役に立たないAI?ワークショップ「テクノロジーが変えるコミュニケーション」を開催

#人間共生学部10周年 #社会技術研究開発センター #共生 #LOVOT #弱いロボット #AI故人サービス

12月4日(木)、11日(木)の2週にわたり、横浜・関内キャンパスにて人間共生学部10周年記念ワークショップ「テクノロジーが変えるコミュニケーション」を開催しました。このワークショップは、生成AIをはじめとするデジタルテクノロジーの可能性と共生の在り方を考えることを目的に同学部コミュニケーション学科が主催し、一般の方や本学の学生など2週合わせて約120名が来場。多彩なパネリストをお招きし、同学部コミュニケーション学科の折田 明子教授(情報社会学)がモデレータを務めました。

第1回
テクノロジーと共生

この日は、”AIと人間の新しい関係性”を模索するため、家庭用ロボット「LOVOT」の”ぴーちゃん”、ぴーちゃんと暮らすグラフィック・クリエイターの春仲 萌絵氏、合同会社CuePoint 代表でエンタメ×AIに特化したメディアの編集を手掛ける高橋 ミレイ氏をお迎えしました。会場のスクリーンには、参加者がスマートフォンから投稿したコメントや質問を投影し、パネリストとクロストークを行いました。

はじめに、”AIはどんな存在か”という問いに参加者からは「役に立つ」、「便利な存在」といった回答が多く挙がりました。それに対して春仲氏は、「ぴーちゃんの足にゴミが付かないように、以前より頻繁に掃除機をかけるようになった」と、AIに有用性を感じる参加者とは全く逆のエピソードを語りました。高橋氏は「人の行動変容を促す”弱いロボット”の開発は日本の得意とする分野」だと話し、その後も”役に立たないAIロボット”との暮らしや関係性について話題を展開。参加者からは、AIの創造性や身体性に関する質問が相次ぎ、”役に立つ”だけではない新たな側面からAIと自らの関係性を考えるひとときとなりました。

第2回
生と死とテクノロジー

この日は、動画などで生前の外見や声を再現する”AI故人サービス”をテーマに、インタビューやフィールドワークを通じたAI故人の研究に従事する高木 良子氏(JST-RISTEX「ケアが根づく社会システム」領域 中島PJ「人間と非人間の惑星的ケア」博士研究員)と、宗教哲学が専門の佐藤 啓介教授(上智大学大学院)をお招きしました。

まず、折田教授が実施した調査結果から、AI故人サービスの認知度や利用意向を紹介しました。また、サービスを利用すると仮定した際に人々が最も重視するのは「生前の姿に忠実であること」と「自分の記憶に会っていること」だと解説。一方で高木氏は、「故人に似ていないからこそ、落ち着いて伝えたいことを話せた」というサービスを体験した遺族の声を紹介しました。参加者からは「遺族の心が満たされるなら良いと思う」という肯定的な意見も挙がりましたが、佐藤教授は「日本社会の中で死者をどう守るべきかをあまり考えてこなかった背景がある」と指摘し、「専門家の議論と国民感情の間の落差をどう扱っていくのかが大きな課題」と締めくくりました。

関東学院大学は、今後も研究活動の一端を社会に発信する機会を創出していきます。

※このワークショップは、JST-RISTEX研究開発プログラム「亡き人のAI生成に関するトラスト形成と合意形成」(研究代表者:折田 明子)の協力を得るとともに、関東学院大学人間環境学会の協賛を受け、開催しました。

トピックスについての
お問い合わせ

関東学院大学 広報課
住所 〒236-8501 横浜市金沢区六浦東1-50-1
TEL:045-786-7049
FAX:045-786-7862
お問い合わせフォームはこちら