11月29日(金)、横浜・関内キャンパステンネー記念ホールにて人間共生学部主催「南音と古琴の世界を訪ねる」講演会&コンサートを開催し、地域の方々や本学の学生など約200名が来場しました。
“南音”とは、中国の泉州市発祥で現存する最古の漢民族音楽。琵琶や拍板とよばれる木製の打楽器、洞蕭という竹製の縦笛などによる重奏が伝統的な演奏形式です。“古琴”は7本の弦をもち、徽と呼ばれる13の印に従って、左手の指で弦を押さえ右手の指で弾いて演奏する中国の伝統楽器です。いずれもユネスコ無形文化遺産に登録されており、今回はこの音楽の伝承者である蔡 雅藝氏、陳 思来氏にご公演いただき、長崎大学多文化社会学部の王 維教授に伝統楽器や楽曲の解説を行っていただきました。開演に先立ち、施 桂栄人間共生学部長は「今日は、音楽を通して異文化理解を深める時間としましょう」と語り、異なる社会・文化背景をもつアジアの国々で伝承されてきた南音と古琴の音色から、アジアにおける文化交流史のダイナミズムを感じるコンサートが幕を開けました。
陳 思来氏(楽器:洞蕭)
蔡 雅芸氏(楽器:南音琵琶)
王 維氏(楽器:南音琵琶)写真左
蔡 雅芸氏(楽器:四宝)写真右
陳 思来氏(楽器:古琴)
コンサートの冒頭では、南音の四大名曲である「梅花操」を南音琵琶、洞蕭、拍板の三重奏で披露。この曲は、年明けの寒さに耐え忍び、桜などの春の花に先駆けて力強く咲き誇る梅の花の強さを称賛する楽曲です。時おり互いに微笑み合って演奏する姿からは、古来より演奏者同士の精神的な交流や自らを楽しむ「自娯」を重んじる南音の心をうかがい知ることができました。続いて「風打梨」では、四宝という竹製の打楽器、歌唱、南音琵琶、洞蕭で演奏。蔡氏の伸びやかな歌声と、四宝の繊細な音色が響き渡りました。
終盤には、中国故事の「高山流水」に着想を得た「流水」を古琴と洞蕭で披露。「高山流水」とは中国春秋時代、琴の音色で相手が何を思い描いて演奏したかが瞬時に分かったという故事で、自分のことを深く理解してくれている親友のたとえに用いられます。来場者は王氏の解説により、中国文化への造詣を深めるとともに、心地よい音色に耳を傾けていました。
人間共生学部が教育・研究を通して目指す多文化共生社会は、その国の言語を理解するだけでなく、芸術や文化を理解し、受容した先にあります。
横浜・関内キャンパスでは、今後も“知の交流拠点”として様々な催しを行っていきます。
PROFILE
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蔡 雅芸南音伝承者
福建省泉州生まれ。幼少から南音を学び、2000年以降シンガポールでも活躍。2010年にはイギリス音楽コンクールで受賞し、これまで6枚のCDアルバムを発行している。学者としても国際学術交流を行っている。 -
陳 思来古琴、南音演奏家・上海音楽学院無形文化遺産伝承センター特任教授
南音琵琶と洞簫(尺八)、古琴の演奏に長ける。2015年ジュネーブ国連主催の南音文化交流に参加、古琴の演奏や研究のみならず、教育にも力を入れている。 -
王 維中国琵琶奏者・長崎大学多文化社会学部教授
研究分野は海外中国移民社会および中国文化、日中民族音楽。著書に『日本華僑社会における伝統の再編とエスニシティ』『日本筑前琵琶の音楽性および伝承体系』(中国語)等がある。
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