2月27日、28日、3月7日の3日間、防災・減災・復興学研究所が神奈川県三浦郡葉山町の町民を対象に「葉山町民大学」を開催しました。関東学院大学と葉山町は、密接な連携・協力関係を築くことで、教育研究力の向上や、地域の持続的発展や課題解決に寄与することをめざし、2015年に包括協定を締結しています。今年度は、法学部地域創生学科の釼持 麻衣准教授、理工学部土木・都市防災コースの福谷 陽教授と中藤 誠二教授が講義を行いました。
初回の2月27日(木)は、釼持准教授が「法で防災・減災できるってホント?」をテーマに開講。法がどのように災害に関わっているのかという説明では、災害発生時には「災害救助法」、発生後には「廃棄物処理法」、発生前には「建築基準法」など既存の法がどのように適用されているのかを紹介しました。そのうえで葉山町に身近な災害に触れ、防災・減災のために必要な条例案をつくるワークショップを実施。参加者からは町の現状を踏まえた意見が飛び交い、条例による防災・減災を検討しました。釼持准教授は「法自体が、災害の発生を防止したり、被害を軽減できたりするわけではありませんが、防災・減災のための行動を人々に促すことはできます。防災・減災の実現手法の一つに法があると知っていただければ」と話しました。
2月28日(金)に行われた第2回の講座は、福谷教授による「備えよう!葉山町で想定される地震・津波リスク~過去の巨大災害から教訓を学ぶ~」。葉山町は過去には関東大震災の発生源ともなった相模トラフと呼ばれるプレート境界が近く、地震だけでなく津波のリスクも抱えています。福谷教授は地震の発生メカニズムを解説したうえで、能登半島地震や東日本大震災を振り返り、葉山町では津波の際に自動車で避難すると渋滞により逃げ遅れるリスクもあると注意を促しました。また、後半には「新聞スリッパ」を作成。大きな地震発生時など窓ガラス等が割れて家の中を素足で歩くことが困難なときに活用できます。保温効果もあり、中敷きとして段ボールを入れることで強度を上げることもできるとし、身を守る備えを伝えました。
最終回の3月7日(金)は、中藤教授が「強風災害から身を守るには~地震と異なる災害対策~」として葉山町では被害が少ない台風や竜巻について紹介。瞬間風速の大きさによってどのような被害が想定されるかを解説し、台風や竜巻でなくても強風が吹くことでビルの看板など腐食が進んだ身近なものが急に飛んでくる危険性を示唆しました。「他の自然災害と同様、いつ起きてもおかしくない事象のため、これまで被害がなかった場合でも今後発生する可能性は0ではありません。近年の異常気象の影響で台風の発生数は必ずしも多くなっていませんが、勢力が増している傾向が見られます。強風被害を最小限にするために、これまでの被害事例を理解して備えておく必要があります」と呼びかけました。



受講者たちは新たな視点を得られたとし、3回限りの講座ではなく、継続的に勉強会などを続けられたらと話しました。
防災・減災・復興学研究所は、今後もあらゆる視点で地域の防災・減災について考える機会を設定していきます。


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