関東学院大学・神奈川県弁護士会 包括連携協定締結記念シンポジウム「LGBTQ+の課題と展望」を開催しました

#関東学院大学法学会 #神奈川県弁護士会 #LGBTQ

3月9日、横浜・関内キャンパスのテンネー記念ホールにて関東学院大学・神奈川県弁護士会 包括連携協定締結記念シンポジウム「LGBTQ+の課題と展望」が開催されました。

関東学院大学では、「社会連携教育」に取り組む中で、社会の課題を知り、なぜそのような課題が存在しているのか、その課題を解決していくためにはどんなことに取り組まなくてはいけないのかを考える機会を提供しています。今回のテーマである「LGBTQ+」もまさしく現代社会における課題を捉えるための鍵の1つです。2023年6月23日に「LGBT理解増進法」が施行されたこと、今現在生じているトランスジェンダーに対する差別や中傷などの被害も踏まえ、群馬大学情報学部の高井ゆと里准教授による基調講演と、合同会社NOMB代表の永田龍太郎さん(元 渋谷区男女平等・ダイバーシティ推進担当課長)、ENEOS株式会社人事部勤労グループダイバーシティ推進チームの高見澤昌代さん、本学法学部の𠮷田 仁美教授らによるパネルディスカッションを行いました。

高井准教授は「トランスジェンダーを巡る『未来』をかけた争い」をテーマに、トランスジェンダーについてや、トランスジェンダーの方たちを取り巻く現在の課題や状況について講演を行いました。高井准教授は「まずは、この時代を共に生きているトランスジェンダーの方がいるということを知ること自体が大切であり、次にその人たちがどのような苦しみを抱いているのかについて理解する必要があります」と話しました。「トランスジェンダーの方は確実に身近に存在しています。しかし、これまでは以前から共に社会に生きているということに、多くの人たちが関心を持っていませんでした。差別を受けるという理由で積極的にカミングアウトをしていない方が多く、その存在が知られていなかっただけで200人に一人は存在しています」と存在を認識されていないことがそもそもの課題だとしました。

また、トランスジェンダーとは“生まれたときに登録された性別に、標準的に期待されるものとは異なる性別を生きている人たち”だと説明しています。その中で、出生時に期待された男・女として生きるべきとする社会からの課題を背負えなくなった存在がトランスジェンダーということであり、男らしく・女らしく生きていくという課題とは別であるとの説明もありました。そういった人たちが、どのようなことに生きづらさを感じているのかを知らなくては、現実に根ざさない偏見に基づく衝突が生じてしまうと言います。今の社会では、トランスジェンダーの方の存在を前提とされていない構造で成り立っている部分が多いとし、そうした構造的な排除を無くしていくため、企業や自治体としてどう取り組んでいくのかなど、それぞれの立場から解決に向けて様々なアプローチでアクションを起こす必要があると話しました。

講演終了後のパネルディスカッションでは、神奈川県弁護士会の太田啓子氏がコーディネーターとなり、永田さん、高見澤さん、𠮷田教授がそれぞれの活動やLGBTQ+に対する考えについて講演を行いました。永田さんは、渋谷区の取組を例に挙げ、パートナーシップ制度の導入や、施策推進において男女平等からジェンダー平等へ意識を転換する必要性について紹介されました。また、𠮷田教授は専門である憲法学の観点から、ジェンダー論の講義を行う上で感じた点や実際にあった同性婚に対する海外の事例などを紹介しました。

その後は、参加者の方からリアルタイムで募った質問をゲストのみなさんに回答いただきながら議論を展開。ENEOS株式会社で取り組まれている、従業員が性的マイノリティの価値観や活動を支持、支援する想いがあることを周囲に表明することで、心理的安全性の高い職場を作ることを目的とした「ENEOS ALLY(アライ)」と呼ばれる活動の紹介を受け「ALLYは希望すれば誰でもなれるのか」という質問があり、高見澤さんは「もちろん大丈夫です。理解したい・しようとしている、周りで差別的言動があれば改善に努めますという意思表示でもあり、見える化することで安心感が得られるのではないかと考えています」と回答しました。

参加者からは「高井先生のトランスジェンダーの定義で説明があった、“戸籍上の性別”ではなく“生まれたときに登録された性別”という言葉が印象に残りました。戸籍上というのも自分で望んだ性別ではないという意味で、登録されたという言い回しに納得しました。最後には、裁判など何かあったら呼んでくださいと投げかけていたので、当事者の方にとってはとても心強いだろうと感じました」と感想を述べました。

シンポジウムの運営スタッフとして携わった、法学部2年生の竹原弓愛さんは「身内の中でもジェンダーについて考える機会があり、もともとLGBTQに関する課題に関心はあったので、何かしらの形で携わりたいと考えスタッフを希望しました。当事者の方たちがどのようなことに生きづらさを感じているのかを知り、外に出られなくなってしまう社会ではなく、誰もが当たり前のように生活できるためにどう改善していくべきかを考えなくてはいけないと感じました」と現状を知ることの必要性を実感したようです。

関東学院大学は、今後も神奈川県弁護士会と連携し、社会に存在する課題を知り、行政や地域と解決に向けた方法を探っていきます。

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