6月17日(金)に、横浜・金沢八景キャンパスにて社会学部が主催する国際シンポジウム「地域を支える図書館の未来——日本と韓国における新たな挑戦と可能性」を開催しました。本シンポジウムは、図書館の社会的役割が問われるいま、国境を越えた実践例を共有しながら、地域と図書館が共に育つための道を探ることを目的とし、学生や地域住民、関係者など約70名が参加しました。
はじめに、湯浅陽一社会学部長は挨拶として、「図書館は単に本を借りる場所ではなく、地域課題の解決の拠点にもなり得る」と述べ、社会連携を重視する本学の教育理念と今回の趣旨との接点を語りました。

社会学部長 湯浅陽一

東義大学人文社会科学部教授 尹ユラ氏
第一部では、韓国・東義大学の尹ユラ教授が登壇。韓国の図書館制度や読書文化政策、そして地域の自治体や市民団体と連携して実施されている「大韓民国読書フェスティバル」などの取り組みを紹介しました。読書フェスティバルは“本の都市”として選ばれた地域で年間を通じて開催され、住民が一冊の本を共有して読み合う「One Book One City」運動など、参加型の読書体験を通して地域の一体感を生み出していると説明がありました。
尹教授はまた、韓国の司書制度や図書館の法制度、公共施設でのQRコードによるデジタル読書環境の整備など、行政と地域社会が連携する図書館運営の枠組みも詳しく紹介。子どもから高齢者までが利用しやすいユニバーサルデザインの導入や、テーマ型図書館(音楽、美術、地域資料など)の設置といった多様な事例を交え、「図書館は生活の質を高め、地域の記憶と未来をつなぐ社会的インフラである」と口にしました。

川崎市立宮前図書館長 舟田彰氏

第二部では、川崎市立宮前図書館の舟田彰館長が登壇し、超高齢社会において図書館が果たすべき役割について講演。川崎市立宮前図書館では認知症当事者やその家族に向けた情報発信コーナーの設置や、図書館を介した見守り機能、多世代交流を促す読み聞かせボランティアの養成など、地域に根ざした活動を実践しています。図書館が持つ「誰でも立ち寄れる」「干渉されない」空間としての特性が、福祉や教育、医療と横断的なつながりを生む可能性を明らかにしました。
舟田氏は、「図書館職員が地域の変化に気づき、必要に応じて専門機関につなぐ」という“地域のハブ”としての図書館像に触れ、「図書館が地域福祉の交差点になっていくことが、これからの時代に求められる」と語り、図書館が持つポテンシャルと課題に具体的に向き合う姿勢を示しました。


本シンポジウムを通じて、図書館の役割が拡張しつつあることが両者の話から読み取れました。日韓それぞれの取り組みは異なりますが、地域に根ざし対話を重ね、より多様な市民に開かれた空間を目指す姿勢には共通点がありました。
関東学院大学社会学部では、こうした国際的視野と地域に密着した学びを合わせながら、社会に貢献する人材の育成を推進していきます。

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