防災・減災・復興学研究所 2021年度第1回「所長プロジェクト研究」(復興に関する学際融合研究)研究会

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3月25日(金)、本学防災・減災・復興学研究所による、2021年度第1回「所長プロジェクト研究」(復興に関する学際融合研究)研究会が行われました。研究会では学部や研究にとらわれない、「復興」をテーマにした研究内容について、先生方から発表がありました。
最初は研究所所長の小山 嚴也学長から、ウルトラファインバブル(UFB)活用による養殖業のサステナブル・ブランディング事業についての発表です。この事業は以前本学プレスリリースでも配信しており、東日本大震災で津波の影響により大きな打撃を受けた牡蠣の養殖業に対して、UFBを活用した南三陸の牡蠣のブランディングを行う、という内容です。今回の発表では研究や事業の詳細と、検証結果を踏まえた現状の課題や今後の展望についての説明がありました。また本事業にUFB技術を提供している材料・表面工学研究所の梅田泰専任講師からも、UFB低濃度オゾン水製造装置の技術について補足の説明がありました。

次は経営学部の岩崎達也教授より、東日本大震災をきっかけに、牡蠣の養殖方法の見直しを提案した漁師の方へのヒアリングから得た研究成果についての発表です。岩崎教授は牡蠣ブランディング事業に携わる中で、現地の牡蠣養殖が盛んな志津川・戸倉地区を調査し、地元の漁師の方へ取材を行いました。この地域で収穫している牡蠣は、過密養殖で生育が遅く品質も悪い状態が続き、その養殖方法を変更する機会も今までありませんでした。しかし震災で牡蠣養殖が出来なくなった時に、ある漁師の方が漁業協同組合に新たな養殖方法を提案したところ、従来と比べて生産性が向上するという結果に。震災という悲劇的な体験が、組織の養殖方法を変えるきっかけになり、変革の結果生産性も上がり、商品価値が向上しました。このことは「復興」が人々の意識を変化させ、地域の資産やブランドを生み出すイノベーションの機会となっているのではないか、と岩崎教授より説明がありました。

最後は国際文化学部の髙井啓介准教授より、宗教が復興にどのように関わっているのか、震災復興と宗教についての発表です。祭りと復興という話から、東日本大震災の被害を受けた岩手県陸前高田市のうごく七夕祭りの大石地区の山車を取り上げ、「象徴的復興」について解説し、一般生活者を主体とし、日常生活に溶け込んだ民俗宗教は社会統合の機能を発揮しうるのではないかと説明がありました。また臨床宗教師という、被災地や医療機関、福祉施設などの公共空間で心のケアを提供する宗教者が果たす役割についても説明があり、宗教や宗派の垣根を越えて、宗教的ケアを必要とする人々の声に耳を傾け、寄り添えるような存在が求められているのではないか、という研究成果を発表されました。

各発表の後には、参加された様々な学部、研究の先生方から、自分の研究分野でとらえた時の視点など多くの感想や意見が飛び交い、議論が活発に行われました。
研究会を終えて、小山学長は「今回、私含めそれぞれの先生が話された『復興』をテーマにした研究ですが、学問分野ごとに色々なアプローチがあることがイメージ出来ました。『復興』と聞くとインフラや建物の復旧、私が発表させていただいたUFB活用による養殖業のサステナブル・ブランディング事業など、客観的(技術的・制度的)復興の印象が強いですが、髙井先生の話された祭りや臨床宗教師という、社会統合の役割、地域住民への心のケアや、岩崎先生の話された震災をきっかけに組織変革の意思が生まれる、という象徴的(心理的・意味体系的)復興など、多様な観点があることが分かりました。様々な学問の研究者が集まっている総合大学として、こういった分野を超えた研究者の観点を共有できる機会というものは大事にしていきたい。次回以降も楽しみにしています」と今回の研究会の感想と今後の期待を口にしました。

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