁判決は、旧らい予防法による隔離政策を憲法違反と断じ、また、2019年には、隔離政策によって家族も差別などの被害を受けたとして、旧厚生省のみでなく法務省や旧文部省についても「差別除去義務」違反を認めた判決が初めて下されました。

内田氏は講演で、国の責任で積極的に誤判を是正すべきという観点から規定されている諸外国の再審法と比較し、えん罪の是正に消極的な日本の再審法とその運用の問題点についても触れ、えん罪の疑いが強いにもかかわらず死刑が執行された菊池事件の再審の必要性を訴えました。「法には相異なる2つの顔があります。国民、市民の命と暮らしを守るという顔と、国の誤った政策を根拠づけ、当事者に数々の人権侵害を引き起こすという顔です。法学の役割は、後者の顔をできる限り狭め、前者を広げることです。ハンセン病問題の場合、法学は残念ながらこの役割を果たすことができませんでした。現在も続く元患者やご家族の方の闘いを法的に支援することが、『人間回復の法学』ではないでしょうか。」と語りました。

なお今回の講演会は、参加できなかった法学部生や他学部の学生にむけて、配信動画を利用した上映会なども検討していきます。今後も関東学院大学では、学生や市民が社会にある課題について考え、理解を深める機会を提供していきます。

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