経営学部主催シンポジウム「健康経営のフロンティア ―“香り”と”声”のサイエンス―」を開催しました。

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11月10日(金)、経営学部が主催するシンポジウム、「健康経営のフロンティア ―“香り”と”声”のサイエンス―」を横浜・関内キャンパスで開催しました。「健康経営」というテーマのもと、従業員の健康を増進し、心身の不調の予防や、さらには従業員のモチベーションや仕事の成果に結びつけることが、現代の企業に求められています。今回のシンポジウムでは、「声の測定」と「香りのデザイン」というアプローチで健康経営の実現に取り組む、横浜発のベンチャー企業2社の代表取締役にご登壇いただき、研究成果や事例を紹介の上、本学教員の学術的知見を加えたパネルディスカッションを行いました。ファシリテーターは経営学部小山 嚴也教授が務めました。

はじめに経営学部の松下将章准教授より健康経営について説明。松下准教授は経営組織論、組織行動論を専門に研究しています。「少子高齢化が加速する社会の中で、働く人々の年齢は自然と高くなっていき、またテレワークが浸透し、孤立を感じる人が増えてきた、というデータも出てきました。そうした変動する社会において、『健康に働く』ことの重要性が注目されています。従業員全員が生き生きと働くことが出来れば、社内の雰囲気が活性化し生産性もあがる。それは会社の業績の向上や新しいイノベーションを生み出すことに繋がります。実際に最近になって、海外で従業員の健康状態と会社の業績に相関関係が見られたという研究報告が上がっています」と健康経営が企業に必要である背景について解説がありました。

次に、リスク計測テクノロジーズ株式会社代表取締役の岡崎貫治氏より、現在行っているリスク管理の事業についてお話がありました。岡崎氏は長年リスク管理に関するビジネスに携わっており、近年、より人に関わる様々なリスク対応の必要性が増していると言います。「発話音声から感情や健康状態を予測する音声解析エンジンを開発しました。これを利用し声からモチベーションやストレスの度合いを測ることが出来たり、眠気を予測したりするなど、様々な用途での活用を展開しています。こうして潜在的なリスクを可視化し、対策をすることによって、従業員の安心や安全を守り、より良い職場環境を生み出すことができます。今後はアンガーマネジメントの分野でもこの技術を利用し、顧客からのクレーム対応などでの活用を考えています」と説明がありました。

岡崎氏に続いて、株式会社コードミー代表取締役の太田賢司氏より講演。太田氏は香りの研究開発に企業で長年携わり、現在はアロマ空間デザイン事業、フレグランス商材の企画、開発などを手掛けています。「人の記憶や感情に訴えかける香りを脳波と感性科学に基づき研究し、コンディションを最大化できるような香りのデザインを提供しています。オフィス空間を中心に展開していますが、医療、介護分野でも活かせないかと考え、東京都の江戸川病院に協力していただき、医療施設内の更なる環境改善を見据えた共同研究を行っています。病院内の放射線治療室待合スペースにおいて、コードミーが調香したアロマによる空間デザインを実施したところ、患者様、ご家族が香りによってリラックスできた、という回答が多数あり、病院に従事する看護師の方からもコンディションが向上したという声もいただきました。今後もデータに基づく最適な香りを提供し、幸せな空間を創る一助になれればと考えています」と口にしました。

最後は、どういった企業、団体からニーズがあるのか、取り組みの手ごたえなどを岡崎氏、太田氏からお話しいただき、松下准教授の知見も交えながら白熱した議論が繰り広げられました。最後に松下准教授より、「研究者としても先進的な内容を聞くことができて刺激を受けました。お二人の話を聞く中で、健康経営を考えるには新しいアプローチを取り入れていくなど、既存の枠組みにとらわれない発想が重要だと強く感じました。我々教員や学生も、複数の専門的な知見を合わせることでイノベーションを生み出したり、課題解決の方法を見つけたりする試みを行っていきたいと思います」と感想を述べました。

今後も関東学院大学は、実務家や研究者の学術的な知見を発信する場を提供していきます。

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