4月24日(月)に西金沢コミュニティハウスにおいて「関ヶ谷地域における震災時の危機対応に関する調査」結果報告を行いました。当日は関ヶ谷地域に居住する自治会の方々など25名にご参加いただき、活発な意見交換が交わされました。
この取り組みは、「都市型限界集落を対象とした地域コミュニティ主体の包括的危機管理モデルの構築」と題した研究の一環で行っているもので、社会学部の細田聡教授をはじめとして、社会学部 小山弘美准教授、理工学部 元木誠教授、看護学部 永田真弓教授、人間共生学部 施桂栄教授らが参加しています。今回は、横浜市金沢区の関ヶ谷地域の全世帯を対象に、大きな災害が起こった際の状況や災害に対する事前の準備等についてアンケート調査を行い、その結果をまとめ報告しました。
当日は、細田教授よりアンケート調査の結果が報告されました。アンケート調査では、特に、発災下での要支援者の有無や、また、どのような支援が必要とされているか、加えて支援者の状況など様々な視点から、地域住民の発災認知から避難行動に移行するまでの過程を多角的に調査・分析しました。これらの状況を地域的な特徴も含めて詳細に把握することによって、災害への対策の検討や防災への取り組みに活かしていくことができます。そして、調査結果を地域コミュニティで共有することで、相互扶助を機能させる地域包括的危機管理モデルの構築を目指します。
アンケートの回答から、まず、関ヶ谷地域居住者の基本データの分析、地域活動・連帯性の分析を行いました。次に大震災発生を想定し、その発災下での避難時行動について各世帯からの回答を分析した結果がまとめられています。アンケートには、発災時の避難先や移動手段、支援要否世帯及び人数、災害下での情報収集手段などの質問項目を設け、回答内容の分析から導いた地域の強みと今後の課題について地域の方々へ共有がされました。調査結果からは、関ヶ谷地域は平均居住歴が30年を超える地域であることもあり、住民の防災訓練への参加率も高く、日頃の防災意識の高さが見て取れます。また、平常時・災害時ともに高い連帯性を築けていることから、共助関係が構築されている地域であることがわかります。その半面で、要支援者がどこに居住しているのかなど各世帯内の状況は、プライバシーの観点から共有することが難しく、発災時に要支援者と支援可能者のマッチングができないことが現状としてあること等の課題も見られました。地域の特性や変化していく状況の共有をどのように行っていくか、個人情報の壁にどのように立ち向かうかが今後の課題として提示されました。
報告会に参加した地域の方々からは、「今後も同様の調査を継続することで、その時々の実情に合った防災対策の検討が可能になると思う。引き続き協力をお願いしたい」との要望が寄せられました。細田教授は「今回のようなアンケート調査は、一度きりで終わらせるのではなく、続けてやっていくことが重要となる。今回は大学側からの働きかけで実施したが、実施主体が自治会主体へと変化していってもいいのではないか。今後も継続して行うことで地域の中の変化の様子も明らかになり、そこで得られる結果を、災害への対策の検討や防災への取り組みに活かしてもらいたい」と応えました。
関東学院大学は今後も、幅広い学問領域の知見を集結させ、地域の課題に取組んでいきます。
本研究はJSPS科研費 JP20K05011の助成を受けたものです。
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