学生がDIYでキャンパス内外の空間デザインにチャレンジ―人間共生学部 日髙仁ゼミナール―

人間共生学部共生デザイン学科の日髙仁ゼミナールは、関東学院大学横浜・金沢八景キャンパスのリノベーションのほか、町工場や学院各校などの空間デザインに取り組んでいます。2023年度は同ゼミナールに所属する4年生の2名が、卒業制作としてキャンパスリノベーションプロジェクトにチャレンジしました。

プロジェクトの背景について日髙教授は「以前からキャンパス内のシンプルな空間に勿体なさを感じていました。そこでデザイン学科の学生たちの作品で空間を作り上げられないか考え、ゼミ室の家具を自分たちでつくるところから、このプロジェクトを始めました。彼らが欲しい空間を自分たちでつくる、先輩がつくったものを大切に使い続けていく、そういった取り組みが積み重なっていくことで、このプロジェクトの重みがより増していくと考えています。いつか学生たちがキャンパスの改修に携わることを期待しています」と話しました。

今回プロジェクトに取り組んだのは、和田法男さん（同学科4年）と小林怜央さん（同学科4年）。横浜・金沢八景キャンパスE1号館の学生ホールに設置されたそれぞれの作品についてお話を伺いました。

和田さんが制作したのは、コンパクトな四角形のチェステーブル。「後輩にあたる3年生たちが制作したオセロテーブルが、多くの学生に使われていることに着目しました。そこで学生たちにより快適な時間を過ごしてほしいと思い、遊びの要素が増えるよう模索した結果、チェステーブルを制作することに決めました」と和田さんは制作のきっかけを話します。ポイントは、5種類の長さの廃材と角材をランダムに組み合わせて生まれた抜け感。オセロテーブルのサイズ感と併せて家具の統一感も生み出しています。

「模型を制作して空間デザインを学ぶ授業を受けていましたが、実際の空間をデザインできたのは非常に貴重な経験となりました。この学生ホールを人間共生学部の学生だけでなく、他学部の学生たちにもぜひ使ってもらいたいですね」と笑顔で話しました。

小林さんが制作したのは、学生作品などを展示できるボードラック。複数の板で構成されていることから、自由に組み合わせる事ができ、安定感を担保しながら持ち運びもしやすいものとなっています。「ボードラックの制作に取り掛かる前に、学部の作品展示の運営管理を実施する委員会より、使用している展示台がとても重くて使いにくいことから、作り直してみないかと声をかけてもらいました」と話す小林さん。一つひとつの部品を薄くすることで、なんと41.4kgから15.9kgへと軽量化に成功。小林さんと和田さんの作品には、この古い展示台から出た廃材が主に用いられています。

ボードラックの制作を進めるにあたり、小林さんは、学生ホールの印象について学生たちにヒアリング調査を実施。入り口に近いことから人通りが多く人目が気になるといった意見を参考に、作品展示のみに限らず、人目を遮ることができるものにしたいと構想を膨らませたと言います。制作した高さ150cm×横270cmのボードラックを、昨年の先輩たちが制作した三角テーブルの前に配置することで、その役目を果たしました。

プロジェクトの今後について小林さんは、「このプロジェクトが受け継がれていくことが一番の願いです。そのうえで、私たちの作品だけではなく先輩たちの作品との統一感を持たせて、他の家具とのバランスを見ながら空間を作り上げてほしいと思います」と話しました。

お互いの作品について作業手順や使い心地について意見を交わすことによって、新たな改善点が見つかり、より良い作品に仕上げる事ができたという二人。これからの目標について和田さんは、「これから出会う人達にとって頼りになる人材になりたいです。そのうえでクライアントの要望に沿った良い住宅を作りたいと考えています」、小林さんは「将来は住宅の設計を目指しているので、まずは施工管理の知識や技術を身につけて、今後に生かしていきたいです」と意気込みを話しました。

またこれらの作品は、後援会の方々よりご支援頂いている奨学金をもとに卒業制作が進められました。和田さんは「奨学金を頂けたことによって、作品以外にクッションやフロアマットを購入したイメージまでを構想することができ、デザインの幅がとても広がりました。ご寄付頂いている方に感謝します」とコメントしました。