理工学部の小岩研究室が、横須賀工業高等学校と連携して高校生たちの卒業研究に協力しました。
小岩研究室では表面工学、エレクトロニクス実装工学、薄膜工学を専門分野として、電気めっきや無電解めっきなど、近年電子デバイスには欠かせないめっき技術について研究しています。全国的に化学科を擁する工業高校が減少していることから、近隣の横須賀工業高校の高校生たちの学びをサポートすることとなりました。
高校生たちは、めっき技術とその工程をテーマに学習に取り組んでおり、事前に3Dプリンタで制作した、約7センチの手裏剣と”くない”がめっきされていく工程を間近で見学することで、めっき技術の学びを深めることを目的に行われました。今回はプラスチックの作品をより本物の手裏剣や”くない”に似せるため、無電解めっきから電気めっきを施す多層めっきをすることに。小岩研究室に所属する5名の学生が自らめっき工程に要する時間などを考案し実演しました。
はじめにプラスチックの作品をアルカリ脱脂して不要な油などを落とし、塩化第一錫と塩化パラジウム溶液に浸漬する操作を3回繰り返しました。その後、無電解ニッケル-リンめっきを行った後に、無電解ニッケル-銅-リンめっき、電気ニッケルめっきを行いました。そして電気めっきの後に軽く乾燥することで本物のような手裏剣が完成しました。
高校生たちは、日頃、高校での実習より細かい作業でめっきされる様子に集中しながら、小岩教授の丁寧なめっき工程の説明に真剣に耳を傾けていました。
めっき前
めっき後
志澤真さん(応用化学コース4年)は「今回のめっきに必要な溶液や薬品などは材料・表面工学研究所のノウハウを参考にしたうえで、自分たちの知識を使って溶液に浸す時間などを考えました。当日までどのような形やどれくらいの大きさのものにめっきをするのかわからずに不安でしたが、うまくめっきすることができてほっとしています。めっき工程において新たな方法を探ることができたので自分にとって貴重な経験となりました」と語りました。
帰山晃康さん(工学研究科物質生命科学専攻 博士前期課程1年)は「無電解めっきをして金属に覆われていないと、どれだけ時間をかけて電気めっきをしても安定して形成できないので、工程を考える上ではとても力を入れました。少ない量で効果を発揮する薬品も存在するので、溶液との分量について特に気を付けました。近年、主流となっているニッケルめっきを実際に体験することで将来に向けて少し自信がつきました」と振り返りました。
小岩一郎教授は「工夫しながら取り組むことが学生の学びに繋がり、チームで新しいことに挑戦していくことが社会に出ていく準備の一環だと考えています。今後も実施プログラムを検討しながら継続的に様々な高校と連携出来たら」と話しました。
関東学院大学は今後も、学生たちが身につけた知識を社会に還元していく機会を展開していきます。
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