12/16(金)、人間共生学部コミュニケーション学科の山田留里子教授が担当する「中国語圏の生活と文化」の授業で、JICA海外協力隊コミュニティ開発隊員(旧:JICA青年海外協力隊村落開発普及員)として中国の涼山イ族自治州に2年間派遣された土屋賢治さんが「中国農村におけるコミュニティ開発とSDGs」をテーマにJICA海外協力隊や現地での活動について講演しました。
土屋さんが派遣された涼山イ族自治州は四川省に位置し、人口の半数を少数民族のイ族が占めています。当州の山岳地帯や農村部の一部の住民は、数十年前まで学校に通う習慣がなく、充分な教育を受けられなかったため、大人たちは中国語の読み書きができません。また、平均世帯年収はほとんど無く、じゃがいもやそばなどを主食として生活しています。世界経済の成長を牽引している国にも関わらず、多くの人々が貧困に苦しんでいることを初めて知った学生たちには驚きの表情が見られました。
イ族の民族衣装
経済的発展と教育的発展の双方を支援することで貧困問題の解決を試みたJICA海外協力隊の皆さんは、自給自足の生活により、現金収入がほとんどないイ族のために、農作物を売って収入を得る仕組みづくりに取り掛かりました。
「私たちはまず、涼山イ族自治州の喜徳県が以前から栽培しているお米に着目しました。喜徳県はお米が栽培できるギリギリの標高で、農地より高い位置に工場がなく澄んだ水が川を流れています。一部地域の農家は、金銭的に農薬や化学肥料を買うことが難しく、一切これらを使用せずにこれまで有機栽培していました。私たちはこれを売りにすることで、他の地域で高く売れるのではないかと考えました。収穫したお米を『喜徳の光』と名付けて売り込みを行ったところ、多くの人に購入していただいて、売り上げを貧困学生に給付することができました。協力隊による中国での支援活動は終了していますが、この活動は現在も現地の方に引き継がれています」と土屋さんは現地での活動について話しました。
講義の最後に土屋さんは、「中国への派遣や同じJICA海外協力隊員との交流を通じて価値観が豊かになったと感じます。私自身、協力隊の存在を知ったのは大学生の時ですが、実際に興味を持ち、活動に参加しはじめたのは35歳の時です。今すぐではなくても、今回の講義が皆さんの人生の選択肢の1つとなれば嬉しいです」と学生にメッセージを贈りました。
講義に参加した人間共生学部2年の吉川輝夜さんは「山田先生の授業がきっかけで中国やSDGsについて関心を持つようになりました。現地での支援活動を今すぐ実行することは難しいですが、SDGsの目標達成に向けて身 のまわりでも実行できることは多くあるので、まずは小さなことから始めていきたいです」と今後の展望を話しました。また、人間共生学部1年の渡邊幸樹さんは「中国は経済が発展しており、上海や北京といった大きく、華やかな街が多い印象でしたが、深刻な貧困問題を抱える地域も存在していることに驚きました。今日の講義を通し、コミュニケーションを図ることの大切さを学んだので、今後は語学の勉強にも力を入れたいと考えています」と感想を話しました。
今後も関東学院大学は、学生が世界の抱える課題に向きあう機会を提供していきます。
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