4月2日(水)に横浜市西区のパシフィコ横浜国立大ホールにおいて、2025年度入学式が執り行われました。
石渡浩司宗教主任の司式のもとキリスト教の礼拝形式により進行され、2025年度は学部生、大学院生あわせて3,087人の新入生を本学に迎えました。来賓には、山中 竹春横浜市長が登壇し、新入生へ祝辞を述べました。
小山嚴也学長は式辞で「皆さんは様々な縁があって、関東学院大学へ入学されたかと思います。そして、この縁を生かすかどうかは自分次第です。大学での学びを充実させるために、ぜひ積極的に行動してください。大学は研究を基盤とする教育機関であり、教員は研究者です。大学生活では『どうなっているのか』『なぜそうなのか』『どうすればよいか』という問いを立て、研究者である先生方を存分に『利用』して主体的に問い学び、学び問うてください」とこれから大学で学びを深める新入生へメッセージを送りました。
小山嚴也学長 式辞(全文)

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。関東学院大学教職員を代表いたしまして、皆さんを心より歓迎いたします。また、ご家族や関係者のみなさまにも、お祝いを申し上げます。
さて、皆さんはなぜこの大学に入学したのでしょうか。やりたいプロジェクトがあったからですか。学びたい先生がいたからですか。近所にある大学だったからですか。この大学しか受からなかったからですか。
理由はそれぞれあるでしょう。しかし、800校ある大学のうち、この関東学院大学に入学することになったわけですから、これは縁があったのだと思うのです。そして、この縁を生かすかどうかは自分次第。時間とお金を費やすのであれば、前向きに、積極的に大学生活を送らなければ、これはとてももったいないことだと言えるでしょう。
「心ここにあらざれば視れども見えず、聴けども聞こえず、食らえどもその味を知らず」(『大學』)
そのような大学生活を送って欲しくはないのです。そのためには、まず、この大学を知るところからはじめてほしいのです。
大学は教育機関ではありますが、高校とは異なり、研究機関でもあります。すなわち、大学は研究をベースにした教育機関です。そして、大学教員は高校の先生方とは異なり、ティーチャーではなく、プロフェッサー、つまり研究者なのです。この関東学院大学には300人もの研究者がおり、それぞれに専門分野を持ち、日々研究に勤しんでいます。
文部科学省が先ごろ発表した調査結果によれば、関東学院大学は知的財産権等収入で全国の大学800校中14位、特許権実施等件数で全国7位、私立大学では1位となっています。これは先生方の研究成果を数多く社会に還元しているということを意味します。
例えば、関東学院大学は、1962年にプラスチックに「めっき」をする技術の工業化に世界で初めて成功しました。そして、1969年には大学内のめっき実習工場を母体に、関東化成工業という会社が大学発ベンチャーとして誕生するなど、世界のめっき技術をけん引してきました。
皆さんが街で見かけるトヨタやレクサスの車のエンブレムやフロントグリルは、実は関東学院大学の技術で作られているのです。さらに言えば、スマートフォンやパソコンなどの電子機器の内部にある半導体の小型化、高性能化にも、このめっき技術が使われています。
いうまでもなく、自然科学系以外にも人文系、社会科学系の教員が自身の研究成果を武器に、専門家として活躍しています。これから皆さんは、講義や演習、実験、実習の中で、私たちの研究者としての姿を垣間見る機会があることでしょう。
今日から皆さんは学生になります。生徒ではありません。自分のことを生徒と言ってはいけない。高校4年生でも、高校8年生でもないのです。学生という自覚を持たなければならない。
そもそも、生徒は未熟な子供であり、大人の言うことに従いながら生きる存在です。だから、大人から勉め強いられる「勉強」をしてきたわけです。大人たる学生は、自ら問いを立て、その問いを明らかにするため学び、学びの中からまた新たな問いを見出し、さらに学んでいくという「学問」にいそしむ能動的・自律的な存在です。
学問とは自ら問いを立て、その問いを明らかにすることだと言いました。問いには3つのタイプがあります。「どうなっているのか」、「なぜそうなっているのか」、「どうすればいいのか」という3つです。この3つの問いを立てられるようになるのが大学生活での大きな目標です。
私たち大学の教員は研究者として社会の課題に向き合い、「どうなっているのか」「なぜそうなっているのか」「どうすればいいのか」と日々問い続けています。そして、研究のプロとして獲得してきた知を学生の皆さんに還元しています。すなわち、問いのたて方を伝授すること、答えを得るための正しい方法と作法を伝授すること、答えを得るための手がかりとしての理論やモデルを伝授すること、そして課題とそれを取り巻く他者や自己を理解するための手がかりとしての教養を伝授すること、これが私たちの仕事です。ですから、研究者である先生方を存分に「利用」してほしいと思います。
おそらく大学の講義や演習、実験、実習で扱われる内容について、皆さんは難しいと感じるはずです。しかし、そこで扱われているのは問いの立て方や問いに答えるために必要な方法・作法、理論やモデル、教養のいずれかです。先生方がそれらのうちのどれについて語っているのかを意識することが理解への第一歩となります。
何事であれ、物事を習得するにはそれなりの努力と時間が必要です。学問とはそういうものだと覚悟を決めて、将来、社会にある様々な課題に立ち向かうために、この関東学院大学で問い学び、学び問うてください。
関東学院大学という場ですごす時間が実りあるものになるよう、教職員一同、全力でサポートしていきますので、どうぞ皆さんも、あせらず、半歩ずつでいいので、前に進んでいってください。
皆さんが卒業・修了される時の満ち足りた顔を楽しみにしつつ、学長式辞といたします。
2025年4月2日
学長 小山 嚴也








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