9/1に株式会社東陽テクニカ(東京都)で行われた、公益財団法人 電気化学会 関東支部主催「第41回夏の学校」で、友野研究室に所属する佐藤匠さん(工学研究科修士2年)が優秀ポスター賞を受賞しました。
同イベントは、電気化学を学ぶ関東近郊の研究室が集い、電気化学分野の最先端の研究・キャリアパスへの理解を深めることや、学生同士の交流を目的として開催されています。今年度は、専門家2名による特別講演と参加学生によるポスターセッションを実施。佐藤さんは発表した28名のうち、上位6名に選ばれ同学会から優秀ポスター賞が贈られました。
発表テーマは「電気化学的に作製したナノ層状リアクターによる色素吸着と分解機構の解明」で、佐藤さんが2019年から継続的に研究に取り組んでいるものです。
電気を蓄えて放電できる蓄電装置”キャパシタ”に優れている、層状化合物であるマンガン酸化物の特性であるイオン交換能が、水系汚染問題の改善に結びつくのではないかと考えた佐藤さんは、2019年に研究室内で吸着をメインとする研究グループを立ち上げます。2022年にはマンガン酸化物の層の隙間に界面活性剤を入れる事で、従来の40倍もの有機色素を吸着することを発見。そして、吸着させた有害物質を残存させたままではなく、分解して無害化することに取り組み、見事分解に成功しました。「ポスター発表では,どのくらいのスピードで分解されるのか、どのくらいのエネルギーで分解が行われているのか、定量的な議論を展開しました。当日参加していた学生さんから、分かりやすく、とても面白い研究とコメントを頂き嬉しかった」と振り返ります。
またナノ層状リアクターの作製工程についても、ひとつこだわりがあるという佐藤さん。従来は、互いに相互作用する高分子溶液へ基盤を交互に浸漬する、レイヤーバイレイヤー(交互積層)法を用いて薄膜を作製するところ、再現性が低いことを懸念した佐藤さんは、電流を制御できる電気化学システムを用いて薄膜を作製。電気化学的手法を用いることに対して多くの研究者から好評だった言います。「いかに誰でもできるようにするか、ということにも注力しました。日本の水環境を良くし続けるためには、私ひとりだけができても意味がありません。この一連の研究は、研究者であれば、高性能な薄膜を簡単に作製できることもこの研究のポイントです」と話します。
残りの学生生活について佐藤さんは「吸着の専門家たちが集う学会で賞を受賞すること、学内外に研究成果を伝えていくこと、研究室に所属する後輩たちが研究により望めるようにサポートすること、この3つの目標を掲げています。この研究成果がラボ全体の刺激になれば」と笑顔で語りました。
表彰状を手にする佐藤さんと友野准教授と研究室のメンバーたち
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