経済学部石坂ゼミナールの4年生は、昨年度から2年間かけて古着にまつわるプロジェクトに取り組みました。
取り組みのきっかけは、2021年度の3年生ゼミの活動で、アパレルの大量廃棄社会について触れたこと。どのような社会問題を生んでいるのか、現状や課題を先生や書籍から学んだことで、ゼミ生たちに問題意識が芽生えました。
古着を回収し途上国に送ることは現地消費者の助けとなりますが、一方で服飾生産に携わる人々の雇用を奪う側面もあり、必ずしも良い行いというわけではないという問題があります。このような問題に対し、石坂ゼミの学生たちは、自分たちにできることを考え、2021年度の創造祭(学園祭)で古着回収のブースを設けました。ゼミ生たちは古着回収の呼びかけだけでなく、取り組みの意義についても説明を行い、立ち寄った学生や教職員も興味を示し、ゼミ生たちの話に熱心に耳を傾けていました。2021年度の創造祭は、新型コロナウイルス感染症対策のため学内関係者だけを招いての開催でしたが、合計62.45キロの古着を回収しました。
古着回収を行うにあたり、回収した衣服をどうするかを検討し、まだ着ることが出来る衣服を国内でリユースするため「WEショップかなざわ」へ持ち込み、活用してもらうという結論になりました。「WEショップ」は世界各国へ支援活動を行う、「特定非営利活動法人WE21ジャパングループ」の地域NPOが運営するリユース・リサイクルのチャリティショップです。回収した衣服は店内で販売され、その売上金の一部は、国内外の支援を必要とする人々へ寄附されます。「WEショップかなざわ」の方は、大学生が衣服の廃棄問題について意識を持っていること、足を運んで古着を持ってきてくれたことに感激していました。
2021年7月には、高大連携企画として横浜東高校の生徒を招き、学生たちが高校生に対して、クイズを交えながら衣服の大量廃棄について考えてもらうワークショップを行いました。衣服の大量廃棄についてレクチャーを受けた高校生たちは、消費者側、生産者側に分かれ、それぞれ意見を出し合いました。生産者側の視点に立った解決策がなかなか出てこない高校生たちに、学生たちはSDGsに絡めて衣料の大量廃棄の解決を考える視点を紹介するなどアドバイス。受講した高校生たちは、「衣服の問題というものを深く考えたことがなかったので、すごく面白かったです。また消費者としての考えは浮かんできましたが、生産者側というのは今まで考えたことがなく、とても新鮮でした。」と、感想を述べました。
そして、今年度は聖学院大学が主催する「SEIG Fashion Revolution 2022 ~ 好きなこと×SDGs ~」で行われる古着を活用したファッションショーに招待され、それに向けた活動に取り組みました。このファッションショーでは回収した古着のみを使用してコーディネイトすることが条件です。必要な古着を集めるため、古着回収のブースを学内に設置し、秋冬の衣服を回収しました。
そして待ちに待った聖学院大学でのファッションショーでは、青山学院大学の学生たちも加わり、それぞれの大学で回収した古着を使用したコーディネイトを披露しました。コーディネイトでは同じ衣服は使用できないため、組み合わせに苦労したと言います。石坂ゼミのテーマは「紅葉を見に行こうよ」。暑すぎず寒すぎない秋の気候をイメージしたシンプルな服装を考えてコーディネイトしました。学生たちは、それぞれが考えたコーディネイトでライトアップされたランウェイを歩き、各大学のテーマに沿ったファッションをお互いに興味深そうに観覧していました。
2年間におよぶ古着にまつわるプロジェクトを終えた石坂ゼミの4年生2名に感想を聞きました。
村越颯馬さんは、「大学に入学した時は、どういったことを学びたいかイメージが湧かなかったのですが、このゼミで衣服の大量廃棄問題について学び、ゼミの仲間と様々なプロジェクトに取り組んだことは、すごく楽しかったです。ただ学ぶだけでなく、外部の人たちとも関わりながら、こうした問題を考え、実践できたことは大学生活でかけがえのない体験でした」と、石坂ゼミでの学びが、大学生活の中で大きな思い出となったと語ってくれました。
同じく4年生の犬童一裕さんは、「古着回収を2回行いましたが、2回目の時に前回よりも学生たちが古着を持って来てくれたことに感動しました。ゼミの中で学んでいた自分たちだけでなく、他の学生も衣服の廃棄問題に関心を持っていることは嬉しかったです。卒業してからもゼミで学んだことを忘れず、衣服にまつわる色々な問題や課題を、引き続き意識していきたいと思います」と、今後も学びを活かした行動をしていきたいと話しました。
関東学院大学は、今後も社会課題解決に向けた学習を推進していきます。
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