4/20(水)よりKGU関内メディアセンターで開催中の「KGU関内メディアセンター ホームズ最後の挨拶展」。この展示会はシャーロック・ホームズ/コナン・ドイル/ヴィクトリア時代研究家、田中喜芳(きよし)博士のホームズ・コレクションから貴重な関連初版本やコナン・ドイル自筆の手紙、ホームズ・グッズなど約150点を展示しています。
展示会の詳細はこちらよりご覧ください。
シャーロッキアン(ホームズの研究者・熱烈ファン)でもある田中博士は、世界最高の権威と歴史を誇る米国のホームズ研究団体、ベイカー・ストリート・イレギュラーズ(BSI)の日本人として二人目の会員に認定されています。そんな田中博士に会場でお話をお伺いしました。
「私が初めて『ホームズ物語』を読んだのは関東学院高等学校2年生のとき、当時の英語の担任、友井篤先生が『シャーロック・ホームズの冒険』に収録されている《青いガーネット》をリーダーの教科書代わりにタイプ打ちして、私たちに準備してくれたのです」と50年間以上大切に保管している“手作り教科書(B5判ほど)”の現物を見せてくれました。たしかに茶色に変色した紙は時の流れを感じさせます。
「ホームズ物語」の主な舞台は英国ヴィクトリア時代(1837~1901)末期。
「『ホームズ物語』という1冊の本があるわけではありません。これは英国の作家、コナン・ドイル(1859-1930)が著した長編4編、短編56編の計60編からなるホームズ・シリーズを総称して、我々シャーロッキアンは便宜的にそう呼んでいます」と田中博士。物語は1890年代のロンドンを中心に名探偵ホームズと相棒ワトスン医師が活躍する探偵小説で、洋の東西を問わず世界中で130余年にわたり読み継がれていることから『聖書』に次ぐベストセラーとさえいわれています。
「ホームズ物語」の魅力について田中博士は、「ホームズの卓越した推理力で難事件を次々解決する醍醐味は多くの人が指摘するところです。ガス灯、霧のロンドン、馬車や電報というヴィクトリア時代への郷愁を挙げる人が多いのも事実です。しかし、それは現代の我われの感覚です。当時の読者にとってホームズは同時代の人間であり、ヴィクトリア時代は目の前に広がる風景だったのです。私は、“事件”という核を通じて巧みに描かれた、1000人を超える当時のあらゆる階級に属する登場人物たちの人生の機微や、彼らの生き方に対する読者の共感が長く支持される理由の一つだと思います」といいます。
また、ホームズが事件を解決する過程で、多くの示唆に富んだ言葉をいっていることも魅力の一つだと田中博士は力説します。「ただ見るのと、観察するのでは大きな違いがある」「人は事実に合う理論的な説明を求めないで、理論的な説明にあうように事実を捻じ曲げてしまう」など、これらは探偵業ならずとも一般のビジネスパースンや、さらには私たちの日常生活においても役に立ちそうです。
7/2をもって閉館するKGU関内メディアセンター。そこでの最後の「ホームズ展」が開催されることについて田中博士は「関東学院高等学校時代に出会った『ホームズ物語』の魅力を広く人々に伝える場として、KGU関内メディアセンターという関東学院の施設で開催できる意義は大きく、心から感謝しています」と語っています。
今後の活動について田中博士は「『ホームズ物語』が私に多くの人々との出会いをもたらせ、日本から英国へ、英国から世界へと大きく目を開かせてくれました。『ホームズ物語』の魅力を一人でも多くの人へ伝えていく中で、とくに子どもたちには、『ホームズ物語』をきっかけに幅広い読書の楽しさも伝えていきたい。これが私のライフワークです」と笑顔で話してくれました。
「KGU関内メディアセンター ホームズ最後の挨拶展」は6/20(月)まで開催しています。この機会に是非お越しください。
ホームズから広がる65の世界についての豆知識が盛り込まれている。著・田中喜芳
また、本学社会連携センター主催の春学期公開講座において、田中喜芳博士が講師を務める「シャーロック・ホームズ魅力の世界」を開講します。公開講座につきましては下記よりご覧頂けます。
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