1月25日(土)、横須賀自然・人文博物館にて「第8回 みんなの理科フェスティバル」が開催され、理工学部生命科学コースの清水由巳教授がワークショップの出展を行いました。
「みんなの理科フェスティバル」は2017年より横須賀自然・人文博物館にて開催されています。第8回となった今回は、横須賀市内の小中学校や高等学校、企業や市民活動団体、大学等研究機関などが参加し、所属や世代を超えた「交流の場」、小中学生の理科の先にある「理系キャリア教育の機会」の提供を目的として、横須賀市内を中心としたさまざまな年齢層の団体や個人による科学的探究活動(理科)の成果を一堂に会しています。
清水教授は、微生物分類学・利用学を専門に研究しており、今回出展した実験ブースでは「色々な菌類を使った化学反応をみてみよう!」という内容で、麹菌のアミラーゼによるでんぷん分解反応と、酵母のアルコール発酵によるエタノールと二酸化炭素の産生をみる実験を行いました。味噌、醤油、みりん、米酢、甘酒、日本酒、焼酎、漬け物など、日本由来の発酵調味料や発酵食品の多くに麹菌が用いられています。麹菌はたんぱく質をアミノ酸に分解する「プロテアーゼ」や、でんぷんを糖に分解する「アミラーゼ」、脂質を分解する「リパーゼ」をはじめ、たくさんの酵素を産生します。そして、その酵素の働きによって、素材をやわらかくしたり、発酵食品の旨みや甘味を引き出したりしています。また、酵母は、ぶどう糖からアルコールと炭酸ガスをつくりだすことができ、植物や樹液、野菜や果物の表面、土壌中に生息しています。アルコール発酵をおこなうので、古くからお酒の醸造に使われてきました。また、パン作りにも酵母(イースト)は欠かせません。発酵の際に生成される炭酸ガスがパン生地を膨らませます。今回は、食品スーパーで市販されている麹とドライイーストを使用して、来場した子どもたちに実際に実験してもらい、その化学反応を観察しました。
開始直後から実験ブースには子どもたちが詰めかけ、順番待ちの列を作りました。乳鉢と乳棒を使用して麴をすりつぶし、水で伸ばした後、ガーゼで搾ってできた搾り汁でデンプンプレートに好きな絵を描きます。しばらく放置した後にヨウ素溶液を流し込むと、搾り汁を付けたところのデンプンが分解され透明になり絵が浮かび上がります。実験に参加した子どもたちは、自分で描いた模様が浮かび上がると、科学の不思議に驚きの喚声を上げる姿が見られました。また、高学年の子どもたちは、市販されているドライイーストを使用した実験に参加しました。酵母液をつくり、湯浴で温めてできた気体をシリンジで回収。手元のシリンジの中に目を凝らし、石灰水と反応させて二酸化炭素が生成されていることを確認しました。参加した高校生は「専用の材料を揃えなくても、市販されている材料で実験できることを知り、科学を身近に感じることができました」と感想を述べました。また、麹の実験に参加した子どもの保護者は「食品を使用した実験は安全で、安心して挑戦させてあげられる。こういったイベントをきっかけに、より理科への興味を深めてもらいたい」と話しました。出展ブースには光学顕微鏡も設置され、アオカビ、コウジカビや酵母の顕微鏡観察を行いました。生活に身近な菌類の姿に大人から子どもまでみんなが目をきらきらと輝かせていました。
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日本が抱える理系人材不足は、産業界や国力の発展に大きな障害を生じつつあります。理科教育では幼児から小学校低学年の子供たちが科学の不思議さに触れ興味を育むことが重要です。関東学院大学は生物や自然現象などが大好きなこどもたちに、実験を通してさらに興味を深めてもらうことで、地域の理系教育に貢献しています。
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