理工学部の鳥澤一晃教授が日本地震工学会論文賞を受賞しました。

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理工学部土木・都市防災コースの鳥澤一晃教授らの論文「2016年熊本地震における広範囲の地震動強さに対応した複数自治体の罹災証明データに基づく建物被害関数の構築」が日本地震工学会論文賞を受賞しました。
日本地震工学会は、地震工学の進歩および地震防災事業の発展を支援し、学術文化と技術の進歩と地震災害の防止と軽減に寄与することを目的に活動しています。そして、論文賞は、地震工学および地震防災に関する論文で、独創的な業績を挙げ、地震工学および地震防災における学術・技術の進歩、発展に顕著な貢献をなしたと認められるものに授与されます。

鳥澤教授の研究分野は、都市防災学、災害リスク工学で、過去の地震災害のデータに基づき、将来の建物被害の予測を行う研究に取り組んでいます。
地震による建物被害を予測する手法の一つに建物被害関数(地震動による家屋被害の程度を数量的に表したもの)があります。過去の震災での被害調査データに基づき地震動の強さと建物被害率の関係を統計的にモデル化したもので、国や自治体の地震被害想定では広く使用されていますが、その構築には多数のデータが必要なため、これまで1995年兵庫県南部地震のデータに基づく被害関数が中心に使われてきました。しかし、これは30年近く前のデータであり、当時とは建物の耐震技術等が大きく進歩していることや、当時の混乱の中で行われた被害調査には一定のバイアスが含まれていることも考えられることから、それを基にした被害予測と実際に起こるであろう被害状況には誤差が生じる懸念がありました。

鳥澤教授らは、建物被害予測の精度を高めることを目的として、2016年熊本地震の熊本県益城町と宇城市における罹災証明データを統合し、広範囲の地震動に適用可能な構造別、建築年代別の建物被害関数を新たに構築しました。さらに、既往の代表的な建物被害関数を複数取り上げ、それらの予測結果との比較や、各被害関数の構築に用いられたデータや地震が発生した地域の違いなどを考慮した検証についても行いました。提案された建物被害関数は、地震防災における災害予測技術の進歩に貢献するとともに、今後の発展性が期待されるとして今回の受賞に繋がりました。

鳥澤教授は、「建物被害予測は、地震被害予測のさまざまな項目がある中のひとつで、建物の被害は人命の安全や二次被害にも関わってくるため、重要な被害予測の要素となります。また、精度の高い被害予測は、食料・水の備蓄数や避難者数の想定などの適切な地域防災計画へも繋がります。東日本大震災の教訓を受けて、震災後、多くの自治体が被害予測の見直しを行いましたが、その後約10年が過ぎて、再度見直しが必要な時期が来ています。今回の建物被害関数は、2022年の東京都の地震被害想定の見直しで適用された実績がありますが、さらに他の自治体にも拡がることで、自身の研究が社会で役立てられることが願いです」と、今後、研究成果が活用されることへの期待を話しました。また、「論文賞に選ばれたことは大変光栄で、賞の重みを感じています。これを励みに今後も社会の防災力向上に貢献していきたいと思います」と受賞の喜びを語りました。

今後も関東学院大学では、研究成果を還元し社会課題の解決に貢献していきます。

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