防災・減災・復興学研究所が福島県の震災からの復興・再生のあゆみを知り協働を考える講演会及び現地視察を行いました。

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1月30日(月)、横浜・金沢八景キャンパスにおいて、防災・減災・復興学研究所主催の講演会「“ふくしま”のいまとSDGsと」が開催されました。2022年9月に包括連携協定を締結した福島県から企画調整課長の佐藤安彦氏をお招きし、福島県の過去・現在・未来についてお話頂きました。

東北地方に甚大な被害を及ぼした2011年3月の東日本大震災。福島県下では、地震・津波の被害に加えて福島第一原発の事故、放射線・放射能に対する不安からの風評被害など、複合災害に見舞われました。佐藤氏は、震災からの復興に向けて、喪失された暮らし・産業・雇用や極度の人口減少に対して、どのように臨んできたのかをお話してくださいました。被災者の生活再建、住民帰還や移住による人口回復、地域産業の再生、根強く残る風評と風化の問題、廃炉・汚染水・処理水の対策など、復興の実現に向けて課題は山積しています。佐藤氏は「復興のステージが進むにつれて新たに顕在化する課題や、地域のそれぞれの復興の進捗に応じた課題に対して、柔軟かつきめ細かに対応し、ひとつひとつ実現していくことが必要だ」と話しました。そして、東日本大震災および原子力災害によって失われた福島県浜通り地域等の産業回復のために推進している、新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」について紹介してくださいました。「福島イノベーション・コースト構想」では、福島ロボットテストフィールド等の拠点整備を含めた主要プロジェクトの具体化に加え、産業集積の実現、教育・人材育成、生活環境の整備、交流人口の拡大等に向けた取り組みを進めています。

2月13日(月)には、「福島イノベーション・コースト構想」の現場である福島県浜通り地域の視察ツアーが実施され、福島ロボットテストフィールド(以後、RTF)⇒東日本大震災・原子力災害伝承館⇒請戸小学校⇒特定非営利活動法人Jin⇒福島水素エネルギー研究フィールドを巡り、「福島イノベーション・コースト構想」の主要プロジェクトである<廃炉><ロボット><エネルギー><農林水産><医療><航空宇宙>の現場を視察しました。

RTFは、福島イノベーション・コースト構想に基づき整備された「陸・海・空のフィールドロボット」の一大開発実証拠点です。インフラや災害現場など、実際の使用環境が再現された4つのエリアで構成される試験場で、ロボットの性能評価や操縦訓練ができる世界に類を見ない施設となっています。充実した機能を持つRTFは研究の実証実験の場としての利用が期待されます。
東日本大震災・原子力災害伝承館では、原子力災害を中心とした展示を見学しました。震災の記録と記憶を教訓として防災・減災に役立てるための学びの場となっています。また、震災遺構として整備・保存されている請戸小学校は、車窓からの見学となりましたが、防災について考えるきっかけとして、後世へ伝承していくための地域のシンボルとなっています。
農林水産分野のプロジェクトでは、特定非営利活動法人Jinによる花卉栽培について、法人代表の清水裕香里氏からお話を伺いました。Jinでは震災後の2014年から浪江町内にて、トルコギキョウを中心とした花卉栽培を手掛けています。清水氏は「福島県産の米や野菜、果物などの農作物は、原発事故をうけて風評被害の影響を大きく受けましたが、花卉は幸いにもその影響は少なく、栽培品質を上げ付加価値の高い商品を出荷することで利益の高い事業として成功をしている」と話します。視察に参加したブランドマネジメントを研究テーマとする経営学部の岩崎教授は「ブランド化することで更なる発展が期待できる」といいます。「浪江町の一つの名産として『花』の里にするのは今後の戦略としてブランド的にも、移住促進にも有効ではないか」と更なる発展に期待を寄せました。
福島水素エネルギー研究フィールドは、太陽光発電の電気を利用して水素エネルギーを生み出す実験施設となっていて、新たな付加価値を有する大規模水素エネルギーシステムの開発と実用化を目指し整備されていました。

今回の視察には、所属学部や専門領域の垣根を越えて、7学部から17名の本学教員が参加し、それぞれの研究分野においての復興への関わり方や、今後の連携の可能性を探りました。

今後も関東学院大学は、専門的な知見や幅広いネットワークを通じて、福島の復興と地域創生に向けた多くの課題に福島県とともに取り組んでいきます。

※大規模災害から生命や財産、そして豊かな社会を守るためには、防災技術の更なる発展に加え、社会や人からのアプローチも重要です。防災技術と地域社会との連携や、他分野との協調・協働によって多くの視点が加わることで、人や社会の幸福に繋がる防災・減災・復興が実現できると考え「関東学院大学 防災・減災・復興学研究所」は設立されました。同研究所では、①未来を護るための研究、②学部を横断し取組む、③企業・自治体との連携、の3つを主軸として活動しています。

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