理工学部土木・都市防災コースの地盤防災工学研究室の学生達が、関東学院六浦高等学校のGLEクラスが主催する「金沢区防災サミット」に協力しました。
理工学部土木・都市防災コースの地盤防災工学研究室(主宰:規矩大義教授)では、毎年、関東学院六浦高等学校のGLE(Global Learning through English)クラスの1年生が取り組む探究学習に協力しています。
この探究学習では、理科「科学と人間生活」、「生物基礎」、社会科「地理総合」の3科目を通して、地震や火山などの自然災害や地形地質、地域の理解等に関する横断的な学びを終えた生徒たちが、「災害に備えて地域と連携してできること」をテーマに、大学で講義を受講したり、大学生達の協力を得ながら自主研究を行い、その成果を地域の皆さんに知ってもらう取り組みを進めてきました。今年度は、金沢区内の10 地域(「町屋町・平潟町」「六浦」「六浦東」「州崎町」「柳町」「乙舳町・野島町」)を対象に、8つのチームに分かれ災害時のアラートマップを作成することになりました。
大学での講義では、理工学部が所有する、震度7相当の横揺れと縦揺れを同時に体験できる大型振動台で、地震の恐ろしさを体感した後、規矩大義教授から「ハザードマップは多くの自治体で整備・公開されていますが、それはある特定の条件における被害の広がりを示したものです。こども連れのお母さんなら、車椅子の人なら、お年寄りなら、それぞれの状況によって対応も変わってくるはずです。それを想像できるかどうかが最も大切なことです」と説明がありました。生徒たちは、地域ごとに災害の種類や条件、対象者を自分たちで設定した「条件付きハザードマップ」である「アラートマップ」の作成に取り組むことになりました。
実地調査では、地盤防災工学研究室の学生たちが各チームに帯同し、どういったところが危険なのかを解説しながら歩きました。生徒たちは「普段歩いているだけで特に危険性などは気にしたことはありませんでした。ですが、大学生のみなさんに、ここは崩れてしまうリスクがあるよ、道が狭いから避難路にはできないね、といった具体的な説明をもらい、知らなければいざというときに対応できないことがたくさんあると気付きました」と話します。
中間発表では、教員や学生の専門的知見によるフィードバックを受け、より実用的なアラートマップにブラッシュアップ。12月7日(土)に完成したアラートマップの発表会として、金沢区の後援を受け、関東学院大学防災・減災・復興学研究所の協力のもと「金沢区防災サミット」を開催しました。
「金沢区防災サミット」当日は、生徒の成果発表の前に規矩教授による講演「いま地震が起こったらどうする?~能登半島地震の被害も踏まえて~」を実施。危ないという感覚は、自分が経験した範囲でしか判断できないからこそ、これから起きる地震について考えなくてはいけない、と過去に日本で発生した地震災害を例に、これから予測される地震に備える必要があると説明しました。「命を守るためなのは当たり前ですが、その他に地域、社会の未来、精神的安定、経済など何が守れるかを考えるのが防災です。自分たちの意識を変えることはもちろん、地域の皆さんにも知ってもらうきっかけにしてもらいたい。冷静なときにしっかり考えられるよう、今からできることを準備していく必要があります」と話しました。
高校生からの最終発表と、パネル展示による口頭説明では、マップを見てもイメージができるように写真をマップ内に盛り込んだ、など各地域の特性を掴み、高校生ならではの気付きも見られる創意工夫を凝らしたものとなりました。
掲示板でこのイベントを知り参加したという地域の方は「地域の防災担当をやっている。自分の住んでいる地域ではなかったが、共通するところもいくつかあった。みんなにも意識してもらうため、今日聞いた話を会合でも共有したい」とその足で町内会の会合へ向かわれました。
地盤防災工学研究室では、毎年、関東学院六浦中学校・高等学校の防災に関する学びと探究学習に協力しています。中学1年生から高校3年生までの各学年に対して、それぞれ秋と冬の年2回、防災に関する特別講義を行っています。今後も大学での研究力を地域へ還元し、防災について多くの方へ知ってもらえるよう、さまざまな形で連携を行っていきます。
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